北京と自称「旅人」

灯台下暗し。留学といえばヨーロッパやアメリカなどがスポットライトを浴びがちだが、隣の国の中国でこんな狭い世界で生きていたんだって実感させられた。
「一言で説明しきれない情報量。」
その光景は、何もかもが常識外で滅茶苦茶だった。
それが私の根底にあった固定概念を叩き壊してくれた。
常に何か起きそうなワクワク感がこの北京での原動力になっていた。

高校生の時からずっと分からなかった自然体の自分像。
これって本当に自分の人生を生きているのだろうか?
と疑問に感じた日常。

世間のラベリングをぶち破って、
私は私にしか歩んだことの無い人生を歩んでみたかった。

身近やインターネットの世界で活躍する人達に憧れ、気づいたら背中を追っていた。

心臓バックンバックンにさせて、
飛び込んでみたそんな夢追い人の私の体験談。

元々、一人旅がとても好きだった私。
この北京に来る前も一人で和歌山県を旅していた。
毎回一人旅のはずが帰る頃にはいつも誰かと一緒にいる。
そんな私は周りの友人から「人の中で生きる人」とか「行動力オバケ」とよく言われていた。

そんな感じで北京に来ても、暇さえあれば、
自転車を借りて走り回ったり、一人で地下鉄の旅をしていた。
そんな中で一番に感じた物は、人の温かさだった。

私は中国語は全く話せない。
你好,谢谢ぐらいしか話せない。
更に英語も日常会話がスラスラ出来るレベルにすら、達していない。
でも彼らは優しく接してくれた。
留学前の中国人のイメージは、せっかちで短気と云うイメージがあった。しかし、その先入観は間違っていたようだ。
例を挙げると、買い物を手伝ってくれたり、中国語の正しい発音を手伝ってくれた。
そんな優しさに私はとても感動したことを今でも忘れない。

「先入観は可能を不可能にする。」
ドジャース大谷翔平が高校時代恩師に言われた言葉。
私はこの留学生活での一番の成長は、先入観を取っ払えた事だと思う。

「まず英語からやったら」とか「海外で通用する訳が無い」とか
本当に色んなことを言われた。
先入観に支配された人達からの言葉。

悔しかったし、かなり自信を失くした。
でもその背中を押してくれたのは、留学先を中国にしようと思ったのは
スノーボーダーの先生の言葉だった。

「俺は凌磨が海外向きだと思うし、中国の人と仲良くなれると思うんだよな。大切なのは選んだ道を正解にする努力。」

今まで経験したことが無いことばかりで、ものすごく怖かった。
中国留学の酸いも甘いも知っているそんな存在で
自分らしさを貫いている毎日挑戦の日々を過ごしている。
そんな人から「君ならやれる」と言って貰えたことは
自分の中でも安心できる材料になった。

しかし、こっちに来てからは本当に色んな壁にぶつかった。
一番は中国語の壁だった。
中国語を習いに来ているはずなのに、
何故か中国語で授業を受けている。
最初の方は、毎日頭が真っ白になっていた。
やっぱり、自分じゃ無理なんかな。本気で思った。
でもスノーボーダーの先生の「選んだ道を正解にする努力」って
言葉が私を支えてくれた。


背中を押してくれたのは、そんな言葉だけじゃなかった。
現地で仲良くなった中国人の友人や出来ない私見捨てない先生方のサポートがより私を遠く、そして早く足を進めてくれた。
当初の自分の予定を大きく前倒しになる成長スピードに周りも自分もびっくりしていた。中国人の友人と一緒に登山に行ったり、一緒にサッカーをしたり、積極的にコミュニケーションを取った結果が身を結んだと思う。

私にとって、人の中で生きる私の旅の仕方を改めて確認させられた2ヶ月になった。
一人では絶対辿り着けない様な場所に、みんなで協力して立ち向かう。
一人旅のはずなのに、旅先の人と仲良くなって一緒にまた旅をする。
たまに回り道したり、景色を眺めたり、本当に自由気ままにマイペースに、だけど誰かと力を合わせて進む。
そんな日々を毎日色んな感情と共に日記に残す。
またその歩いて来た道が自信になる様に。

人生を100ページの本に例えたら、まだ20ページぐらいだし、
この北京での生活は4ページに纏まってしまうかもしれない。
毎日ご飯食べて、水飲んで、しっかり寝れば生きていける世界で、
わざわざ4ページの為に、私が旅をする理由は、まだ見てない角度で私を知りたいから。100ページの本の題名を探したいから。

そんな自分にとって広い中国は最適だ。
色んな人がいる。色んな場所がある。色んな物がある。
4ページかけて全ては語りきれないかもしれない。
だけどこの一文字にも満たない一瞬、一瞬を全力で紡ぎたい。
この小さな旅が終わった時、見返せる様に。

そんな自称「旅人」の留学生は、
一冊の本の題名を見つける為に今日も旅する。

「这是什么?」
こうしてまた私の世界は広がっていく。

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