向井潤吉

絵画に格別の思い入れがあるわけではないですが、向井潤吉さんの絵は好きです。

この方の絵をはじめて見たのが、「なんでも鑑定団」とかいう番組で紹介されたのが再放送された時。
あの番組にはいろいろ高価な絵画や骨董品が出てくるので時々は見ていたが、さほど引かれるものが無かったのも事実。それよりも、鑑識眼自慢のおっさんが偽物と言われてがっくりするのを見ているほうが面白かった。

気に入ったといって、向井潤吉画伯の本物の絵を購入するほどの財力があるわけじゃなし、手ごろな画集が無いかと探したら、講談社から「郷愁 日本の民家」というタイトルで出ていた。

この表紙からわかるように、古い茅葺き屋根の民家を描いているものがほとんどだけど、絵からなんとも言えない情感が醸し出されている。
年が年で、しかも生れは山奥だから、子供のころには茅葺きの家はそう珍しいものではなかった。しかし向井さんの絵からにじみ出ている情感は、昔を懐かしむ 郷愁 の一言で言い尽くせないものがあるように感ずる。
昔見たような、どこでも見たことがなかったような家、そしてそこではどこかで会ったことがあるようなないような人が暮らしており、生命の物語を紡いでいる……。私にとって向井画伯の絵はそんなようなものです。画集の中で一番好きな絵は「青梅」と題している次の絵です。
この絵も先に載せた表紙の絵も向井さんの絵としては勁い感じのもので、大体はもう少し温もりのある絵が多いです。

スキャンをすると色調も雰囲気も結構変わってしまいます。
向井画伯の絵は東京都世田谷区にある『向井潤吉アトリエ館』に展示されているので興味のある方は是非訪ねてください。
そこまで足を延ばせない方は『郷愁 日本の民家』(講談社アートルピナス)を私と同じように購入して楽しんでください。

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