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【2000の時を堕ちる】の設定・裏設定

台本【2000の時を堕ちる】 

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台本の基本情報

登場人物は少女(コードネーム:ストック)と殺し屋(コードネーム:ダフネ)の2名。赤部屋や三毒三巴、心理的アノミーや摩天楼の世界と同一の世界線でのお話です。ボイコネの自己紹介欄には敢えて詳細なキャラ設定を書きませんでした。この台本の面白いところはこの二人の関係性の考察と、その考察からくる二人のキャラ付け。そして「釘打ち」この三つだと考えていたからです。人物表記も敢えてストックではなく「少女」にしました。読み進めていくにつれ判明する諸設定を大事にして欲しいと思っていたためです。
あらすじとしては、殺しを請け負う組織に所属する二人の問答。ビルの屋上に指だけかかった、今にも落下しそうな少女の手にダフネが釘を打ち込んでいく。台本としては短く、間を長めに取っても20分以内には確実に終わるであろう長さ。

フミさんがこの台本の良さみを抽出した素敵コメントをくださっています。こういうコメント、心臓がどくどくするくらい嬉しくなるんですよね。晒します。

芯を抉ってくるような内容と、小気味いい会話、そしてそれを盛り上げつつ、静かにさせる、聴いている人の聞いている人の心を掴んで逃げられなくする釘の音。少女の最後の言葉は、醜くて、どこか美しかったです。」byフミクラ

この緩急の鋭さ、強さが演じる上での面白みなんですかね。おそらく。

フミクラさん作品の中でおいらが好きなの勝手におすすめします。
【激戦!熱戦!カードバトル!】
https://ul.boikone.jp/webview/shareLink?screenType=scenario&contentType=12&contentId=3566
【吸血鬼会談】
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【冥王のしつけかた】璃月なおさん合作
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フミクラさんはハイクオリティなアニメ台本みのあるシナリオを上げてくださるのでありがたい…やっててバカ楽しい。

考察のポイント・ヒント やりとりの出典

  1. タイトルの意味「2000の時をちる」

  2. 登場人物の名前の意味「ダフネ」「ストック」「ヘロン」「弾丸

  3. シチェーションの意味

  4. 少女「信じてたのに」ダフネ「勝手に俺を定義づけないでよ。お前が勝手に俺に期待しただけ」

  5. ダフネ「道連れにされるの怖いからこれ以上近寄らないけど」

  6. ダフネが時々発する気持ち悪いセリフ「良いシチュエーションだな。…綺麗な女の子と二人きり。美しい夜景と澄んだ夜風。」「あははっ、かわいい!俺女の子に罵られるの好きだなぁ、マゾかも。」「女のやめては「もっと」って意味だろ?」…などなど

  7. ダフネ「君が泣いてるとこ初めて見た。父親殺された時も泣いてなかったのに、…」

  8. ダフネ「笹野美月って覚えてる?」

  9. 少女「覚えてない」、ダフネ「本当に君何も覚えてないんだな」、少女「忘れるようにしてるからね」/少女「…忘れるようにしてる」、ダフネ「痛みを?」、少女「そう。痛みを。」/少女「どうだろ、忘れられてるのかなこれ。痛みを感じないようにしてるんじゃなくて、もう血が巡ってないのかもしれない。」/少女「痛くない。もう、何も感じない。」

  10. ダフネ「問十五。普通の人間が信仰しているのは…」

  11. 「(少女)死んだら罰を受ける気がする」「(ダフネ)死んだらその罰は避けられそう?」「これじゃない?」「ん?」「この、釘打ちが、罰」

  12. 少女「そうね、なら私たち死ななきゃ」の意味

  13. 少女の「命令」と「もちろんお前も…殺せ」の意味

  14. ダフネ「君の手、まだ温かい。」の意味

  15. ダフネ「命令…いや、お願いかな?全部は無理だけど一つだけなら聞いてあげてもいい」

  16. ト書「釘を抜いていくダフネ」の意図

  17. ト書「ビルから落下」落下したのは誰

ほな、書いていきましょか。長くなります。お茶と茶請けを用意してゆるりと読んでください。もしくは寝れない夜に読んでください。3割読んだとこくらいで寝ます。

経緯(読み飛ばしていい)

まずこの作品を書くに至った経緯から。自分語り。
この話は模試の帰り道の電車の中で書きました…が、この時はボイコネのアカウントを持っていませんでした。リリース時からシナリオをアップしていて、当初から赤部屋、三毒三巴、心理的アノミーなど、多くの方に読んでもらっていたんですけど…規約を守ってくれない人やアフタートークや上演中に台本を馬鹿にしたような読み方をする人が多くて、疲れてやめていました。「作品が好かれているわけでもなく、私が文章力に長けているわけでもなく、(その時比較的人気シナリオだった)赤部屋を私が書いてるから(他作品にも)いいねがついてるんじゃない?」と、作品や自分の文章力に自信がなくなってしまったんですよね。加えて、快くない使い方をする人がたくさん混じっている中に、自分の精神をすり減らしてまで作品投稿する意味がわからなくなってしまいました。
まぁ、、、シナリオライター界隈に慣れてないうちから馬力をかけすぎたといいますか、周りの目を気にしすぎたといいますか、気を使いすぎたといいますか、そもそも受験期の精神不安定期にこんなことやるべきじゃなかったといいますか。いいますか、いいますか、いいますか、モゴモゴ…その節はお世話になりました。掲示板も大いに荒れてましたね。ついでみたいな感じで「よしたに好きじゃない」みたいなこと書かれて、「お前誰?書く必要ある?」ってなってました。あっちからすれば「なんでわざわざゴミ箱の中身覗きにくる?」って感じなんでしょうけど。ゴミ箱の中にお手紙捨ててあったら気になって中身見てしまうタイプでした。私は。
そして、そのようないざこざがあった故か私の台本をやるのを少し怖がっている方が少々いらっしゃるようですが…作品に対しての批評はむしろ嬉しいです。そして解釈違い如きに怒りません。私が不快だったのはセリフを笑いながら読んだり、自分のミス(漢字の読み間違いや滑舌の弱さ、兼ね役忘れ)を台本や作者のせいにする図々しさ、劇中に飲食をしたり、寝たり…地の文が残らないほどのアドリブをしたり(ちなみにそれを本来アドリブとは言わない)、みんな規約を守ってやってくれてるから規約を守ってねというたら逆ギレされたり傲慢だのなんだの作家様病だのなんだの言われたり、あとは…著作権関係の認識の齟齬?そこまで理不尽な怒り方ではなかったと今でも思っています。怒りの矛先はごく少数の方々に向いていたものでしたが、台本の規約欄にお気持ち表明してしまったので,不快に思ったり、不安に思ってしまったりした方を多く作ってしまったかもしれません。申し訳ないです。疑問点や不満点があれば遠慮なくアフタートークでおっしゃってくださって大丈夫です。無理して誉める必要はございやせん。現在は性転換もアドリブも、禁止事項は一切ございませんから、他者に対してのリスペクトがあるなら常識の範疇で本当に自由にやってくださって大丈夫です。というか、もうわかんねぇ人にはわかんねぇしわかる人にはわかる。期待しても無駄、他者に期待しすぎ、そう、全員が善人じゃない。そういう思考になりました。いいよ、蕎麦でも啜りながらやってください。他の演者がどう思うか、知りませんけど。
そんなこんなありまして文章書くのを暫くやめていましたが…書いてしまったんですよね〜〜〜。その模試に出てきた文章に感化されて書いてしまったんですよ〜…勢いで。なんなら電車の中で完成してしまったんですよ…完成したら「ママ見てみて病」を患っている私はインターネッツという名のゴミ箱に放り投げにいきたくなってしまうんですよ。ボイコネで新しいアカウント作って、名前も全く変えて投稿しました。
しばらくはちまっとお気に入り登録(10とかだったかしら?)される感じだったんですけど、とある知り合いのライターさんが、台本をお気に入り登録したんですよね。
衝撃
なんで気づいたんだろ?
まさか私って気づいてんのかな?
なんでこんな無名奴の処女作にいいねを寄越してくれたんだろ?
そう思ってTwitterのDMに突撃しました。
その時のやりとりをどのアカウントでやったかわからなくてスクショ載せられないんですけど…「サスペンス台本を書いてみたくて新規投稿順に読んでいたら面白い作品を見つけたからお気に入りしました。まさかちゃいんさん(前名義)だとは…」的な(超嬉しい)。
これで少し自信がついた私。ヤケクソになって、「もうボイコネなんてヤラナイ!!!!ぴぇー!!」と言っていた過去はなんのその、「受験終わったらまた台本投稿しようかな…」なんて、なんだか泣きそうな気持ちで過ごしたのを覚えています。
その後、めるさんが発掘してくださって、毎日のように、というか本当に毎日釘を打たれて伸ばしてくださった思い出深い作品です。
ありがとうめるさん、めるさんが狂ったようにやってくれなかったらきっと今もいいねは10のままっす。そして多分、このお二人がいなかったら、辞める前にいろんな方が慰めてくれなかったら、「まだやりたい作品あったのに」とぼやいてくれなければ、過去作をまた投稿しようなんて思ってもみなかったはずです。みんなにとっては3桁以上ある「なんとなく好き」のうちの一つでもね、私にとっては」心臓が潰れるくらい嬉しい。
読み返して数多の稚拙さが残ると感じるものの、私にとっては大事な大事な作品の一つです。それでは参りましょう。

解説

1.タイトルの意味「2000の時を堕ちる」

小泉「タイトルってタイトルですからね。」
そりゃね

序盤ですが書くのめんどくさくなってきたので
ほい

答えです。
この地獄に落ちるまでにかかる年数が2000らしいです。
そして、この地獄に落ちる人が冒した罪についてもう少し詳しく

世界大百科事典内の五無間業の言及
【罪】より… 仏教における罪は法(ダルマ)にそむく行為,戒律に反する行為であり,その代表的なものが〈五逆〉ないし〈五逆罪〉である。すなわち(1)母を殺すこと,(2)父を殺すこと,(3)僧(阿羅漢)を殺すこと,(4)仏の身体を傷つけること,(5)教団の和合一致を破壊することの5種の罪をいい,無間(むげん)地獄に堕ちる罪であるから〈五無間業(ごむげんごう)〉ともいうが,これは基本的には同じ仏教でいう〈五悪〉(または〈十悪〉)や,キリスト教でいう〈七大罪seven deadly sins〉などと同じく道徳的規範に反する罪悪に属する。ところがのちになると,人間存在そのものが罪に覆われたものであるとの自覚があらわれ,それが極楽や地獄などの他界観や応報思想と結びついて浄土教的な罪業観が生じた

この台本は「生き方とは」「死とは」「罰とは」「信仰とは」さまざまな問いが編まれています。いくつかの選択肢の中で、これが一番暗喩的でvague(?)で、だけどわかってしまえば直接的で好きでした。そこまで深くは考えてはいませんが、一応引用元はございますよという話でございます。

2.登場人物の名前の意味「ダフネ」「ストック」「ヘロン」「弾丸」

「ダフネ」
ダフネって日本語で何かご存知ですか?
「沈丁花(じんちょうげ)」です。
沈丁花って何かご存知ですか?
花です。
創作界隈の大好物、花。
花といえば、花言葉。
はい。もう最近花由来の名前が出てきたら花言葉をググるくらい、花言葉関連のカラクリ多用されてて正直飽きていると思うんですけど、それでも私はやりますよ。だってエモいじゃん。
  〜沈丁花の花言葉〜
      実らぬ恋
覚えといてちょ。

ちなみにミステリ作品好きな人はご存知の方もいるかもしれませんが、
「この闇と光」という作品にもダフネという名前の人物が出てきます。

この作品すごくいいです。めっちゃおすすめ。大好き。世界観がどハマりなのもそうだけど、話の構想、仕組みがうますぎる。ミステリとして読むとちょっと違う。ファンタジーとして読んでほしい。星2以下のレビューはもう何も理解してないって感じなのであてにしないでください。てかネタバレとレビュー絶対事前読みしちゃダメ。ネタバレ読んだだけでこの作品の面白さの9.5割が消える。読んで。お願い。読め。

「ストック」
こちらも同様、ストックって名前のお花があります。こちらは花言葉ではなく、とある言い伝えと絡めました。その言い伝えを以下に書かせていただくんですが…出典が不明なんですよねーーーー…わかる方、もしいましたら教えてください。

花言葉の由来となったストックの言い伝え
敵国の王子に恋に落ちた姫。しかしそれが王様にバレて姫は塔に閉じ込められてしまう。塔からロープを伝って王子にこっそり会いに行っていたものの、ある日ロープが切れて姫は落下死してしまう。それを憐れんだ神様は、姫をストックにして弔った。

*「ダフネ」「ストック」という名前に込めた二人の関係性
ストックは組織の裏切り者
(別に恋はしてない)です。なのでダフネに殺されます。
ダフネはストックが好きです。大好きです。
これ、気付いてる人いましたね。

「ヘロン」「弾丸」
横文字は日本語に、日本語は横文字に。私の台本の基本です。(知るか)
ヘロン→鷺
弾丸→バレット

(発音はどちらかといえばブレットだって?知るか、バレットのがかっこいいんじゃ)心理的アノミーを覚えている人はいますか…赤部屋を覚えている人はいますか…そうです…あいつらです…

ダフネ、ストック、鷺(心理的アノミーに登場)、弾丸(赤部屋、心理的アノミーに登場)、そして夢花[梦花](摩天楼に登場)が所属している組織は同じです。

終わり、ちゃんちゃん

3.シチェーションの意味

シチュエーション、しちゅえーしょん、そう、状況。
なぜこんな現実味のない舞台設定にしたか?

無理なんすよ、釘が打てる材質で屋上が作れるわけがないし、打てたとしても「「「カン!!」」」で済むわけがないし、人間であればストックがこんな長い間耐えられるわけないし。
https://jp.quora.com/キリストは十字架に磔刑になりましたが-両手と足を

でもね〜〜〜〜非現実的でもね〜〜えも!好き!って思ったら書くしかねぇんだ〜だってエモいんだもん〜落ちるやら堕ちるやら意味付けしたかったんだもん〜タイトルともいい感じになるしさ〜深みがあって良いじゃん〜

これは単体で説明するより他と絡めてふんわり理解してほしい、なので飛ばすよ。次。

4.少女「信じてたのに」ダフネ「勝手に俺を定義づけないでよ。お前が勝手に俺に期待しただけ」

これは伏線とかじゃなくて、このセリフの元となる発言を明記しようと思って解説ポイントに捩じ込まさせていただいた。

これを思い出しながら書いてた。まじいい言葉だよね。親戚に「〇〇に会うと芦田愛菜を思い出す」って言われたんだけど、んなわけあるかって思ったよね。芦田愛菜様凄すぎなんだよ。「アシダマナダヨ!!」「ガハハ😂」の流れをやってた連中に下痢になる呪いをかけてたくらい芦田愛菜様を崇拝してたので脳にこのセリフがこびりついてた。信じるってなんだろう、信仰って、なんだろう。信じるって自分との戦いなのでは?10.のダフネの「信仰」の問いに若干繋がります。てかそもそも「星の子」が題材として好き。書籍は読んだから映画でちゃんと見たい。なんだろう、直接的に絡んでるというよりかは、思考の発端というか、突っかかり。オナモミの超先っちょくらい。

5.ダフネ「道連れにされるの怖いからこれ以上近寄らないけど」

おかしくないですか?これ。
道連れにされるわけがないんですよこの状況で。
圧倒的優位に立っていて、肉体的にも有利なダフネっちが、一緒に落ちちゃうなんてそんなこたぁあるはずがございやせん。
このセリフはダフネの線引きのつもりで書きました。
「これ以上近寄らない」、すなわち、なんの譲歩もしないの意思表示
(裏切りの)道連れにされるのが怖いのは、ストックのことが好きで揺らいじゃいそうだったから。もう覚悟は決めた後。聞く耳は持たない。ここで死んでね。これが君と俺の最期の逢瀬だから。

6.ダフネが時々発する気持ち悪いセリフ

これはちょいちょい感じ取ってくれている方がいましたね。
ダフネは加虐で性的快感を感じる人です。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1143997376
https://jp.quora.com/suki-sugiru-to-koroshi-taku-na-tte-shimau-kai-shi-te-shima-itai-shoudou-ni-ku-rareru-no-ha-doushite-desu-ka
すなわちこの台本は…
……
うーん、言葉を濁したい。濁すと余計まずい?
私が変態みたいになる?
えと、、、、、
うーーん、、、、、、
ダフネっちは死ぬ前に好きな子とヤれた…ってこと…

この台本、誘いにくくなったね。ごめんね。
でも正直気付いてたっしょ?

おや…

7.ダフネ「君が泣いてるとこ初めて見た。父親殺された時も泣いてなかったのに、…」

その他にもダフネとストックは親を殺されて組織に入ることになったと読み取れるような描写があったと思います。
しかし
「君が泣いてるとこ初めて見た。父親殺された時も泣いてなかったのに」
これは、ダフネがストックの親の殺害現場を見たということになります。
そして、1.に戻りましょう。
2000の時を堕ちる、堕ちるのはストックですが、それはつまりストックが無間業を犯した(親を殺害した)ということになります。
そして、9.のやり取りやその他やりとりから察した方もいるかもしれませんが、ストックは「生きる意志」があります。そして同時に「自分の罪への自覚」があります。
ここから導き出すのは、「ストックは母親の殺害をダフネに強要された」ということ。ストックの父親を殺害したのはダフネです。

裏設定
ダフネはストックの父親の殺害を依頼され、実行します。しかし、そこに偶然ストックとその母親が居合わせ、現場を目撃してしまいます。サドのダフネはロリコンな上にストックのお顔立ちが好きだったので、「ここで殺しちゃうのもったいないなぁ」と思います。殺しの適正があれば(殺すことにそこまでの抵抗がなければ)ストックを組織に入れるよう掛け合える、そう判断したダフネはストックに母親の殺害を強要します。ストックはパニックになっていて、叫ぶことも泣くこともできないほど気が動転していたわけですが、ダフネから見て”冷静に”母親を殺せたおかげで生き延びることができました。なのでずっとダフネを恨んでいるし、組織を恨んでいます。いつか殺してやりたい、いつか復讐してやりたい、そう思いながら今日まで殺しをやってきました。かわいそうな子ですね。

8.ダフネ「笹野美月って覚えてる?」

いや覚えてねぇよ、誰だよ。
敵対組織のボスの孫娘か、ふーん。

え、この話の流れいる?
いらなくね?

いらないように思えるのに入ってる話は伏線です。ここ、テストに出ます。

その後に「君がとどめを刺した」というダフネのセリフがあるので合わせていきましょう。

*裏設定*
ストックが密かにつながっていた敵対組織のボスの孫娘が美月です。ちなみにストックとお顔立ちが似ています。なのでダフネも名前をしっかり覚えているし、「美人だった」と言っています。二人で殺しに行きましたが、美月は死んでいません。ストックがうまいこと根回しして殺害したことにしています。ダフネもそれに気付いています。気付いた上で、騙されたふりをしています。バレたらストック殺されちゃうしね。でも我らがボスにバレちゃいました。ストックが裏切り者なのもバレちゃいました。ダフネ、どうしようもなくなっちゃいました。ならせめて、ストックを処刑するのは俺がいいな。ボス、ストックの処刑、俺がやります。俺はボスの犬だって証明します。そしてストックはしっかり殺します。他の誰にも、とられたくないし。

まさかこれを演者に気付いてほしいだなんて思っちゃいませんが、ちゃんと設定がある上で話を書いたのでこれは絶対に入れなきゃなりませんでした。せいぜい、「なんでわざわざフルネームで?」「なんかあるな」と引っかかってくれればいいなと考えておりました。

9.少女とダフネのやりとり「覚えてる?」「覚えてない」「忘れるようにしてる」「痛みを?」

これはわかるでしょう。(多分)
というか、さらっとは読み流さないでしょう。(多分)

ストックは全部覚えてるし、痛みもしっかり感じてるんですよね。
前述しましたが、ストックはなりたくて殺し屋になったわけではありません。ずっと、苦しみながら、自分が死なないために殺しをしています。そして自分が苦しまないように、痛みを感じないように、忘れようとしています。

「どうだろ、忘れられてるのかなこれ。痛みを感じないようにしてるんじゃなくて、もう血が巡ってないのかもしれない。」

訳しましょう。

「どうだろう、忘れられてるのかなこれ。痛みを感じないようにしてるんじゃなくて、痛みを感じるような人の心がもう残ってないのかもしれない。もう、(人として)死んでいるのかもしれない。

そしてその後の
「痛くない。もう、何も感じない。」

ここで、もう(人としての)自分は死んでいると断言しています。

ストックが完璧な殺し屋ではなく、少女と殺し屋のボーダーを行ったり来たりしている不安定な人間だとわかれば、劇中でのダフネの問いに対する答え方に深みが出るのではないでしょうか。

10.ダフネ「問十五。普通の人間が信仰しているのは…」

なんやねん問15って?!?!?!?!!?!?

ここで私の好きな短歌とその考察を紹介します。
https://reistenza.com/intersting/yozoranoaowo-bibunseyo.html#1つめ_十二_の意味はあるのか?

こちらを踏まえて書いたセリフになります。そう、問15に辿り着くまでに14の質問があるんですよね。数えてみてください。

そしてなぜわざわざ、ダフネが「問一」「問二」と質問を並べていかなかったのか、に関しては、くどいからという理由以上に、この短歌の存在を踏まえた上でのセリフにしたかったというのが大きいです。和歌の修辞法でいう「引き歌」のようなことがしたかったんですよね。ダフネが想い人を殺すという瞬間的な出来事を、微分して(点を引き伸ばして引き伸ばして引き伸ばして…)、周りの明かりは無視して(二人だけの問答を)書き連ねたわけです

11.「(少女)死んだら罰を受ける気がする」「(ダフネ)死んだらその罰は避けられそう?」「これじゃない?」「ん?」「この、釘打ちが、罰」

ここでおさらい。
ストックにとっての罪と罰は何か。

ストックは、ダフネの「人殺しをしない人たちが信仰しているものは何か」という問いに「罰」と答えています。そして「死んだら罰を受ける気がする」だから、「死ぬのが怖い」、そう言っています。さらに、「この、釘打ちが、罰」と、自分が既にその罰を受けているのではないか(=死の確信)、と言っています。

ストックは自分のことを生粋の殺し屋だとは思っていません。しかし罪の自覚はあります。彼女が信仰しているのは罰であり、罰と罪は必ず対応する概念です。罪を犯したから罰を受けます。ストックにとっての罪は、親を殺してまで生き延びたこと、復讐という生きる意味を見出して、生きるためにたくさんの人を殺したことそれなのに、復讐も果たせないまま死ぬこと。ストックは、この殺される間際の釘打ちを「罰」としています。つまり、この台本において釘は罰のメタファーです。

そもそもの釘打ちの発想元はキリストの処刑だよ〜聖書はめちゃくちゃおもろいから読もうぜ〜
https://ja.wikipedia.org/wiki/聖痕
https://news.nicovideo.jp/watch/nw8837396

また、前述した通り、ダフネはストックの復讐心に気づいています。ストックが殺しに染まりきっていないと気づいた上で、はぐらかし、揶揄いながら、最後の会話を楽しんでいます。そしてこの質問の数々は、ストックの全てを理解したいという思い故に発せられるものです。見透かした上での問い…といいましょうか。ストックの「殺しをしたがらない理由は罰を信仰しているから」という答えに対して、ダフネは「人は生きる意味を信仰している」と返します
おかしいんですよね。
「なぜ人は人を殺したがらないか?」という問いの答えにはなっていません
ダフネはここで、ストックの「罪を信仰している」という答えが、問いへの質問以上に、ストックの今まで冒した自身の罪に対する懺悔の意味合いを持つことを感じ取っています。質問に答えつつ、「自分は多くの罪を犯したから罰を受ける、そう思っている」と述べるストックに対して、「お前は、復讐っていう『生きる意味』を信仰してるんだろ?」って、そういった返答です。ダフネもストックも、言葉の真意を探りながら、でも自分の心のうちは見せようとせず、はぐらかす。そんなやりとりでした。

12.少女の「そうね、なら私たち死ななきゃ」の意味

ここまでの説明で、ダフネがストックの理解者だということはわかったと思いますが、ここ以降はストックからダフネに対するアプローチです。

先ほど、ストックのダフネの問いに対する答えは自己紹介でもあると述べました。
それはダフネも同様です。
ダフネは「人は生きる意味を信仰している」といいます。そして、「生きる意味がないから死ぬって人が多い」とも言っています。
ダフネにとってのこの「人は…」という言い草は、「(殺しをしない)人(たち)は…」であり、ダフネは自分を殺し屋だと認識しています…分かりにくいので訳しましょう

「自分以外の人たちは、生きる意味を信じてるから、生きる意味がなくなったら死んじゃうけど、俺は生きる意味が既にないのに生き続けるんだなぁ…」

文中に出てきましたが、ダフネも元々は自分から望んで組織に属しているわけではありません。ダフネも親を殺されて組織に所属することになっています。ダフネはストックに、自分と同じ経験をさせたんですね。ダフネとストックは同じ境遇ですが、組織への属し方、つまり、生き方が異なります。

ストックは人としての心を残したまま組織に属していますが、ダフネは生きる意味を見出せず、虚無を抱えて流されるまま組織に属しています。ダフネには生きるための強い意志がありません。加虐時に感じる興奮以外の感情が希薄で、ストックのことが好きなはずなのに、彼女のことを命を賭してでも救うといった発想は出てこない。全てが「なんとなく」であり、命令がなければ自分の意志で動けません。めちゃくちゃクズの栗花落カナヲです。

そんなダフネの性質をストックは理解しています。
ストックにとってダフネは、仇であると同時に現世に残された唯一の理解者であり、それと同時にダフネの一番の理解者はストックです。
ストックもダフネを憐んでいます。
生きる意味が見出せないまま、死ぬ意味も見出せないまま、ボスの命令に従い続けて感情を殺し、これからも殺し屋として生きていくであろうダフネのことを。

ストック「そうね、なら私たち死ななきゃ。」

「ダフネ、終わりにしてもいいんじゃない?」
そう発してみるけど、復讐心故に、やはり一緒には終わってあげたくない。そんなストックのセリフでした。

13.少女の「命令」と「もちろんお前も…殺せ」の意味

これは12とリンクしています。ボスの命令に従ってしか動けないダフネを断ち切ろうと、ストックから"命令"を。

「お前を殺せ」

生きる意味を見出せないお前はもう殺せ。
こんな無駄なこと、もう終わりにしなよ。
飼い主殺して、自由になりなよ。
そんな思いと、ストックの消化されなかった復讐心がゴタゴタに混ざった呪いの言葉。

14.ダフネ「君の手、まだ温かい。」の意味

「血が巡ってないのかもしれない」というストックのセリフに対応するセリフ。
お前は殺し屋になれなかったよ。たった一人の、普通の女の子だったよ。
そんなメッセージ。

15.ダフネ「命令…いや、お願いかな?全部は無理だけど一つだけなら聞いてあげてもいい」

ダフネが聞く気になった「命令」。もうわかるんじゃないかな。

16.ト書「釘を抜いていくダフネ」の意図

11で述べたように、釘は罰のメタファーです。ストック、君は罰を受けるに値しないよっていう弔い。よく頑張ったねって。

17.ト書「ビルから落下」落下したのは誰?

15と13をヒントにすると、「ダフネも身を投げている可能性」が浮上します。

解釈は委ねます。正直、ダフネは死んでも、死んでいなくても…
【摩天楼】にダフネが登場しますが、【摩天楼】がこの作品より前のお話でも、後のお話でも、どちらでもいい。私にとっては些細なことですから。




ちなみに、この作品が前まで赤部屋や三毒のシリーズにはなっていなかったといっている方がいましたが…いえ、ずっと前からシリーズのカテゴリにしていました。詳細検索かなんか使っててはじかれていたんじゃないでしょうか?初っ端のパナから同一世界線にカテゴライズしていました。あ、怒ってないよ。むしろその人台本について色々考えてくれてて嬉しかったんだ。アフタートーク聞いてると(聞かなくても劇きけば)台本について考えた人か考えてない人かってわかるからね、怖いよね。私はそれがバレるの怖くて裏劇しかできない。アフタートークで「なんかよくわかんなかった」「難しかった」っていってる人がよくいるんよね。そのとき俺めっちゃ2828してる。「へへ、わかんないだろ!」って。それに対して説明できる人いたら「あなた様すごくね??」ってなってる。ガチスゲェと思う。なんでワカンの?工藤新一江戸川コナンじゃん。

なんかグダグダ言ってきたけど…

別にこのnoteを踏まえてやる必要はどこにもないです。ダフネをただ頭の狂った殺人鬼にしてもいいし、哀愁をとっぱらってもいいし、自由にやっていいんですよ。このnoteを読んだ人さえも、設定はガン無視していい。なぜならガン無視していいようにわざわざ明言してこなかったから。無視していいような書き方にしてる(はず)。別にタピオカを飲むときに「昔はタピオカ芋って戦時中の非常食だったんだよ…そんな丸くしてポップなkawaiiにアレンジされたのは最近のことでね…」なんて知ってる必要ないんすよ。「タピオカぐにぐにしてておもしれ〜〜〜🤤♪」「ウマ〜〜〜😆」「ってか学校帰りに女子三人で一個ずつLサイズ頼んでるの強すぎ😂わら」でいいんすよ。店の前で「カエルの卵みたいでめちゃグロなんですけど!!🥺」って言わなきゃいーよ。自由にやってね。
タピオカにナタデココトッピングする人がいても、揉めないでね。それがタピオカである限りは…(は?それがタピオカかどうかわかんねぇから揉めるんだろって?………ダヨネェ…)

え、めっちゃ楽しかったんですけど!

note書いてよかった〜めっちゃ楽しかった。てか次回作書く時に役に立つなこれ、他作品もかこ〜
多分ここまで全部読んでくれたの一人いれば上場だと思うけど、もし作品に関して気になることやわからないこと、話してほしいことあったら以下のフォームから送ってね!ヨロピコ!


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