【withE通信:“-er”、“more” どっち?】
3月に入り、徐々に暖かくなってきました。今日3月5日は、二十四節気の1つ「啓蟄」です。啓蟄は「土の中で冬ごもりしていた虫などが這い出てくる時期」のことで、春の季語としても使われます。気温の上昇とともに、花粉の飛散も徐々に増えているので、花粉症の方は対策を万全にしてくださいね。
<比較級の語尾変化>
さて、今回は英語の比較級についての記事です。
以前、「“listening”、“listenning”正しいのは?]という記事で、比較級の“er”、“est”のつけ方について書きました。
比較級の“er”、“est”のつけ方
①語尾がeのもの
語尾にr、stだけをつけます
large→larger/largest、cute→cuter/cutest
②語尾が、子音+yのもの
yをiに変えてer、estをつけます
early→earlier/earliest、easy→easier/easiest
③語尾が短母音+子音のもの
語尾の子音を重ねてer、estをつけます
big→bigger/biggest、hot→hotter/hottest
④そのまま”er”、”est”をつけるもの
high→higher/highest、small→smaller/smallest
“er”と“est”のつけ方についてはこれで良いのですが、英語の比較級でみなさんの頭を一番悩ませるのが、“-er”と“more”の使い分け。
よく言われるのは、短い単語は“-er”、長い単語は“more”という判断方法ですが、これには穴があります。例えば同じ6文字の単語でも、strongは「strong - stronger - strongest」なのに対して、famousは「famous - more famous - most famous」と比較級の形が違います。
こうした疑問を踏まえて、比較級の“-er”と“more”の使い分けについて解説していきます。
<予備知識|英語の「音節」について>
まずは、今回の記事に必要な予備知識である「音節」について説明します。英語の音節は「シラブル」とも呼ばれ、1音で発音されるまとまりのことを指します。
例えば、“beautiful”という単語を辞書で引くと、「beau・ti・ful」と書かれている部分が見つかります。この「・」が音節の区切りで、“beautiful”は3音節の単語ということになります。
音節の切り分け方については、このページで詳しく解説されていますが、かなり複雑なので興味のある方だけ読んでみてください。
今回のところは、「単語は音節というまとまりで区切ることができる」ということだけ抑えておけば大丈夫です。
<“-er”と“more”の使い分け>
音節についてわかったところで、早速本題に入っていきましょう。
“-er”と“more”のどちらを使うか判断する上で重要になるのが、音節の数です。具体的には、「1音節」「2音節」「3音節以上」の 3パターンに分けて考えます。
もちろんそれぞれに例外もあるのですが、順番に見ていきましょう。
<1音節の場合>
この場合は、ほぼ全て“-er”をつけます。もちろん、“-er”のつけ方は冒頭で紹介したルールに従います。
new → newer、cute → cuter、
big → bigger、dry → drier など
ただし、一部例外もあります。
<1音節の場合|例外>
①過去分詞の形の形容詞は“more”をつける
tired → more tired、bored → more bored など
②次の単語は“more”をつける
right → more right、wrong → more wrong、
real → more real など
これらに関しては、特に規則性があるわけではないので、もう覚えるしかありません。
<2音節の場合>
この場合は、少々厄介です。2音節の単語に関しては、“-er”と“more”どちらのパターンも多く存在します。大変ですが、1つずつ抑えましょう。
①語尾が “-y”、“-le”、“-er”、“-ow”の時は原則“-er”をつける
pretty → prettier、noble → nobler、
clever → cleverer、narrow → narrower など
ただし、clevererについては、発音しにくいためmore cleverの方が一般的のようです。
基本的にこれらの語尾以外の時は、moreがつくと考えて大丈夫ですが、他のポイントも紹介しておきます。
②語尾が “-ful”、“-ous”、“-less”、“-ly”、“-ish”、“-ive”、“-ing”、“-ed”の時は原則“more”をつける
careful → more careful、famous → more famous、
useless → more useless、slowly → more slowly など
ただしearlyについては、例外的にearly → earlierとなります。
③“a”で始まる単語には“more”をつける
active → more active、awful → more awful など
④“-er”と“more”どちらも使えるもの
①のcleverのように、中には“-er”と“more”両方使えるものもあります。
simple → simpler / more simple、
polite → politer / more polite、
common → commoner / more common など
実際のところ、ネイティブスピーカーにとっても“-er”か“more”か、単語によってグレーゾーンなところはあるようです。
<3音節以上の場合>
この場合は、ほぼ全て“more”がつきます。
beautiful → more beautiful、
interesting → more interesting、
important → more important など
ただ1つ例外があります。
<3音節以上の場合|例外>
unhappyのように、もともと“-er”をつける2音節の単語に“un-”などの接頭辞がついて3音節になった場合は、変わらず“-er”をつけます。
unhappy → unhappier など
<最後に>
ここまで、比較級の“-er”と“more”の使い分けについて書きましたが、言語は常に変化し続けるものなので、曖昧な部分も多くあります。例えば、handsomeという単語は、昔は「handsome - handsomer - handsomest」と変化していましたが、最近では「handsome - more handsome - most handsome」の方が一般的になりつつあります。今回紹介した単語についても、その比較級のルールが変わっていくのかもしれませんね。
作:高妻(英語担当)
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