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処女作


久しぶりだった、君にあった。
信号が変わった、青だった。
渡った先の君が言う、おはようかわいい。
それは本心?
何も知らない君からの薄い褒め言葉に安心してしまう。

いつもの喫茶店。君が飲むのはいつもと違うグレープフルーツジュース。
ここのはピンクなんだって目を光らせて自慢げな君。
甘酸っぱそうな見た目に負い目を感じる。

ピンクグレープフルーツジュース
私はなれない甘くも酸っぱくも。
赤信号だってまだ渡れない、まだまだ、まだまだ、

掴めない君の今日の話は街を仕切る信号なんだって。
黄色は止まらなきゃダメだよ、危ないからね。
かわいらしいピンクに口付ける。
あ、いま、引かれた境界線。

君の言葉には気持ちがない。
でも信じてみる君の音だけ。
ブクブク弾ける泡と私。
ピンクの液体に染められる、私も少し染まってみる。

ピンクグレープフルーツジュース
形にはまらない私も君も。
赤信号だって今なら渡れるよ、いま、いま。

赤信号の先には君がいる。
青でも黄色でもピンクでもない、甘くも酸っぱくもない。
車も自転車も人もフル無視で。
絡まったイヤホンをほどいた時、赤信号を渡った私。

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