マガジンのカバー画像

【伝説】

18
たまたま行った、大分県豊後大野市にある内山観音。 そこに伝わる伝説に魅了されました。 これからも色々な伝説を小説風に記録していたいと思います。
運営しているクリエイター

#般若姫

【伝説Re:01】「真名野長者伝説」③長者誕生

蓮城法師二人は毎日黄金を拾い集めた。あっという間に長者になった。 「真名野長者」と呼ばれ、その名は遠方にまで知れ渡った。 当然、沢山の人々が黄金を手に入れようと集まって来た。しかし、その人々が見つけるものはただの石ころばかりだった。 小五郎が行く場所には黄金があった。 小五郎は、真名野長者となってから、信仰を深め、唐の天台山に黄金三万両もの大金を贈った。 欽明天皇の世、天台山より返礼として、百済の僧の蓮城法師に薬師、観音の尊像を持たせて小五郎のもとに派遣した。 小五郎は蓮城法

【伝説Re:01】「真名野長者伝説」②奇跡

炭焼き小五郎玉津姫が目覚め、身支度をして出かける。老人に案内された場所は、みすぼらしい小屋だった。老人が「小五郎はすぐに帰って来るだろう、ここで待っていなさい」と言った途端、どこかに消えてしまった。しばらくすると、手足が汚れ、ボロボロの着物を着た若者がやって来た。 姫は「小五郎さん?」と尋ねると、若者は「そうです」と応えた。姫は、三輪明神のお告げによって会いに来たこと、ここまで案内してくれた老人のことを話した。小五郎は、「私は、見かけ通り、貧しい生活なので、とてもあなたを幸せ

【伝説Re:01】「真名野長者伝説」① 出会い

玉津姫 奈良の都の久我大臣に玉津姫という娘がいた。 姫は、顔形は整っていたが、顔一面にアザが出来ており、縁遠かった。 姫は、アザを治したいと、「三輪明神」のお告げがある事を信じて、「丑の刻参り」をはじめた。お告げ ある大雨が降る日の夜、社殿で雨宿りをしていると、「豊後の国に、炭焼き小五郎という者がいる。この者と夫婦になれば、末は長者になるであろう」とお告げを頂いた。 翌年2月、16歳になった姫は、密かに都を抜け出し、豊後の国へと下った。白髪の老人 玉津姫と侍女は、ようやく豊後

【伝説】「真名野長者伝説」⑤山路の正体

山路は、立派に流鏑馬の古式を披露し放生会は滞りなく行われた。そして、般若姫の婿となり、しばらくの間般若姫と山路は幸せに暮らした。家族全員が参加している般若姫ご懐妊お祝い会の席で、突然「八幡神」が出現し「皇子よ早く都に戻るのだ天皇が危篤だ」と告げた。長者も般若姫もその場に居た全員が驚いた。山路の正体は、欽明天皇の皇子、橘豊日皇子(後の用明天皇)だった。山路は、いや皇子は、般若姫との別れが辛かったが、勇気を出して言った。「もし、生まれた子が男の子だったら連れて上京しなさい。女の子

【伝説】「真名野長者伝説」① 出会い

玉津姫 奈良の都の久我大臣に玉津姫という娘がいた。 姫は、顔形は整っていたが、顔一面にアザが出来ており、縁遠かった。 姫は、アザを治したいと、「三輪明神」のお告げがある事を信じて、「丑の刻参り」をはじめた。お告げ ある大雨が降る日の夜、社殿で雨宿りをしていると、「豊後の国に、炭焼き小五郎という者がいる。この者と夫婦になれば、末は長者になるであろう」とお告げを頂いた。 翌年2月、16歳になった姫は、密かに都を抜け出し、豊後の国へと下った。白髪の老人 玉津姫と侍女は、ようやく豊後