【withE通信:寒さを乗り越える戦略 】
とうとう11月も終わりに近づき、本格的に寒さを感じるようになってきました。寒い時期は、布団から出たくない、外出したくない、とつい感じてしまいます。そんな時、寒い冬を冬眠して過ごせる動物たちを羨ましく思ったことはありませんか?しかし、動物たちにとっての冬眠は、「ただ眠って冬を越す楽なもの」というわけではないのです。今回はそんな冬眠について学んでいきましょう!
〈動物にとって冬眠とは?〉
動物たちが冬眠する1番の目的は、寒い冬を生き延びるためです。寒さが厳しいと、動物たちのエサとなるものが不足し、確保しにくくなります。そこで、冬眠中は通常時よりなるべく活動を控え、エネルギー消費量を極力少なくするのです。この時、体温や心拍数を低下させており、動物たちは仮死状態に近いと言えます。よって、冬眠中は天敵に襲われたり凍死したりする可能性もあるのです。まさに、命がけの行為ですよね😲
〈冬眠する動物としない動物の差〉
冬眠は動物が生き延びるために必要な手段ですが、全ての動物が冬眠するわけではありません。たとえば、鳥類などはあまり冬眠するイメージが湧かないのではないでしょうか?冬眠をするか、しないかは基本的に自分の体を自分で温めることができるかどうかによる差です。
動物には恒温動物と変温動物がいます。前者は周囲の温度に関係なく体温を一定に保つことができます。一方、後者は温度調節が困難なため、周囲の温度の変化に合わせて体温も変化します。
寒い冬に温度調節ができない変温動物は体温が低くなり、冷えて動けなくなります。よって冬眠をするのです。恒温動物は寒い冬にも体温が下がることはないので、一部の動物を除いて、冬眠はしません。
この一部の動物にはリスやネズミなどが含まれます。これらは、体重に対する体の表面積の割合が大きく、一般的に体から熱が逃げやすい冬は、体温を一定に保ちにくくなるのです。
ちなみに、動物園で飼育されている動物たちは寒い冬にもエサが与えられるため、冬眠はしません。冬場は保温ライトを当てるなどの防寒対策を行なっている動物園もあるそうです。
〈冬眠中は眠っていない⁉︎〉
冬眠期間は動物が生息する環境、地域によっても異なりますが、およそ5〜7ヶ月間です。この間、動物たちはずっと眠っているわけではありません。むしろ、ずっと眠っている動物はクマくらいです。それ以外の動物は、持続的冬眠と中途覚醒を繰り返しています。持続的冬眠では連続的に眠っています。しかし、中途覚醒では体温を上げて、冬眠前に保管しておいたエサを食べたり、排泄を行ったりします。
一方、クマの場合は、夏から秋に冬に備えてたくさん食べて体脂肪を蓄えるので、冬眠中は食事も排泄も必要ないのです。
〈人工冬眠は可能?〉
冬眠に関しては様々な研究が行われていますが、人工冬眠は、理論的には可能であるものの、やはり非現実的であると言われています。
ただ、実際に冬山で遭難された方の発見された時の体温が22度の仮死状態であったにもかかわらず、病院での治療後、無事に生還されたという事例が報告されています。この場合、極度の低体温が冬眠に近い状態だったからこそ、生還に繋がったと考えられています。
今後、人工冬眠が可能となれば、一時的な仮死状態にする必要がある手術などに冬眠の仕組みが応用されるかもしれません🧐
いかがでしたか?動物たちにとって冬眠は冬の厳しい寒さを乗り越えて、生き延びるのに不可欠な儀式です。寒くなると何をするにも億劫になりがちですが、私たちは自分でしっかり防寒対策を行って冬を頑張って乗り越えていきたいですね❄️
作:ゆい(英語担当)
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