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片づけには「保留」という選択肢が必要

一般的な片づけの方法として、
モノが多くて散らかる場合、
3つの箱を用意して、モノを仕分けする。 

ひとつは、「手放すもの」。
もうひとつは、「残すもの」。

もうひとつは?

 それは、「保留するもの」。

 要か不要かでいえば不要だけれど、
捨てたら後悔するかもしれないと思って踏ん切りがつかないもの。
そういう「割り切れないもの」を、
「答えを出さずに取っておく」のが「保留するもの」箱だ。
 基本的な決まりとしては、
「保留するもの」箱は期限を決めてしまっておき、
期限まで箱の中に残っていたものは、中を見ずに処分する。
そうすることで、「実際に不要だった」と
納得感のもとに手放せるというわけだ。

 モノの処分をスムーズに進める上で、
「保留する」という選択肢があることは
安心して手放すためにとても大事なことだろう。

 
心の整理でも同じことが言える。

人は不快な感情を感じたり
過去の記憶やトラウマを自覚したりすると、
一刻も早くそれを取り去ろうとする。
なぜなら「スッキリ」したいから。

家において、汚れものや古びたものを一掃し、
モデルルームみたいな部屋を目指すように、
心においてもネガティブなものを一瞬で失くし、
「スッキリ」した晴れやかな自分になりたいから。


でも、モノを捨てるときと同じで、
心を整理するときも、
手放した方がいいとわかっているけど
どうしても捨てられない感情や記憶が
必ずと言っていいほど出て来るものだ。

怒りや後悔、恨みや恐れなどなど、
許した方がいいとわかっているけど許せない、
忘れたほうがいいとわかっているけど忘れられない、
そんな気持ちが。

そういうときは、「保留する」といい。

 いらないとわかっているけど手放せないモノを、
手放さないといけない、何とかしなきゃと、
頑張れば頑張るほど迷いや葛藤が生じる。
そして、それと戦うのに
心は膨大なエネルギーを消耗し疲弊する。
しかし、たいていは捨てられないまま終わるので、
その作業は骨折り損になることが多い。

感情や記憶もまた同じで、
なんとかしようとしてもどうしても手放せないものを、
手放そう、忘れよう、許そうとすればするほど、
手放せないまま疲弊するだけだ。

だから、「保留」する。
その感情の存在を自覚し、不要であることも認めた上で、
自分の意志で手元に残すと決める。
それは、その感情の存在を許すことでもある。

モノと違うのは、手放す期限を決めないこと。
自然と手放せる日が来るまで、保留して待つ。

このやり方は「スッキリ」はしないかもしれないけれど、
不必要なものへの執着を薄め、
手放せないけど手放さなくちゃという葛藤に費やしていたエネルギーを
他に回せるという利点がある。 

そのエネルギーを好きなことや楽しいことをすることに使い、
心の中に喜びや嬉しさなど、
ポジティブな感情を生みだす活動に使うことで、
自分が思っていたのとは別の「スッキリ感」が心に広がるだろう。

 モノも、気持ちも、「手放す」か「残す」かだけではなく
「保留」という選択肢を持てるといいね。



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