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感想文部


俺と田中がレントゲン室に入ると、技師の隣に社長がいた。
「よく来たな、じゃ早速撮ろうか。我社にはね、感想文部専用のがあるんだよ」
感想文部。それは通常、腹部の近くを指し、特殊な装置で撮ると感想文が写るという。
「まずは田中君だ」
「はい…」
田中が震えながら装置の前に立つと、技士が指示を出した。
「はい、大きく息を吸って止めて」
ビーッと音が鳴る。

しゃちょうのおくさんをねとろうとするとは、いいどきょうだな

「はい撮れました」
これが感想文部の感想。場所が場所だけに、田中の"腹に一物”に対してのものだ。
「次は君だ」
「はい」
だが、俺の人体構造は少し違う。
心臓が右側に位置する場合があるように、俺の感想文部は胸部の近くに位置するのだ。
田中の様に"腹を探られる”事はない!
「じゃあ、大きく息を吸って止めて」
俺は自信満々に技士の指示に従った。

え? こいつとも!? おくさんヤリ〇ンじゃん!

場所が場所だけに、"胸に秘めた”ものへの感想文だった。

(410文字)

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