マガジンのカバー画像

【伝説】

18
たまたま行った、大分県豊後大野市にある内山観音。 そこに伝わる伝説に魅了されました。 これからも色々な伝説を小説風に記録していたいと思います。
運営しているクリエイター

#豊後の国

【伝説Re:01】「真名野長者伝説」②奇跡

炭焼き小五郎玉津姫が目覚め、身支度をして出かける。老人に案内された場所は、みすぼらしい小屋だった。老人が「小五郎はすぐに帰って来るだろう、ここで待っていなさい」と言った途端、どこかに消えてしまった。しばらくすると、手足が汚れ、ボロボロの着物を着た若者がやって来た。 姫は「小五郎さん?」と尋ねると、若者は「そうです」と応えた。姫は、三輪明神のお告げによって会いに来たこと、ここまで案内してくれた老人のことを話した。小五郎は、「私は、見かけ通り、貧しい生活なので、とてもあなたを幸せ

【伝説Re:01】「真名野長者伝説」① 出会い

玉津姫 奈良の都の久我大臣に玉津姫という娘がいた。 姫は、顔形は整っていたが、顔一面にアザが出来ており、縁遠かった。 姫は、アザを治したいと、「三輪明神」のお告げがある事を信じて、「丑の刻参り」をはじめた。お告げ ある大雨が降る日の夜、社殿で雨宿りをしていると、「豊後の国に、炭焼き小五郎という者がいる。この者と夫婦になれば、末は長者になるであろう」とお告げを頂いた。 翌年2月、16歳になった姫は、密かに都を抜け出し、豊後の国へと下った。白髪の老人 玉津姫と侍女は、ようやく豊後

【伝説】「真名野長者伝説」① 出会い

玉津姫 奈良の都の久我大臣に玉津姫という娘がいた。 姫は、顔形は整っていたが、顔一面にアザが出来ており、縁遠かった。 姫は、アザを治したいと、「三輪明神」のお告げがある事を信じて、「丑の刻参り」をはじめた。お告げ ある大雨が降る日の夜、社殿で雨宿りをしていると、「豊後の国に、炭焼き小五郎という者がいる。この者と夫婦になれば、末は長者になるであろう」とお告げを頂いた。 翌年2月、16歳になった姫は、密かに都を抜け出し、豊後の国へと下った。白髪の老人 玉津姫と侍女は、ようやく豊後