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FaOI幕張2023初日現地感想①【現地の様子~地震のこと】

2023年5月26日。
幕張メッセにて「Fantasy  on Ice2023」初日を見に行って参りました。

出演者のラインナップくらいしか事前情報が無い状態で迎えた、初日の衝撃。
忘れられない記憶となりました。

現地で見て感じたことをできるだけ思い出しながら感想を書いていきたいと思います。

現地の様子

幕張メッセに来るのはこれで3回目。
2019年に続き2022年のFaOI以来の訪問でした。
羽生選手のイベントがある時は晴れになることが多く(偶然かとは思いますが)、この日も雲一つない晴れとまではいかなかったけれど5月らしいお天気で、吹く風が気持ちよく感じられました。

グッズ売り場はさほど混雑しておらず、販売時間前だけ行列ができていたけれど開始30分後には人の流れがスムーズになっていました。

会場の周りで今回目を引いたのが、「阿修羅ちゃん」のコスプレをしているファンの方々。
そんなに数は多くないけれど、SOIの頃からジワジワと阿修羅ちゃんコスをしている方が増えてきたように思います。

私は自分ではやらないけれどコスプレ大賛成派なので、これからもっと増えていってほしいな…なんて密かに思っています。
コスプレの方がいると会場が一気に華やぐ気がするんですよね。
試合と違ってアイスショーは一種の「お祭り」みたいなものだと思うので、
昔からある個性溢れたバナーを持ち寄るのはもちろんのこと、やっと解禁された声援だったりコスプレが話題となれば会場が盛り上がるし、何より楽しいです。
もっとフィギュアスケートファンの裾野を広げるという意味では良いんじゃないかな。

もっとも、2019年よりもっと以前のショーには行ったことがないので、昔からコスプレされてる方はいたのかもしれませんけどね。

でも、こうやってそれぞれの自由なスタイルで「お祭り」を楽しめる雰囲気が私は好きだし、閉塞的だったコロナ禍からようやく回復しつつあるという明るい空気を感じる幕張メッセでした。

ショーの開幕を待つあの高揚感に包まれた時間、空気感が本当に好き。
皆がドキドキワクワクしていて、笑顔に溢れているから。


今回はショート寄りのロングサイド席。
リンク全体が見渡せる席でした。
でも、いつもながら出演者の表情までは見れない距離感といった感じ。
私は前の方に座れない運命なのか、と思うほどの席運の無さですが、
どう見ても会場は満員御礼だったので、チケットが手に入っただけでも良しとしないとバチが当たりますね…。

着席したらオペラグラスを使って恒例のステージチェック。
今回のステージは、なんと中央に三角形の出っ張りがついており、いつもと形が違うことに気づきました。
初めて見るステージの形です。
お隣の方と「あれは何だろうね?」と話していました。

一番の疑問は、新体操のユニット「AiRY JAPAN with BLUE TOKYO」の方々がどこで演技をするのかということでした。

スケーターではないので氷上で演技する訳でもなさそうだし、でもどう見てもステージは狭いし、どこで演技するのだろう?と。
ステージを広くするためにあの出っ張りがあるのか?それにしてもステージ上で踊るには狭いよなぁ、とあれこれ考えていました。

そうこうするうちに、いつもの新村さんの声で「まもなく開演いたします」とアナウンスが流れ、いよいよ私たち観客が魔法にかけられる時間が始まりました。


オープニング

アンサンブルスケーターの皆さんが円陣を組むような形で始まったオープニング。
あれ?今回はいつもと何かが違うのかな?と思わせる始まり方でした。
今までにないフォーメーションで珍しいな、と思ったのです。
そして出演者をコールするナレーションの方も、いつもの男性の声ではありませんでした。

でも、「ダンダンダダン!」というオープニング曲はいつもと変わらず。
この音楽を聴いて一気にテンションがあがります。
手拍子にも自然と力がこもる。

羽生選手が登場する頃には手拍子しすぎて既に手が痛くなる程になっていましたが、
群舞の中に加わっている彼を見つけた途端に手拍子が拍手に変わり、「キャー!!」と声をあげてしまいました。

この登場の仕方も例年と少し違っていましたね。

群舞の中に紛れて滑る羽生選手が、曲の盛り上がりと共に前へ抜け出て、そこから4回転ジャンプをしてくれました。

しかし群舞から抜け出した時にはもう助走するスペースが足りなかったのか、珍しく
ジャンプがステップアウトになってしまいました。

オープニングで4回転をバチっと決める羽生選手に見慣れていたから少し驚いたけど、あれは明らかに助走するスペースが足りなかったせいじゃないかな…と今は思います。
ほぼリンクの中央まで群舞に加わっているし、そこからショートサイドまであまり距離がないように見えたので。

この問題は2日目からは解消されていたのでしょうか。
2日目も3日目もばっちり4回転を決めていたそうですし、
3日目のCS放送を確認したら、羽生選手はジャンプ前の助走を長くとるために群舞の周りをぐるっと一周して距離を稼いでいましたね。
ちゃんと修正をしてくる羽生選手はさすがだと思います。


群舞の中でもすぐに見つけられる羽生選手の存在感。
まだコール前でスポットライトも当たってないのにすぐ見つけられました。

スポットライトが無くても、発光してるので…。

細いのに程よく筋肉のついた肢体は遠くから見るとそのスタイルの良さが際立って見えました。
私の身近にいる人で、彼のようなスタイルをしている人はまず見た事がない。
足も細くて、まるで冗談みたいに長い。
顔も小さいから余計に足が長く見える。
本当に、漫画の世界から出てきたみたいな人だな~と思いました。
虚構の世界である漫画から具現化してきた奇跡のスタイルの持ち主。

目の前で動いている羽生選手をこの目で見ているのに、本当にあんな美しくてスタイルよくてかっこいい人がこの世に存在しているの?と疑いたくなるくらいです。
私の目がおかしいの?幻を見てるの?って、いつも思ってしまいます。

今回の席はリンクからだいぶ距離があったので、余計にそう思ってしまったかもしれません。
現地いるのに、TVで見ているような感覚。

もっと前の方で見ることができたら、例えば最前列で見ることが叶ったら、もう少し現実味のある感覚を得られるのかな?
私が最前列でショーを見られる日なんて来るのだろうか泣。


ゲストアーティストの福原みほさんの歌唱が始まり、あのステージの出っ張りの謎がここで解き明かされました。

なんと、三角形だと思っていた出っ張りは実は四角形のミニステージであり、可動式でした。
気が付くと福原さんがリンク上にいるように見えたので「え!?」と思ってよく見たらステージがメインから切り離されて動いていたのです。

これは凄い!と思いました。
なんて斬新なアイディア。
よりスケーターや観客に近い形でアーティストが歌を披露できるように考えられていたのですね。
スケーターはその四角形のミニステージの周りを滑ることもできます。
今までにない新しい演出です。


さて、いったん捌けた後再び登場してきた羽生選手は、福原みほさんのパワフルな歌声にのせてハビエルやジョニーといったFaOI常連のプロスケーター達と一緒に舞ってくれました。

途中ハビエルとペアで絡んでいるところが見られて、楽しそうな様子のお二人に思わず笑みがこぼれました。
はっきりとは見えなかったけど、羽生選手のはじけるような笑顔を拝むことが出来て心から嬉しかったです。

スケーター達の演技


羽生選手以外で、私が心に残ったスケーター達の演技を順に書いていきます。

・山本草太選手「Teeth」
トップバッターの演技。レミエン兄さんを思わせる黒い衣装で登場。よく似合っていてかっこよかったです。音楽がノリノリで楽しかった。山本選手のスケート、SOIで生で見た時から注目していました。滑らかなスケーティング、表現も素晴らしくて、次は試合での山本選手の演技をちゃんと見てみようかなと思いました。

・友野一希選手「Bills」
このプログラムはTVで何度か見ていて気に入っていたプログラム。実際生で見ることが出来て嬉しかったです。私はよく「仕事行きたくない!」とウジウジするタイプですので笑、友野選手のBillsを見て元気を貰えた気がしました。コミカルな演技がよく似合うし、極上のエンタメを見せてもらえました。

・AiRY JAPAN with BLUE TOKYO
開演前に「どこで演技するのだろう?」と疑問に思っていたユニット。
あのミニステージで、6人で演技を始めた時には心底驚きました。
ステージ上はスペースが圧倒的に狭いので。
エアリアルのようにロープを使って空中で演技する女性陣と、狭い床の上で新体操の小道具を使って演技する男性陣。
エアリアルは全く命綱が無い状態での演技がハラハラドキドキで、
新体操は新体操であんなに狭い中で側転などの技を決めているのが凄いと思いました。


突然の地震


ここまで順調に、どっぷりとFaOIの世界に浸かりながら楽しんでいた私。
まさかの出来事によりその魔法が中断されることとなります。

それは、ハビエルの演技が始まってしばらくしてから起こりました。

ハビエルのコミカルなパントマイムの動きに見とれていたところ、何やら椅子の背もたれがガタガタと動き出したのです。
「あれ?なんだろう。誰かがノッて身体を揺らして椅子が振動してるのかな?」
なんて最初は思っていました。

ところがそんな呑気な私の考えはすぐに打ち消されました。

揺れる動きは次第に大きくなり、微かにガタガタと音まで聞こえます。
めまいのような感覚に襲われ、ふと天井の照明機材を見上げると、大きく揺れている。

「地震だ!」
周りの観客たちがザワザワし始めました。

私はとっさに氷上のハビエルが心配になりました。
まだその時ハビエルは演技を続けていたからです。
早く、早く誰か教えてあげて。と思っていました。

氷上からあがるように、と指示が出され、避難していくハビエルを見てほっとしたのもつかの間、
会場の揺れはなかなかおさまらなかったです。
ゆっくりとした横揺れがしばらく続きました。

よく覚えているのが、天井から吊り下げられた機材のワイヤーが大きく揺れていたこと。
時間にしたら数秒、数分だったかもしれないけれど、会場にいた私には揺れている間の時間がとても長く感じました。

もしかしてこのまま大きな揺れに発展するんじゃないか?
こんな大きな会場がもし潰れてしまったら?

不安と恐怖の念に駆られそうになる私を落ち着かせてくれたのは、会場でアナウンスしてくれた新村さんの声でした。
この声はきっとTVでは放送されず確認することは出来ないので正確ではないかもしれないけど、
「この建物は耐震設計されているので大丈夫です。落ち着いてください。落ち着いてください。震源地は千葉県、こちらの震度は3です」
などと繰り返し言ってくれていたと記憶してます。

観客を落ち着かせるに足りる最低限の情報を冷静な口調で教えてくれたので、本当にありがたかったです。

安全点検のためにショーを一時中断します、と放送が流れ、私は今度は別の心配をしていました。
このままショーが中止になってしまったらどうしようと。
羽生選手のプログラムを見られないまま帰ることになったら…と。

命の危険がある場合はそんなこと言ってられないし、状況によっては致し方ないかもしれませんが、もし中止なんてことになったら悲しすぎます。

そして何よりも、今控室にいるであろう羽生選手は、私よりももっと恐怖と戦っているかもしれない…と思いました。
ショーが無事再開したとしても、地震の影響で天井の機材に不具合が起こっていてもおかしくない。
最悪機材がリンクに落下してくるということもありえるのでは。
そんな中演技しなければならないのは、怖いだろうなと。


そんな心配を誤魔化すように、私はお隣の方と雑談しながら時間が過ぎるのを待っていました。

お隣の方は私よりもずっと先輩ファンの方で、アイスショーにも頻繁に足を運んでいる方でした。
地震があったことで、2019年のFaOI幕張二日目に地震があったことを思い出していたのですが、お隣の方も同じく当時現地にいたのだそうです。
あれはプルシェンコの演技の時だったね、二回も同じ目に遭うなんてビックリしたねと言い合っていたのですが、
私たちの意見が一致したのが、今回の地震は2019年の時よりも大きかったということ。

だけど、本当にあの程度で済んでくれて本当に良かった。
余震があるかもしれないという緊張感は抜けませんでしたが、「安全確認がとれたのでショーを再開します」というアナウンスが流れた時には歓喜の拍手が起こっていました。

ハビエルと織田くんの演技に励まされる



再開後、仕切り直して初めから演技を行ったハビエル・フェルナンデスのプログラムは圧巻でした。

演技が中断され、再び集中しなければならなかったハビエルこそ精神的に大変だったと思うし、万が一演技に支障があったとしても無理はないです。

しかし、全くもって気持ちの乱れを感じさせない演技でした。
そんなハビエルの演技に逆に励まされたような気持ちにすらなりました。

途切れた魔法を再びかけてもらえたような演技。
本当に素晴らしかった。
私はハビエルに惜しみないスタオベを贈りました。


そして続く織田信成くんの演技で、私は泣きました。

夏川りみさんの「涙そうそう」。
夏川さんの清らかで伸びのある歌声に包まれながら、織田くんのスケートを見ていたらようやく緊張感から解放された気がして涙が出てきたのです。

織田くんの柔らかな猫足着氷ジャンプを見て安心して、すごく癒されている自分がいました。

織田くんの衣装も色鮮やかで素敵でした。
濃く綺麗な水色で、どことなく和風。まるで七夕の彦星みたいな衣装だなと思いました。
織田くんも、ご自身のキャラクターを生かした個性的な魅力のあるスケーターだと思います。
彼の演技、大好きです。

地震があったから、という訳ではないけれど、
今回のFaOIはどのスケーターさんの演技も素晴らしくて、感動的で、時間があっという間に過ぎた気がします。

ステファン・ランビエールのマーラーも好みだったし、田中刑事さんのプログラムもかっこよかったし、三原舞依ちゃんにうっかり恋しそうになったし…素敵だと思ったプログラムはとてもじゃないけど書ききれない。

FaOIは羽生選手が出るからチケットを取ったけれど、それをきっかけに他のスケーターの演技が見られることもすごく嬉しいし幸せなことです。
フィギュアスケートの新たな魅力を再発見できる、貴重な機会。
私を夢の世界へと連れて行ってくれる、全てのスケーターをリスペクトします。


長くなってしまったので、続きます。

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