私の鼻の形がニンニクのようだという話

自分の顔のパーツ、というか体のパーツがわりと何一つ好きじゃないのですが、
私の鼻の形はかなり、ニンニクにそっくりだと思っています。
自分より鼻の形がニンニクっぽい人に出会ったことが無いです。

でも私はニンニクが好きです。

高校生のときガーリックフランスパンを教室のど真ん中で食べて、友達にちょっと怒られたことがあります。
それがいじめに発展しなかったのは、当時の友人たちがすでに人として出来上がっていたからです。

当時の自分は、ニンニクを食べてどうして怒られているのか分かりませんでした。そのくらい、ニンニクが臭いものだという認識がなく、ニンニクが好きでした。
でも臭いので、人前で食べる時には気をつけようと学びました。

大学生になって、ラーメンにハマりました。
手軽なお値段で、友達も気になる異性も誘えちゃうラーメン、きっと大学生はみんな大好きです。
(卒業しても大好きだよ💕)

「推しメンに会う前に食べるラーメン」以外のすべてのラーメンに、にんにくを追加しました。
ラーメンにどれだけニンニクをかけても、誰かに何を言われることはなく、すべてを赦された気持ちになれました。

ラーメンを愛しすぎるあまり、ラーメン屋でバイトをするようになりました。

バイト先のラーメン屋は、
座敷がある点(飲みの二次会などに良い)や、
店内で喫煙できる点(今は出来ないらしい)、
駐車場がある点(家族で来やすい)、
そして深夜まで営業している点、を売りにしていたので、ラーメンはあまりおいしくありませんでした。

それでもいつも来る人はいて、わたしは彼らの顔を覚えたり行動を観察するのが趣味でした。

ある日の深夜、閉店間際にオジサンとお姉さんが手を繋いで来店しました。
親子ではなさそうなただならぬ雰囲気を感じましたが、わたしは何も気にしていなさそうな顔で、彼らのオーダーをとりました。

オジサンたちは2回も課金をして、ニンニクを注文していました。そして食べ終わった2人はディープキスをし始めました。

ニンニクって臭いんじゃなかったの!?
わたしは目を離すことが出来ませんでした。

ラーメン屋のバイトはあまり一生懸命やることなく1年足らずで辞めてしまいました。
それでも、深夜の人々の生きざまを見れたのはいい経験になりました。

大学を卒業した今、自粛期間のため、
社会に出ることなく毎日せっせとニンニクを食べています。
お嫁に行けないほどパスタに刻みニンニクをいれます。仕上げにおろしニンニクをいれます。
人にしばらく会わないのはわかっているので、誰にも止められる事なく、死ぬほどニンニクを食べています。

日本は強い国です。
これまで何度も戦争・自然災害を、勤勉さと賢さ、謙虚さで乗り越えてきました。
夜明けは近いから、と、踏ん張ってきました。

自粛期間が長引いて長引いて、これからも長引くと思うと、
これが初めての「明けない夜」なのではないか、と考えてしまい、不安にもなります。

でも、果たして今は、「夜」なのでしょうか。

映画「天気の子」で、雨が降り続けることが当たり前の世界になったように、
この生活も当たり前になってしまえば、今の日本そのものを「夜」と表現することは無くなるのではないでしょうか。

思う存分大好きなニンニクを食べられる今、
Netflixや動画サイトで誰かの人生に笑い涙できる今、
その気になれば勉強だって好きなだけできる今(なかなかその気にならない)、
一人ひとりのための今だと思えば、

耐えなければいけないというほど辛い時期ではないのかもしれないし、
もしもっと前向きになれるなら、一晩中遊び倒すくらいの気持ちでいていいのだし、
そして夜明けと呼べるような日がきたら、それはそれは喜ばしいことだと思います。

政治や詳しいことはおまかせするしかないので(すみません勉強します)
私に出来るのはNetflixを見ること、そしてニンニクを食べることだけです。それでいいです。

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