後輩ジョングク

チョン君とお付き合いを始めてからと言うもの

会社では好き好きオーラを抑えてくれるようになったものの、プライベートではその反動か会う度にまぁとんでもない事になる

正直こちらの体力が保たない…

求められるのが嬉しくて断れない私も私だけど。

……

職場のフロアに着くと新人達が楽しそうに
話している声が聞こえて来る

A「チョンくん、今日ランチ行かない?」

B「この前、先輩に教えて貰ったお店のパスタが凄く美味しかったの。」

A「一緒にどうかな?」

B「ね?行こうっ!」

チョン「悪けど…予定があるから…」

A.B「えーーー。」

A「じゃぁまた今度誘うね。」

B「次は誘い断らないでよ?」

チョン「うん。」

な、なんか…ついつい
こっそり聞いちゃったけど
チョンくんがモテている…

A「残念だったね〜。」

B「もしかしたら今回は来てくれるかも?って期待してたのに。」

A「ね。」

B「でもチョンくん、前より柔らかくなったよね。」

A「そうだね。前なら"行かない。"って素っ気なく断られてたもんね。」

B「ね。」

みか「な!何よあの子達!チョンくんは私のモノなのに!あの子が柔らかくなったのは私が時間を掛けて丁寧に揉み解したからよ!って?」

『もう。みか、揶揄うのやめてよ!』

「ふふ。だってそう思ってたでしょ?」

『思ってないって!』

「いや、顔に出てたよ」

『出てません!』

「そうですか〜?ふふふふふ。」

『本当やめてよ』

「はいはい、もう黙ってますよ〜」

同期のみかと話してると
チョンくんがスタスタと近付いて来て
嬉しそうに微笑み

「椎名さん、おはようございます」

と話し掛けて来た
今はちょっとその顔辞めて、と思いながらも
やっぱり嬉しくて

『お、おはよう…』

と、笑みが溢れない様に耐えながら返す

それに気付いて慌てて私達にも挨拶する後輩達

AB「おはようございます!」

『おはよう』

そんな私達をニヤニヤしながら見つめるみか。

なんかもう朝から冷や汗かいてぐったりした。

チョンくんは最初はとっつきにくかったけど
優秀だしカッコいいし実は優しいもんな…

あんな若くて可愛い子達にもモテるの
当然だよな…

はぁ…

『はぁ…』

ついつい出てしまう溜め息

「椎名さん、どうしたんですか?」

『え。あ…』

「?」

『えっと…ちょっとボーッとしちゃってたかも。』

「大丈夫ですか?体調悪いなら…」

『大丈夫!大丈夫!元気だから!!』

くだらないこと考えてないで
仕事に集中しなきゃ

チョンくんに集中力切れてるのバレてた…
気を付けよ。

そう思っていたら

「椎名さ〜ん、ちょっといい?」

後ろの席からジン先輩の呼ぶ声。

近寄って指差されたPC画面を覗き込む

「このフレーズどう?」

『あ〜、インパクトあって良いんじゃないですか?』

「これさ、新商品の企画なんだよね。これなら若い子達にもウケるかな?」

『はい、良いと思います!』

「でしょ?ほら、ここんとこのイラストも可愛いよね?」

『あぁ、本当だ。かわいいですね!』

「う〜ん。どうでしょうね。これは…ちょっと若者にはウケないかも知れませんね。」

たわいもない会話に割り込む様に
入って来たチョンくん

『ちょっと!チョンくん!何言ってるの?!』

「チョン!お前…!俺の考えた企画にケチ付けるのか?!」

「ケチなんか付けてません。あくまでも意見ささただけです。」

「意見…」

「椎名さんの意見は必要だけど、僕の意見は必要ないって事ですか?」

「あ、いや、そんな事言ってないけど。」

「椎名さんも椎名さんですよ。」

『え?』

「御自分が何故この部署に配属されたか考えてみては?」

『は?!』

「いやいや、まぁそんな事言わなくても...」

『私だってちょっとダサいかなと思っだけど、チョンくんみたいにハッキリ言わなかっただけだから!』

「思っている事を言わないと意味ないと思いますけど?」

『そんな…喧嘩売ってるみたいな言い方が良いとは思えないけど?』

「喧嘩なんか売ってません。」

『そんな事、分かってるよ!』

「まぁ、まぁ、二人共、ちょっと冷静になってよ。なんか地味に俺が傷付くじゃん。」

「…」

『…』

ジン先輩に宥められてようやく治りまる私達。

なんな、久々にやり合ってしまった…

結局、仲直りするきっかけが掴めないまま
一日中気不味い状態で帰宅

……

自宅で一人ビールを飲みながら
今日の出来事を思い返す

はぁ…

最近、うまくやっていけてたのにな。

それにしても、御自分が何の為にこの部署に配属されたか考えてみては?

って。

図星過ぎて悔しくて
そうだね、って素直になれなかったな。

あの時、私が認めていたらこんな事には
ならなかったよね。

電話してみようかな…
いや、LINEしてみるか…

はぁ…

着信もLINEもないスマホを見つめる。

チョンくん、まだ怒ってるのかな…

私からかけてみよっかな…

少しの間考えていると

ブルブルブルッと震えるスマホ。

あ、え?
チョンくんからだ。

恐る恐るボタンを押しながら
スマホに耳を当ててみる

『も…もしもし…?』

「こんばんは。」

『あ…はい。こんばんは。』

「あの…」

『あ…あの…昼間の事だけど…』

「待ってください」

『え?』

「待って。実は今、椎名さん家の最寄りの駅に居るんですけど…」

『え?』

「そっち行ってもいいですか?」

『あ〜…』

「ダメなら帰ります」

『あ…えっと…いいよ。』

「ありがとうございます。」

『来てもらっても、何も無いんだけど...』

「大丈夫です。今から向かいます。」

数分後に自宅のチャイムが鳴り扉を開けると
目の前に落ち込んでいる様で元気のないチョンくんの姿が。

『いらっしゃい。どうぞ。』

と、声を掛けると

「お邪魔します。」

と小さく応えながら革靴を揃えて脱いだ彼。

お互いに口数が少ないし
相手の動作を探りながら接しているのが伝わって
重たい空気が部屋に広がる。

リビングへ向かうと
徐に私に向かって正座して

「すみませんでした。」

と、頭を下げるチョンくん。

『へ?』

「昼間…会社で…」

『あ、うん、分かるけど』

「....」

『わざわざそれを言う為に?』

「はい」

『...』

「いつも椎名さんから謝ってくれるでしょ?」

『あぁ…うん。』

「今回は僕がそうしたいな、って思ったので。」

『チョンくん…』

嬉しくて顔を上げれば

「また言い方を間違えました。」

『こっちこそ、ごめんね。チョンくんの言いたい事はちゃんと分かってるよ。』

「はい。あの…」

『ん?』

「抱きしめてもいいですか?」

『あ…うん…はい。お願いします。』

「椎名さん。」

スーツ姿のチョンくんにぎゅっと抱きしめられて
少し胸が苦しくなる

「アミさん、今日…朝から様子おかしかったですよね?」

『え…?今朝?』

あぁ…あの子達とチョンくんが話してた事か…

『いや、大した事じゃないの。全然大丈夫、気にしないで!』

「思ってる事ちゃんと言ってください。アミさんがは僕の事を尊重してくれてる様に僕もアミさんの思ってる事を尊重したいんです。」

『あ…うん…』

「仕事でも、プライベートでも。ね?」

『あ〜、でも…悩みって程でもないし…』

「それでもいいですから。」

『あ…うん…お願いします。』

そう言って両手を広げれば

「椎名さん。」

と耳元で囁かれながらスーツ姿のチョンくんに
ぎゅっと抱きしめられて胸が苦しくなる

私、ずっとこうして欲しかったんだ…
そんな事を考えていると

「椎名さん、今日…朝から様子おかしかったですよね?」

と突然チョンくんに問いただされて困惑する

『え…?私?今朝?』

あぁ…あの子達とチョンくんが話してた事か…

『いや、大した事じゃないの。全然。本当気にしないで!』

「思ってる事ちゃんと言ってください。椎名さんは僕の事を尊重してくれてる様に僕も椎名さんの思ってる事を尊重したいんです。」

『あ…うん…』

「仕事でも、プライベートでも。」

『あぁ…』

「ね?」

『あ〜、でも…悩みって程でもないし…』

「それでもいいですから。」

『チョンくん、今朝…同期の子達に話し掛けられてたなって。』

「……………。はい???」

訳が分からない様であからさまに
大きな目を更にまんまるくして
キョトン顔をするチョンくん

『だから〜違うんだってば!!!』

「.....?」

『あの子達見てね、あ〜、可愛いな〜とか若いな〜とか』

「......」

『自分と比較しちゃったり…するのよ、心が勝手に。』

「嫉妬したって事ですか?」

『違うって!そんな強い感情じゃないから!!』

と、手を左右に振りながら応えると

「否定しないでよ。」

そう言いながら振っていた右手を強く握られ
悲しみの込もった瞳にギロっと睨まれドキッとする

『え…』

「椎名さんを不安にさせたい訳じゃないけど、でもそうやって僕のことで悩んでくれるの、凄く嬉しいから」

『あ…うん…』

「寧ろ、椎名さんの嫉妬の火に焼かれたい」

『なんてことを…』

「だって嬉しくて。」

『あ〜ぁ、もう私って情けないとこばっか見せてる気がする』

そう言って彼の胸に顔を埋めれば

「…」

『はぁ…先輩失格かも…』

「最近、僕、ちょっとだけ椎名さんの真似してます。」

『え?真似??』

「椎名さんの柔らかい言い回しとか」

『あぁ…』

「椎名さんみたいに、話すだけで相手をふわふわさせるのは無理ですけど。」

『何それ、初めて言われたけど...』

「そのおかげで色々な人から話し掛けられる様にもなったし、話を聞く相手の態度も変わりました。」

『そうなの…?』

「はい。僕はあなたに教わって、あなたのお陰で成長出来てるって自覚あります。」

『はぁ…』

「椎名さんにはまだ僕のことそう見えてませんか?」

『チョンくん…』

「今日はちょっとイラッときて、元の自分が出ちゃいましたけど。」

『ご、ごめんね。イラつかせる様な事して。』

「いえ、椎名さんのせいじゃなくて…」

『え?』

「単に、ジンさんが近いんだよ。」

『え??』

めっちゃ嫉妬してるじゃん…
こっちこそ嬉しいんだけど。

「だいたいうちの会社、男女の比率がおかしいんですよ。何であんな男性が多いんだ...」

言いながらすっと私に近付き
優しく肩を抱き寄せたチョンくん

少しの間見つめ合った後
きゅっときつく抱きしめしばらくすると
腕を緩めて少し離れ
私の顔をじーっと見つめ
静かに唇を重ねたチョンくん

一度軽く重なった唇は直ぐに離れて
角度を変え再び重なり直ぐに舌が入ってくる
絡み合う舌、漏れる吐息、触れる鼻の先…
ちゅぷっ、ちゅぷっ、くちゅ、くちゅ、と
2人の蜜が絡み合い水音が部屋に響く

言葉にしなくても愛されてるのが伝わって
気持ち良くて幸せで
キスだけであそからもじわっと溢れ出るのが
自分でも分かって恥ずかしくなる

ようやく離れた唇と唇、舌と舌からは
ふたりの蜜がとろりと垂れる
それを手の甲で拭いながら

「椎名さん…いい…?」

甘い声で囁くチョンくん

断ったらどんな反応するのかな?って
そんなチョンくんも見てみたくて
断ってみたいけど、そんな余裕は私にもなくて
嫌…なんて言える訳もなく…

『うん』と小さく応えれば

「椎名さん…大好きです」

言いながらスルリとワイシャツに手を滑らせて
下着の上から胸に手を添えるチョンくん









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