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淵一助っ人クラブ[決]vol.4

「只今より淵野辺商店街vs町田商店街の第◯回定期対抗友好親善早朝野球大会(長ッ!)を開催いたします!!」
主審の掛け声と共に町田チームの監督から
「主審!何で淵野辺が先なんだよ?ウチの方が街はデカいし東京都だぞ!」
なんていう訳もわからないクレームが
入る始末。
「何言ってんだよ!今回はウチが主催だから
先に言っただけで、それに街の大小は関係ない
でしょう?大体、町田なんて誰も東京都だとは思ってないし…川崎じゃないの?ってのが
世間の評判だよ!」
(町田市民の皆様、本当に申し訳ございません)
「う、ググぅ」
「まぁまぁ、お互い落ち着いて!」
町田の側からはすでに吹奏楽団の鳴り物が
勢いづいている。
ご近所の皆さん、朝からご愁傷様です。
かたや我らが淵野辺応援団はトランペットが
ひとつだけの悲しい状況、不戦敗状態。

「大丈夫なのか、日野?」
五十嵐はさすがに不利を感じていた。
「う〜ん、ここまで圧倒するなんてさすがに
西東京大会で揉まれただけの事はあるわねぇ。
燃えてくるわ!」

「プレイボール!」
主審の高らかなコールで試合は始まった。
先攻は我等が淵野辺商店街。
トップバッターは洋服店の嶋田さん。
コンバットマーチを初回から
日野は一人で吹いている。
相手投手ののらりくらり投法でかわされ
難無くワンアウト、以下同文。

淵野辺商店街のエース、串揚げ屋の田中投手
(串カツじゃないのネ……)
も負けてはおらず、粘りのピッチングを披露。
しかし、ついにランナーをためてしまい、
ワンアウト1、3塁のピンチに。
ここで町田側からあの " 魔曲 " が………。

" 魔曲ジョックロック " の威力により2点を
先制された淵野辺商店街。
日野の孤軍奮闘の応援に周囲も徐々に触発され
熱を帯びてきたように思えた。
「悪いな、日野。お前だけ負担をかけさせて。
他にも声をかけたんだけどな」
「一人で巨象にぶち当たる感じも思ったより
悪くないよ!ねぇ、五十嵐聞こえる?」
日野の " 狙い打ち " に合わせ皆が歌い始めて
いるのを五十嵐は耳にした。
「何だ?相手の吹奏楽と遜色がないじゃん!
てかコレ、商店街の早朝野球だよな?」
と五十嵐が呟いた時、淵野辺にチャンスが!
ここで日野はあの曲を吹く準備を……。
                                                                        つづく




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