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【with通信;サクラサケ!】

いよいよ受験シーズン真っ只中です。昨日今日と広島大学でも前期入試が行われています。受験生ではない皆さんも、学年末テストを乗り越えた時期でしょうか。
 さて、合格を意味する言葉に「サクラサク」というのがありますよね。これって、なぜこんな言い方をするようになったんでしょうか?また、なぜカタカナなのでしょう?


〈由来〉

 この「サクラサク」という言葉が使われ始めたのは1950年代で、電報で合否を知らせるために使われ始めました。
 当時は今ほど交通機関が発達しておらず、受験のために遠方の会場に行くことはあっても合格発表を見るためだけにわざわざ会場に行くという人は少なかったようです。手紙だと時間がかかってしまいますし、現代のようにインターネットで確認できれば問題ありませんが、1950年代にそんなものは普及していません。また、電話で確認するのも、受援者数が多いため大学側の混乱を引き起こし、難しかったようです。
そこで早稲田大学の学生が始めたのが合否電報です。電報だと通常の手紙とは違って電話回線を使って送信されたメッセージが各家庭へ配送されるので、早く合否を知ることができます。この早稲田大学の合否電報で合格の際に使われたのが「サクラサク」だったのです。反対に不合格の場合だと「サクラチル」といわれたそうです。カタカナ表記だったのは、電報だったからなのですね!


〈なぜわざわざ「サクラサク」?〉

 「サクラサク」という言葉の由来はわかりましたが、どうして合格というのを「サクラサク」と言い換えたのでしょうか?
 これには当時の電報事情が関係しています。電報の料金は一文字単位で変わります。そのため、「~です」という丁寧な言い方は避けられ、短く要点のみを伝える文体が好まれました。つまり「合格」「不合格」といった直接的な内容になってしまうわけです。また濁点・半濁点・空白も一文字と換算されます。「ゴウカク」と「サクラサク」を電報で送るのにかかる料金は同じですね。単に結果のみを伝えるのではなく、比喩的かつ簡潔に合否を伝える「サクラサク」という言葉は多くの人の心をつかみ、使われるようになったのです。


〈他大学の「サクラサク」〉

 これまでは早稲田大学の合否電報についてでしたが、他の大学も独自の合否電報を送っていました。例えば、東京大学だと合格の場合は「アカモンヒラク」、不合格の場合は「イチョウチル」だったそうです。赤門は東京大学のシンボル的なものとして有名ですし、イチョウは東京大学のマークです。また、北海道大学は合格の場合は「エルムハマネク」、不合格の場合は「ツガルカイキョウナミタカシ」だったそうです。エルムというのは北海道大学のニレ並木のことで、津軽海峡の波が高いから来れないということなのでしょうね。

 「合格」というたった二文字で表されるより、こっちの方がなんだか寒い冬を乗り越えて暖かい春の訪れが感じられるようで、素敵じゃありませんか?皆さんにも、どうか「サクラサキ」ますように!!
わさび(国語・英語担当)

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