人はそれぞれベクトルが違う

自宅マンションから。変わった雲が出ていたので。

大学生の息子がひょんなことから、メキシコ政府の国費で留学をすることになった。
彼は、初めからその留学を目指していたわけではなく、たまたま出会ったメキシコ人にスペイン語を教わり始め、そのメキシコ人から留学の話を頂き、本当にたまたまとんとんと話が進んだのだ。

彼が通う大学のゼミの教授に、留学する旨を伝えたところ、返ってきた言葉は次の通りだった。

「今、何十万人といる日本の大学生の中で、上位1万人に入ったと思いなさい」

反論はしなかったが、なんじゃそりゃ、と心の中で息子は思ったらしい。「先生、自分は人より上位(何をもってそういうのかはわからないが)になりたいとか、抜きん出たいと思っているわけではありません。そもそも、人はそれぞれ目指すベクトルが違うので、比べようがないものではないですか。不思議な考え方をしますね」と。

その教授は、東大→通信社→大学教授という、世間で言う華麗な経歴の持ち主ではあるが、還暦まで生きてきた方にしては、あまりにお粗末な価値観。

そんな価値観に踊らされず、「ベクトル」という言葉で人それぞれの目指すところを表現できるようになった我が息子。高校時代にはなかなか自分を出せなくて欲求不満気味になったり努力が実を結ばずに頭痛に悩まされたりしたこともあったっけ。その経験があったから、そういう考え方ができるようになったんだなあ。。。私は密かに敬意を抱いたのだった。

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