マガジンのカバー画像

連載小説 韓信 第二部 まとめ 『背水之陣』

9
連載小説 韓信の第二部を話数順にまとめてみました
運営しているクリエイター

#背水の陣

【連載小説】韓信 第16話:背水の陣

第2部#創作大賞2023 #オールカテゴリ部門 背水の陣  趙の井陘(せいけい)で戦端を開いた韓信であったが、彼の率いる軍は敵に比すと兵数において数段劣っていた。その状況を打開しようとした彼がそのときとった行動は、敵軍のみならず味方をも驚愕させるものであった。それが、韓信の名を現代まで知らしめることとなった背水の陣である。しかし私は、あえてそれについて教訓めいた言及を残すことは避けようと思う。彼のとった作戦はあまりにも突飛で、余人には真似をすることも不可能であるからだ。

【連載小説】韓信 第17話:邯鄲に舞う雪

第2部#創作大賞2023 #オールカテゴリ部門 邯鄲に舞う雪  人の世は、清濁入り交じって流れる川のようであり、混沌としている。清流が清流のままでいることは難しく、その多くは周囲の濁流の影響を受け、自らも濁流と化すものだ。  また、汚らしい泥のなかに埋もれる宝石が、その輝きを主張することは難しい。泥の中ではせっかくの宝石もただの石ころと見分けがつかないものである。  鬱蒼とした林の中で、わずかな日光を得て可憐に咲く花を見つけることは困難である。林の中は雑草ばかりで、深