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【withE通信:眠れなくなる単位の話】

メートル [m],リットル [L],キログラム [kg] など,私たちの身の周りに溢れていて,普段何気なく使っている『単位』。しかし,当たり前の存在だからこそ,単位について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

・そもそも,単位ってなんなの?
・単位にはどんな種類があるの?
・キロ [k],ミリ [m],センチ [c] とかってどんな意味なの?

今日は,そんな単位にまつわるお話です。

そもそも,単位って?

単位とは,「ものの性質を数値で表す場合の基準となる量」のことです。このままではいまいちピンとこないと思うので,順番に説明しますね。

単位は,「性質」「基準」の2つの役割をもっています。

まず「性質」についてです。これは,測りとった数値に意味を与える役割のことです。
例えば,測定をして1や2といった数値を得られたとしても,この数字だけではなんの意味も持ちません。しかし,数字にメートル [m]という単位をつけて,1 m,2 m,のように表してあげれば,1や2といった数値に「長さを表す」という意味を持たせてあげることができます。
このように,単位は測りとった数値に意味を与える役割を持っており,そうすることで,測ったものの性質を数値で表すことができます。

次に「基準」についてです。これはそのまま,基準となる量を表す役割のことです。
例えば,「長さ」という性質を,単位を用いて数値で表したいとします。そこで,「長さ」を表す基準となる単位を「メートル [m]」と定めることにします。
すると,例えば1 mの3倍の長さは,1 m × 3で 3 mと表すことができます。1メートルを基準として,その何倍の長さがあるか考えることで,ものの長さを表すことができるわけですね。
また, 1000 mのことを 1 km(キロ [k]は 1000倍という意味)と表しても,基準はメートル [m]なので,単位の中から[m]は消えていません。他の長さを表す単位である ミリメートル [mm]や,センチメートル [cm]でも同じですね。
このように,単位はものの性質を数値で表す場合の基準となる量としての役割をもっています。(ここで,最初の定義に戻ってきました!)

単位にはどんな種類があるの?

現在,世界で一般的に使われている単位は「国際単位系(SI単位系)」によって定められたものです。国際単位系には7つの基本単位(SI基本単位)と,それらを組み合わせてできる多くの組み立て単位があります。
ここで一番重要なのは,「単位は組み立てられる」ということです。理科の学習を進める中で,長さ [m] ÷ 時間 [s] = 速さ [m/s]や,電圧 [V] × 電流 [A] = 電力 [W] など,様々な単位が出てきてややこしくなりますが,新しい単位がどんな単位の組み合わせでできているのか考えれば,単位の持つ意味を理解しやすくなります。(上の例なら,速さとは1秒間に進んだ長さのことを表すこと,電力とは電圧の大きさと電流の大きさの両方に比例するということ。)

◯ SI基本単位
SI基本単位は,時間 [秒,s],長さ [メートル,m],質量 [キログラム,kg],電流 [アンペア,A],熱力学温度 [ケルビン,K],物質量 [モル,mol],光度 [カンデラ,cd]の7つです。
また,これらの単位は定義定数という厳密に定められた値によって定義されています。例えば,1秒は,セシウム133原子の摂動を受けない基底状態の超微細構造遷移周波数を,9,912,631,770 Hz(s-1)と定める(定義定数とする)ことによって定義されます。なんかすごく複雑なことをしていますね…。
かつては,「国際キログラム原器」で1 kgの質量を定義するなど,物体を根拠に単位を定義していました。しかし,物体が基準である以上,時間の流れによって,びみょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜にズレが生じてきます。
本来「基準」は,いつの時代も,どんな場合でも,変わらないものでなくてはいけないはずです。そのため,数年前に定義が変更され,現在のような「いつでも変わらない,厳密に定められた数値」をもとに単位を定義するようになりました。

◯ SI組み立て単位
SI組み立て単位については,ここでは紹介しきれないくらい本当にたくさんの種類があるので,ぜひ調べてみてください。大事なことは,冒頭でも述べましたが,単位は組み立てられるということです。
長さ [m] を2つ掛け合わせると,面積 [m×m = m2] になります。[m]を2つ掛け算したんだから,そりゃ単位が[m2 (= m×m)]になるのは当たり前です。しかし,そもそもどうして長さを2つ掛け合わせると,面積になるのでしょうか? 考えてみると,新しい発見があるかもしれません。(この辺は,高校数学で積分という考え方を習うとはっきりと理解できるようになります!)

SI接頭辞の話

最後に,SI接頭辞についてお話しします。SI接頭辞とは,単位の前につける,キロ [k],ミリ [m],センチ [c] などの記号のことです。それぞれ,基本となる単位の何倍かを表しており,大きな数値や,小さな数値を扱う際に,少ない数字で表せるようになるので便利です。
主な接頭辞の一覧です。(他にもあるので調べてみてください!)
・ギガ [G]:10億倍(スマホのギガ数は,ギガバイトの略!)
・メガ [M]:100万倍(ペヤングのメガMaxは本当に100万倍あるわけではありません。)
・キロ [k]:1000倍(いろんなところでよく使われますね。)
・ヘクト [h]:100倍(天気予報の気圧で「ヘクトパスカル」って聞いたことありませんか?)
・センチ [c]:100分の1(実はセンチメートルくらいでしか使われてないです。)
・ミリ [m]:1000分の1(小さい方はこちらの方がセンチより一般的。)
・マイクロ [μ]:100万分の1(マイクロチップはもうSF世界のものではありません。)
・ナノ [n]:10億分の1(カーボンナノチューブはまさにこのサイズ。)

おわりに

普段何気なく使っている単位ですが,このように定義や種類などをしっかり確認すれば,日々の生活の中でより情報の意味をしっかり捉えられるようになります。
「勉強をすることは,より鮮やかに世界を見られるようにすることだ」という言葉があります。世の中にある他の「当たり前のこと」も,当たり前で終わらせず,一度調べてみたり,意味を考えてみたりすれば,また違った角度から世界を見ることができるようになるかもしれませんよ!

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