その25c、あなたが思うより細いかも、です~新旧ETRTOに関するETC.


<何が問題か>

「あなたの使っている25c、あなたの認識の23cかもしれません」と言われて、「あーそのことなら、解っているよ」という人はいい。しかし「え?」という人は注意して欲しい。

25cだ23cだとかいうのは、ロードバイクのタイヤについての話だが、2020年に規格が大きく変わっている。622規格いわゆる700c舗装路タイヤはザックリいうと2mm細くなっている。
(なお、23cは約1mm程度、25c,28cは2mm程度。また適用は2020年からだが名称としてはETRTO-2021)。
これはかなり重要だと思うがメディア等で大きく取り上げられることがなく、自分の周囲にも知らない人が多かった。
新タイヤのインプレでも「今まで〇〇25c(旧規格)を履いていました、新たに▽▽25c(新規格)に換装しました。▽▽は〇〇に比べて云々彼云、、、」というのをよく見るけれど、2mmも違えば感覚の違いが大きいし、適正空気圧も変わるため、比較として不適切なのではないか、と思ってしまう。

もちろん、タイヤの銘柄によって幅や形状が異なり、太めのものや細めのもの、使っているうちに太るもの太らないもの、いろいろである。ただ、さすがに2mmぶんの規格変更は正しく認識しておかないと問題ではないだろうか。

何が問題かというと、旧規格の25cを使っていたひとが、新規格の25cに変えると急に細いタイヤを使うことになり、コーナーやハンドリングの感覚が変わるなど安全上のリスクが生じかねない。
たぶん、25cに慣れたひとの多くが23cに抵抗があると思う。ちょっと怖いな、と。ところが、新旧ETRTOを意識していないと、知らないうちに旧23c同等サイズを履いているということになってしまう。旧25cの安心感が欲しければ、新規格であれば27c以上のサイズでなければならない。


<ETRTOの変更とは>

ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation )とは、ユーロといいながら世界中の4輪やモーターサイクルなど様々なタイヤおよびリムの国際標準規格となっている。もちろん、自転車も基本的にはETRTO規格に準拠するよう作られている。
ロードバイクのタイヤに関してはあまり厳格に準拠されていなかったが、チューブレスの台頭でリムとタイヤの相性が問題になり、近年に発売された品番のものはシビアにETRTOが意識されるようになってきた感がある。
また、かつて舗装路を走るロードバイクでは内幅15mmリムのホイールが殆どであったのが、ここ数年で主にカーボンの17mm、19mm、21mmといったワイドリムが中心になり、25cが全然25mmじゃない問題が生じていた。このため、ちゃんと表記幅と実測が同じになるよう是正がなされたというものである。
このETRTO 2021規格の変更とは、表記が「内幅C15に填めたときのタイヤ幅」から「内幅C19(23cはC17)に填めたときのタイヤ幅」への改定である。ワイドリムに付けても太くならないようになった、といえば解りやすいだろうか。

旧ETRTO準拠で開発されたタイヤは今も旧規格サイズで売られているが、2021規格が発表された2020年後半以降に新発売となった銘柄・品番のものは殆どが新ETRTO準拠になっている。十分なアナウンスがなされなかったこともあるが、この混在がより状況を煩雑にしてしまっている。

<メーカーの対応状況>

ちなみに、コンチネンタルGP5000はCLが旧、S-TRは新と同じ銘柄の商品でも品番が違うとサイズ規格が違っている。コンチネンタルに関しては以前から無印GPよりGP4000sは約1mm太いとか、GP4000sから5000になったときに1mmほど細くなるなど、幅の一貫性についてはあまりシビアでなかったため、このような事態をあまり気にしていないのかもしれない。
https://www.continental-tires.com/bicycle/tires/race-tires/grand-prix-5000-s-tr
幅やETRTOに関する記載はない模様。


また、ピレリP ZERO™ ROADは独自表記-C17基準-とすることで若干太め、RACEは新規格-C19基準-で1mm細めと、想定する用途によって細かく設定を変えてきている。
https://www.riogrande.co.jp/product/term/527
カワシマサイクルさんのこのページはわかりやすい
https://www.riogrande.co.jp/news/node/77054

ヴィットリアはザフィーロが新規格となっており、ヴィットリアジャパンさんの商品ページで注意喚起がなされている。
https://www.vittoriajapan.co.jp/vittoria/zaffiro/

ミシュランは、最新のPOWER CUPも旧規格サイズで造られていることが報告されている。

MAXXISのハイロード、ハイロードSLについては、割と新しいのだけれど、2022現在は旧規格サイズであるとのこと。ただし、やや細めでGP5000CLよりもう少し細いようである。

IRCのASPITE PRO 、FORMULA PRO TUBELESSシリーズは新ETRTO。
ホームページにも【NEW ETRTO STANDARD(ニューエトルト スタンダード)~内幅19mmのリム装着時、タイヤ幅が25mmとなるように設計。】と明記されており、ユーザーフレンドリー。

最近話題のパナレーサーAGILEST-アジリスト-シリーズは新ETRTO。

<簡易相関表>

新旧規格と内幅・外幅(表記幅×リム内幅・・・タイヤ横幅)
旧23c×C15・・・23mm 旧23c×C19・・・25mm
新23c×C15・・・22mm 新23c×C19・・・24mm
旧25c×C15・・・25mm 旧25c×C19・・・27mm
新25c×C15・・・23mm 新25c×C19・・・25mm

23~30mm幅程度のロードバイクタイヤの場合、リムの内幅1mm拡張あたり装着したタイヤは約0.5mmずつ太くなる。上はざっくりこの相関を示している。

<旧の25cが丁度いい>

個人的に今回のニセコクラッシックでは内幅C21(フックtoフックで20mm弱)に旧ETRTO25cで、実測27.8mmという幅で走った。この幅であれば、80kph以上の速度で下っても不安感を覚えることがなく、加速時の俊敏性をスポイルしないギリギリのところだった。
これが新ETRTOでは25cなら実測は26mm、28cなら29mmくらいになる目算である。これは悩む。いや、ニセコなら下りで誰かを巻き込まないために28c-29mm一択。しかし、登りで何度も加速がある展開のため、これはモヤモヤする選択である。できればあと1mmは細くしたい。
そのくらいタイヤ選択は重要であると考えている。

そして、他のレースであれば、C19-27mmで走りたい。そしてこれらはちょうど旧ETRTO25cサイズである。
ということで、メーカーさん、新ETRTO準拠でサイズを25c、27c、30cと旧規格サイズ(23c,25c,29c相当)で出していただけないだろうか。

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