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【withE通信:2つの仮名づかい】

 いよいよ2月に突入しましたね。今年度も残すところあと少し!ラストスパート、頑張っていきましょう!

 さて、突然ですが皆さんにクイズです。次の2つの文のどちらが正しいでしょうか?

A:いずれか1つを選んでください。
B:いづれか1つを選んでください。


正解は… A です!わかりましたか?
でも、この2つ、同じ読みかたですよね?でも、書くときには「いずれ」が正しいんです!一体どうしてなのでしょうか?

〈仮名遣いの違い〉
 「いずれ」と「いづれ」の違いは、現代仮名遣いか歴史的仮名遣いかというところにあります。歴史的仮名遣いと言えばよく古典で登場しますよね!「いひけり」「うつくしうて」などがあります。
 一方で現代仮名遣いは今使われている仮名遣いのことで、先ほど紹介した歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すと「いいけり」「うつくしゅうて」となります。
 さて、古文には「いろいろ、様々」という意味の「よろづ」という言葉がありますが、これは歴史的仮名遣いです。これを現代仮名遣いに直すと「よろず」となります。これと同じように、「いづれ」は歴史的仮名遣い、「いずれ」は現代仮名遣いとなるため、現代においては「いずれ」の方が正しいということになります。ただ、昔は使われていた書き方なので、現代で一般的に用いられていないだけで、間違っているとまでは言えません。

〈ほかにも…〉
 ほかにも、「さみしい」と「さびしい」はどちらが正しいのでしょうか。これは、どちらも正しいというのが正解なのですが、この2つの読みかたができたのにも、歴史的仮名遣いと現代仮名遣いが関係しています。平安時代には「さみしい」という言葉が使用されていないということから、昔から使われていたのは「さびしい」の方ということになります。「さびしい」という言葉が徐々に変化していき、「さみしい」という言葉が近世以降に使われるようになってきたと考えられています。
 バ行からマ行への変化というと違和感を覚えるかもしれませんが、もともと「けぶり」とされていた語が現代では「けむり(煙)」となっているように、意外と身近にあるものなんですよ…!

 今回は仮名づかいについてのお話でした。これを機に、少しでも古典にも興味を持っていただけたら嬉しいです!!

作:わさび(国語・英語担当)

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