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【伝説Re:01】「真名野長者伝説」②奇跡

炭焼き小五郎

玉津姫が目覚め、身支度をして出かける。

老人に案内された場所は、みすぼらしい小屋だった。老人が「小五郎はすぐに帰って来るだろう、ここで待っていなさい」と言った途端、どこかに消えてしまった。

しばらくすると、手足が汚れ、ボロボロの着物を着た若者がやって来た。
姫は「小五郎さん?」と尋ねると、若者は「そうです」と応えた。

姫は、三輪明神のお告げによって会いに来たこと、ここまで案内してくれた老人のことを話した。

小五郎は、「私は、見かけ通り、貧しい生活なので、とてもあなたを幸せには出来ない」と言った。姫は、必死に小五郎を説得して、とりあえず一緒に住む事になった。

姫は、家から持って来た、黄金を取り出した。
「これで何か買い物をしてして下さい」と小五郎に手渡した。
小五郎は、不思議に思いながらも食べ物を求め出かけた。しばらくすると、小五郎は手ぶらで帰って来た。

姫が、「何か食べる物は?」と尋ねると小五郎は「この下の渕に鴨がいたので、あなたにもらった石を投げたけど、ハズレてしまい、鴨に逃げられたんだ」と言った。

姫は呆れて「これは、ただの石ではなく、黄金という宝なのですよ」というと、
小五郎は笑いながら、「その石なら、炭焼き小屋や窯下の渕に沢山あって、困ってる位です」という。
姫は驚き、その渕に連れて行ってもらった。

そこには、小五郎の言う通り、黄金がゴロゴロと落ちていた。

姫が、呆気にとられていると、渕の水が渦巻いて、水の底から黄金の亀が浮き上がって来た。
姫は、昨夜夢で見た渕はここでは?と思い、顔を洗ってみた。
すると、醜いアザは、みるみるなくなり、とても美しい顔になった。
小五郎も勧められ、全身を洗うと、素晴らしい美男子となった。

つづく

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