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多摩川の生き物とヒト その181 ヒト 青梅市津雲邸で 女流六人展‘23/11/16

妻の知人の方が青梅市にある津雲邸で展覧会を行っているという事で見学に行った。津雲邸は青梅市住之江町に1930年代に在郷の衆議院議員津雲氏によって建てられた議員などの接待用住宅である。JR青梅駅から徒歩6分と近く、段丘崖の上に建つので、見晴らしもよい。
石畳を進み、門をくぐると、豪華な玄関になる。玄関の欄間にチョウの模様が入っている。何やら家紋との事。後でわかったが、玄関と対峙する窓にはハート形の模様が入っていた。「猪の目」と言い、悪い邪気を射抜くという昔の粋だった。
右手に進むと、茶室で、妻の知り合いのS氏が型絵染の作品の展示を行っていた。何時もながら、パターンで染めた型絵染はススキやケイソウなどを取り扱い、エッシャーの模様みたいに美しい。新作で、反物のようになっているものもあった。

津雲邸で行われた展覧会。

展覧会に使われている茶室の天井は屋久杉を使い、押さえているのは竹の節を使っている。床の間では樹々を張り付けた集成材ではなく、大きな磨き丸太を使っている。戸はもちろん、サッシではなく、ガラスと障子のみ。おまけに、猫が出入りできるように、本当に軽く横に動く猫障子もあった。ガラスは調べていないが、戦前、貴重で、吹いて丸めたので、厚さが一定ではないと思う。実際、使われているガラスは液晶という事もあり、波打っていた。傍らには厨子が置いてあり、中には弁財天が鎮座していた。隣の小間では何と、トクサの茎で天井を葺いていた。

茶室の様子。パンフレットより。

驚きながら、1階の応接室に行くと、天井が杉葺き、柱にはタガヤサンといマメ科のコクタンの仲間を使っているのもあり、贅を尽くしている様子が伺える。廊下を渡っていくと着物の展示があり、振袖には音符が染め付けられているなど、面白い着物があった。ただし、財布が9000円ぐらいで、着物はさらにその上を行く。クレジットカードの案内もあるのも、うなずける。
2階に上がる。勾配は急で、手すりが後付けされていた。

1階の応接室。パンフレットより。

大広間から青梅丘陵がよく見え渡せ、良い場所に建てたと改めて感心する。昔、目の前には庭園があったそうだが、相続のためか、売却し、更地になっているのが残念だ。あれば、もっと、景観が良かっただろう。

2階の大広間。

贅を尽くし、妬む人もいたと思うが、よく言えば、金持ちの道楽か。
地元の青梅市にこのような家がある事に驚いた。文化とは縁遠く、児童館などの子育ての施設が無く、放課後対策などが無いなど、子供達に冷たく、下手をすれば殺されかねない青梅市に、このような建物がある事が不思議である。市も市民も保全を求めなかったが、空襲も無かったので、残ったのは偶然だろう。
また、来年(2024 年)、ひな祭りの展示が行われるそうである。是非とも、見てみたい。



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