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プロローグ感想②【6分間練習】

ぴあアリーナMMに入場すると、スポンサーの東和薬品のクリアファイルが入った袋が渡されました。
そしてその中には透明のバングルがひとつ入っていました。

友人と、これは何だろうね?と話していると、
ナレーターの新村さん(羽生さんファンの間では有名な方です)
がバングルの説明をしてくださいました。
どうやら光るバングルのようで、指示があるまで使わないでくださいとの事。

ルールを守る真面目な羽生ファンの端くれですので、しっかり言いつけを守るためにバングルはいったんカバンの中にしまいます。


そうこうするうちに、ついにプロローグが幕開けしました。

まだ記憶に新しい、プロ転向への決意表明の映像が流れました。

その後は、戦う羽生選手の映像。

戦って、戦って、戦って。
ひたすら「勝つ」ということを絶対的な目標としていた、競技会での羽生選手の姿が次々と流れます。

映像が終わると、暗い照明に照らされたリンクの上をツーっと音もなく滑ってくる人影。
たったひとりで。
ゲストスケーターは誰もいません。
群舞も始まりません。
これは羽生結弦選手ひとりだけが出演するショー。
前代未聞のショーが始まるのです。

暗闇の中でも重厚な存在感を放ちながら、羽生選手がリンクの中央で止まりました。

それと同時に「ドクン、ドクン」と鳴りだす心臓の音。

鼓動の音は徐々に速くなっていき、それはまるで私自身の心臓と呼応しているかのようでした。

音が止まると同時に、突然カッとスポットライトが照らされて、真剣な表情の羽生選手が姿を現しました。
一瞬静まる会場内。

なんだこの緊張感は?と固唾を飲んでいると、その緊張感の理由が新村さんによって知らされます。

「ただいまより、6分間練習を開始します」

おおー!!と客席から声にならない声が出た、と思います。
驚きました。

実は、プロローグの始まり方について事前に想像した時、私は
「もしかしたら6分間練習から始まるんじゃないか?」
と思っていました。

その予想は当たっていたわけですが、私の予想は今まで外れる事の方が多かったので、まさか本当にやってくれるとは思わなかった。
私は「黒い子」で登場するかな?と思っていたけどそうではなくて、白ジャス姿でした。

でも、その白ジャス姿というのもちゃんと伏線がありました。
羽生選手は、しばらくスケーティングしたりジャンプを飛んだりした後、おもむろにジャスを脱いだのです。
そこで初めて、次に滑るのが「SEIMEI」だということが分かりました。

「ジャス脱ぎ」も羽生ファンの中では有名なワードです。
シーズン初めての試合で、本番前の6分間練習の時に羽生選手がジャス脱ぎすることによって、そこでどんな衣装なのかを知ることができるので、ちょっとしたイベントみたいなことになっています。
まさに「ベールを脱ぐ」というか、ジャス脱ぎがファンにとっては衣装お披露目のイベントなのです。
羽生選手からしてみれば、ただ動いて身体があたたまってきたから脱いでるだけ、なのでしょうが。

私はジャス脱ぎを見たことがなかったので、見る事ができて本当に興奮したし、嬉しかった。

思い返せば、6分間練習といい、ジャス脱ぎといい、冒頭からファンの「見たい!」を叶えてくれる神構成でした。
「北京堕ち」さん達、ファン歴の短い方々にとっても、大変良かったのではないでしょうか。
もう羽生選手は競技会に出ることがありませんので、6分間練習もジャス脱ぎももう見る機会が失われていた訳ですから。

羽生結弦のファンのためだけの特別なショーなのだという実感がありました。
他のスケーターが出るショーだったら、こうはいかなかったでしょう。

さらにもうひとつ、羽生選手にとって演技前のルーティーンの一つである、
「しゃがんで屈伸しながらプーさんのティッシュケースに触る」
ということまで披露してくれました。

試合さながらの緊張感の中、アマチュア時代と変わらないルーティーンを済ませた羽生選手は、
アイスショーでは異例とも言える明るい照明の中、
SEIMEIの冒頭のポーズ、
胸の前で印を結び、目を伏せました。


続きます。

※初日の映像がまだ無い状態で書いているので、細かいところに事実と異なる部分があるかもしれません。後日加筆・修正する予定です。




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