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【withE通信:名言から考える数学の世界】

「私はこの問題のすばらしい証明方法を思いついたが,それを書くにはこの余白は狭すぎる。」
これは誰の言葉か知っていますか。実はフェルマーが書いた言葉なんです。「この問題」とはすなわちフェルマーの最終定理のことです。フェルマーの最終定理とは,
「x^n+y^n=z^n を満たす3以上の整数は存在しない」
という定理です。実は私がこの言葉と出会ったのは高校3年生のときなので難しいと感じるかもしれませんが,知っておいてほしい定理の1つです。私は数学の先生にフェルマーの最終定理に近い質問をしたときにこの言葉を書かれました(ちゃんとそのあとに教えてもらいましたが…!)。

※補足
 x^n・・・「xのn乗」と読みます。パソコン上だとこのように書きます。

◎フェルマーって誰?

そんな言葉を残しているフェルマーさんは実はフランスの裁判官なんです。数学と法律の両方研究できてしまうなんて今ではなかなか考えられませんね。興味のあることをとことん追求するのは今でも大切です。
みなさん,光はどのように進みますか?小学校で実験した人も多いのではないかと思いますが光はまっすぐ進みます。壁にぶつかったらそのときだけ曲がってまたまっすぐ進みますね。すなわち光は進む距離が一番短くなるように物質中を進みます。実はこれ「フェルマーの原理」と言い,フェルマーさんが提唱したのです。
どうでしょうか,少しフェルマーさんに慣れてきましたか?

◎定理と原理って何が違うの?

ここまで読んでもらった文章の中に“定理”“原理”が出てきました。では定理と原理,何が違うのでしょうか。定理といえば円周角の定理や三平方の定理,原理といえば仕事の原理やアルキメデスの原理などがあります。気づいた人もいると思いますが、定理は論理的に証明された結果であるものに対して,原理は実験結果などから得られた結果から見つけ出されたものなんです。

◎フェルマーの最終定理

ではフェルマーの最終定理にちょっと触れてみましょう。「x^n+y^n=z^n を満たす3以上の整数nは存在しない」ということは,n=1やn=2のときに x^n+y^n=z^n が成立するということです。n=1のときはxやyにどんな自然数が入っても成立します。ではn=2のときはどうでしょうか。例えばx=3,y=4のときz=5となりますね。n=2のときの解をピタゴラス数と言います。
nが3以上のとき x^n+y^n=z^n が成立しないという証明は難しいので省きます。「存在しない」ということを証明するのはとても難しくてこの証明は350年間誰も解くことができなかったのです。

◎最後に

学校で習う定理や原理以外にもたくさんの定理・原理があります。実は問題の中で原理や定理を使いたいときに原理は証明しなくてよい(先ほど書いたように原理は研究結果から得られたものなのでなかなか証明できない)ですが,初めて出てきたものならば定理は証明が必要です。なので定理については学校で習ったときに自分で証明できるようにしておくことをおすすめします。証明がわかると問題も解きやすくなります。
原理や証明に興味がでてきたら,公理というものもあるのでぜひ調べてみてください!(ちなみにペアノの公理1+1=2についての証明です。おすすめです。)

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