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Kiss Me Deadly〜グリム童話ATM:勝手に楽曲コラボ〜


地下道を通り家に着くと、小人が俺達二人を地下室に案内しようとした。
相棒はまだ疑っている。無理もねえ、美女とキス出来るうえに大金まで貰えるんだ。
だが、報酬は確かにATMに入金されていた。疑問は残るがヤクを手に入れる為だ。俺達は黙って階段を下りた。
「誰にも見られなかったろうな」
小人が念を押すように訊く。
こんな真夜中だ、見かけたのはグレイハウンド一匹。そんなにヤバい仕事なのか?
いや、ヤバいのは棺の中で眠る女だ。俺はその美貌に震えながら引き寄せらていく。
が、すぐに瞼が開き俺は引っ倒された。
「死ぬほどキスしてくれよ、今夜」
そういうと女は、俺の口を塞いだ。
舌が絡むと同時に体中が痺れ始める。
「すぐ毒が回ったろ、耐性があるみたいでな、りんご食わされた時でも何ともなかった」
小人が相棒を羽交い締めにしながら言う。
「でもその頃から殺しがやめられなくなった。多分お前らがヤクをやめられないのと同じだ」
月明かりが、また女の顔を照らした。
(410文字)

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