プロローグ感想⑥【質問コーナー】

かなり盛り上がった「Change」の後、羽生選手がマイクを持って話し始めました。
しかし、息が上がってとても苦しそうで、最初の声が掠れていたという記憶があります。

冒頭の6分間練習から「SEIMEI」、映像を挟んでの「Change」とここまですごく体力を使ったのでしょう。

羽生選手はひとつひとつの演技に全力を出し切る方です。
そのため、ファンタジーオンアイスなどのアイスショーに出る際は、体力を考慮してソロ演技は一つだけしか滑らないのが通常でした。

でも、今回はワンマンショーですから、ずっと休憩という訳にはいかない。

映像が流れている間でも衣装替えの時間もあるでしょうし、体力を回復する暇などほぼ無かったと言っていいと思います。

改めて、体力的にキツくて過酷なチャレンジをされているんだなと思いました。


息を整えつつ話し始める羽生選手。
生で、目の前で(実際はかなりの距離がありますが)、
本人の肉声が聴けた時、
じわりと涙がこみ上げてきました。

タイムラグも何もない、
TVニュースを介した情報ではない、ダイレクトに響いてくる感動。
憧れの人と同じ空間にいられることの嬉しさ。

この感覚を一度でも味わってしまうと、それを知らなかった以前の自分にはもう戻れないです。
だから、ファンは何度チケット落選の絶望を味わおうとも、めげずにチャレンジし続けるのだと思います。


事前に募集していた質問に答えていくというコーナーが始まりました。
初日の映像をまだ見られていないので、うろ覚えな状態で感想を書かせていただきます。後日加筆修正するかもしれません。

(CSテレ朝さんで後日プロローグ全日放送あると信じてますよ!)


一つ目の質問が、プロローグのテーマについて。
あまり覚えてないので割愛します!

二つ目の質問が、羽生結弦さんの呼び方について。
ここで彼が羽生「選手」呼びをしてほしいとお話しされてたので、私はそれまで違う呼び方をしていたけど、これからは羽生「選手」と呼び続けようと決意したのでした。

三つ目の質問が、羽生選手にとっての人生の節目について。

私は会場にいて、羽生選手がその自身の節目について答えた時、私の意識が一気に2019年までフラッシュバックしたのです。
その記憶について、長くなるかもしれませんがここから書かせてください。


羽生選手は、自身の節目は2019年のGPFから全日本にかけての時期だったと言っていました。

思うような結果が出ず、国際試合で銀メダルという成績になってしまうこともあった頃。
いつも金メダルを目標にして、またそれを堂々と公言して戦いに臨んでいた羽生選手にとって、銀メダルという結果はなかなか受け入れ難い事だったと思います。

上手くなっているはずなのに点数が出ないことへの焦りや、高難度ジャンプ偏重のスケートに疑問があったと本人が後に語っていました。


2019年の全日本、私はSPを現地観戦していました。

人生で初めての試合観戦でした。
ものすごく緊張して緊張して、全身から冷や汗が出てくるような状態で観戦していました。
私が緊張してどうするといったセルフツッコミを入れたいところですが…。

会場で「頑張れ!」と大声だして応援したかったけど、周りは全て同じ人を応援している訳ではなかったので、勇気が出ずにただ胸の前で手を握りしめていただけでした。

しかし、羽生選手は本当に見事なノーミスのOtonalを滑ってくれました。
高得点が出て、結果はその時点で1位。
私はその素晴らしい演技に立ち会えたことに感謝したし、翌日のFSも完璧な滑りで優勝するだろうと信じて疑わなかったです。
国内試合では敵なし、とも思っていました。


しかし翌日のOriginの演技は精彩を欠いてしまい、まさかの銀メダルになってしまったのです。

ショックでした。

羽生選手の気持ちは羽生選手にしか分からない。
でも、やっぱり、日々努力していた彼のことを思い、ほんの2年くらいだけど応援し続けてきたファンとしては、どうしても彼の心情を想像してしまい、悲しくてやりきれない気持ちになりました。
涙も流れて、もやもやした気持ちにもなりました。


私は羽生選手が平昌五輪で二連覇したのを見てファンになった人間です。
なので最初から彼は完璧な絶対王者として頂点に立っていました。

だから、やっぱり一番高い表彰台に乗る羽生選手をもっと見たいし、
二番目の表彰台に立つ羽生選手の姿は悲しすぎて、そのうち見ていられなくなるかもしれない、と思ってしまったのです。


そんな気持ちを抱えながら、その翌日のメダリストオンアイスを見に行きました。

そこで、羽生選手は、平昌五輪の時の衣装で「SEIMEI」を演じてくれたのです。
EXバージョンではありましたが、とても凛とした堂々たる演技で、私はすっかり魅了されました。
それまで封印されていたバックスクロールの振りも披露してくれました。
すごく、格好良かったです。

やっぱり羽生選手の演技が誰よりも好きだ。
そう思わせてくれる「SEIMEI」でした。

そして、エンディングで「負けないで」を誰よりも全力で歌っている姿を見て、私は自分の意識が変わっていくのを感じていました。

カメラから背を向けて、涙をぬぐう姿。
全日本の表彰式や記者会見の時、優勝した後輩選手を全力で称える姿。
昨日の今日で悔しくてたまらないはずなのに、客席を盛り上げようと一生懸命歌う姿。

全日本とメダリストオンアイスで私が見た羽生選手は、平昌五輪の時の自信に溢れた太陽みたいな人ではなかった。

苦しみもがく中でこそ美しさが際立つ、
暗闇で光る月のような人なのかもしれない。

そう思った時、昨日のもやもやした涙が、深い感動の涙に変わりました。
そして、自分の気持ちをはっきりと理解しました。

メダルの色なんて関係ない。
私は金メダルを取る羽生選手が好きなんじゃない。
羽生選手という人間と、スケートの演技そのものが好きなのだ。

この人のファンになれて、本当によかった。
これからも、何があっても応援していこう、と。


もしかしたら、2019年の全日本は、私にとっての節目だったのかもしれない。

だから、プロローグの質問コーナーでの羽生選手の答えに、衝撃を受けたのです。
羽生選手の節目と同じ頃に、私も節目を感じていたのだな、と。

今思えば…
いつも試合の時につけていたペンダントが変わったのは、この頃でした。
全日本の後に出場した四大陸選手権では、それまでと違う羽のペンダントになっていました。
そして、「Otonal」と「Origin」を変更して、「バラ1」と「SEIMEI」に変えるという異例なこともしていました。
きっと色々と心境の変化があったのだなと思います。

ここから、ただ試合に「勝つ」ためだけのスケートではなくて
「羽生結弦のスケート」を追求していくんだという節目を迎え、今に至っているのではないかと想像します。

羽生選手の言葉によって、過去の彼の言動の答え合わせを貰っているような気持ちになることがよくあります。
そういう意味で、初日の質問コーナーは私にとってとても有意義でした。

ちなみに、少し話が変わりますが…

「SEIMEI」とは本当に、ご本人にとってもファンにとってもものすごく重要だし、節目節目で滑ってこられたプログラムなのだなぁと思うと同時に、

まるで「SEIMEI」が一つの生き物みたいに意思があり、
舞う者の運命を握っているかのような、得体の知れない力を持っているのかもと思えてきました。

平昌五輪の時、中国の実況の方が詠んだという漢詩みたいに。

「運命が勇者に囁いた。嵐には逆らえない」


でも、羽生選手はきっと運命に対してこれからも立ち向かっていくのでしょうね。
「私が嵐だ」と言いながら。




想像力ばかり働いてしまって、まとまりのない長文になってしまいました…。

続きます。


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