素晴らしいコンサートでした!宮川彬良ピアノカルテット!
ようやく行けて大満足の内容でした。毎年開催されている宮川彬良ピアノカルテットのコンサートは、この日のためだけに宮川彬良さんが「ソナタ」を作曲し発表する場所として知られています。昨年はどうしても仕事の都合がつかず、始めて演奏された第1楽章を聴けなかったので、今年こそはと張り切って調整しました。
九州交響楽団のコンマスとして活躍されている原雅道さん、九響に在籍しながらもジャンルを問わず幅広い音楽活動をされているチェリストの宮田浩久さん、岡山フィルハーモニック管弦楽団のヴィオリスト島田玲さんと豪華なメンバーにもワクワクしていました。
一流の音楽家が集まると、とんでもない化学反応が起きることは予想していましたが、それ以上でした。
代表作の風のオリヴァストロをピアノカルテットで聴く贅沢
宮川彬良さん作曲の「風のオリヴァストロ」は、オーケストラで演奏される代表作だとは知っていましたが、ピアノカルテットとして編曲された音は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの各楽器がとんでもなく美しいハーモニーを奏でていました。音の一つひとつが歌っているように聴こえると言ったらいいのでしょうか…優しい旋律を深みのある音の構成でさらに心を開いていきます。オリヴァストロとはイタリア語でオリーブ色のという意味だそうで、この曲の爽やかさと何ともいえないノスタルジーな感覚を味わえるのは天才作曲家のなせる技のようです。
「ピラスの刃」にド肝を抜かれる!
おおっ!カッケー!と心の中で叫んでいました。4人しかいないのに、この迫力はなんだという衝撃で頭がいっぱいになりました。
ヴァイオリニストの原さんの透明感のある音色が情熱的で激しい音へと変化していく様が圧巻でした!音楽家は役者的な要素が必要なのかと思うくらいに別人のような表現力で、鋭い高音の美しさと音量の絶妙なコントロールにシビレまくり😍宮田浩久さんのチェロのセンスと言ったらたまらないカッコよさ!うねるようなリズムを創り出す技術とパワーが洗練された楽曲の印象をさらに強くします。ヴィオリスト島田玲さんのしなやかなボーイングから生まれる切れ味鋭い美音でますますドラマティックに!息の合った美しい演奏に感動しっぱなしでした。
煌めくシューベルトの弦楽三重奏曲
音楽劇ハムレットから「ピラスの刃」、「あの人はもういない」の見事な演奏の後に、「盤上の敵」という疾走感のある、これまたスゴイ音粒を浴びた前半の最後は、シューベルトの弦楽三重奏曲で心を奪われました!あまり演奏されないクラシック曲だそうですが、魅力的な音楽でステキ!もっとたくさん演奏される事を願っています。
参考としてYouTubeのリンクを貼っておきますので、一度お聞きください。生身の人間が創り出す音楽だからこそ圧倒される何かが確かにあります。何もないところから生み出される旋律を宮川さんはどうやって紡いでいるのだろうかと天才の頭の中を覗いてみたい気分に駆られていました。
ピアノカルテットのソナタの第2楽章は、この日が初演奏…休憩中もゾクゾクしながら待っていました💖
アキラさんのあったかい雰囲気も音楽の一部
宮川さんのトークは、とても分かりやすくて親しみやすくて楽しい!NHKの人気番組だった「クインテット」のように演奏者と客席が近い感じですね。これだけのキャリアがあるのに、気さくな感じでお話をされるところに驚きました。長年のファンの方が多いのは、リラックスした雰囲気で音楽を楽しめるところなんだなぁと、この時間を味わっていました。観客も含めて、コンサートをひとつの作品にしてしまうところは、すごい才能です。童謡「シャボン玉」の解説が聴けた事も大きな収穫!感謝の気持ちでいっぱいです。
ピアノカルテットの「ソナタ」は作曲家宮川彬良さんの完全オリジナル
バレエ音楽、ミュージカル、劇伴など多くの作曲と編曲を手がける多忙な天才は、制作依頼を受けることがほとんどで、オリジナルの楽曲を発表する機会が少ないそうです。
昨年発表された「ソナタ」の第1楽章は、音を探しながらの曲作りだったそうで、テーマや決まり事もない、まっさらな状態で音楽を紡ぐ作業は一年をかけて続き、ようやく発表されたそうです。
今回は、その第2楽章の完成披露でした。
1楽章は激しく情熱的な超絶技巧の連続
今までに聴いたことのない音楽!この作品が今後、楽譜として発表された時に、だれもが演奏してみたいと思うに違いないと確信しています。
激しく美しく、そして儚い色彩に満ちた旋律は、すご腕の音楽家によって音楽として現れます。生れ出るという感覚に近いです。ピアノパートの激ムズなフレーズは超高速、ヴァイオリンの奏でる音域の広さとキレッキレのチェロに、ビィオラの伸びやかな中音部が入れ替わりながら、奏でる音数の煌びやかさとスピード感!興奮マックスです!ジェットコースターのようにアップダウンを繰り返しながら、一瞬ピタッと無音状態になるところは、ほんとにもぉーーっと言いたくなるくらいの凄まじい感動に包まれます。
まるで、ダンスの高い跳躍を見ているような気分になりました。不思議です。音楽なのになぜこんな気分になるんだろう…第2楽章はどうなるだよと期待が高まります😆
第2楽章を聴いたお客様がつぶやいた「この曲はレクイエム」
一昨年に、大変お世話になった方が逝ってしまわれました。それは突然の事でその時には気持ちの整理がつかず、胸に大きな穴が開いたような思いが続いていました。第2楽章を聴いている内に、その思いがふっとあふれてきて涙が止まらなくなり、もう二度と会うことが叶わないという淋しさが満ちてきました。そうか、あの過失感は、悲しい気持ちだったんだと気づいた時に、今この時を大切に生きることを感覚的に捉えることが出来きました。まさに、ほんとうの感情を開放するカタルシスです。
鳴りやまない拍手の中で、ピアニストが静かに一言「第2楽章は究極の悲しみを表現しました」…天才ってほんとに存在します。来年は第3楽章だそうです!必ずコンサートのチケットをゲットして、この感動を体験します。
いつ編曲したんだい、今日の朝だよ
アンコールはなんとマツケンサンバのピアノカルテットのアレンジ!大サービスです!編曲した楽譜があるのね~と思っていたら、なんと当日の朝に譜面を書かれたそうで…天才は仕事が速いと聞いたことがあるなと笑いながら拍手を送っていました。
軽快なリズムのマツケンサンバは、それぞれの楽器が歌うように奏でられ、美しさと親しみやすさが溶けあっていました。最高のギフトを手渡しされたようで嬉しい気持ちでいっぱいです。大人な雰囲気のマツケンサンバはかっこいいですよ!
素晴らしい演奏を聴けて感無量です!世界一かっこいいピアノカルテットです!この公演が聴ける機会がもしございましたら、迷わず行ってみてください。世界が変わります。
宮川彬良公式サイトとXはこちら
ヴィオリスト島田玲さんの情報はこちら
宮田浩久さんの情報はこちら
九州交響楽団
岡山フィルハーモニックス管弦楽団
https://www.okayama-symphonyhall.or.jp/okaphil/
ひとよし森のホール
2024年11月9日コンサート詳細
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