二世帯住宅が完成しない #7 仁義
思春期の頃、父と並んで街を歩くなんて、恥ずかしくてできなかった。
父は、仕事で毎晩遅く、休日しか一緒に食事をしない。もとから口下手で、会話も盛り上がらない。家にいても、くしゃみがうるさく、風呂上りは全裸で闊歩する父を、思春期に入った私が嫌悪感を抱くのに時間はかからなかった。
時代は学歴社会。兄と私の反抗期に屈さず、父は国公立大学を目指すよう発破をかけてきた。中学受験のときは、父に厳しく勉強を見られた。
大学受験では、頭のいい兄は飄々と偏差値の高い大学に合格した。私も兄に