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【withE通信:漢字と国】

 先日、今年の漢字が発表されましたが、皆さんはそのニュースを見ましたか?今年の漢字は「戦」でしたね。「戦」が選ばれるのはアメリカで同時多発テロがあった2001年以来、2回目だそうです。選ばれた理由としては、ロシアのウクライナ侵攻によって戦争を意識した年であったことや、円安等により生活の中でも「戦」っていたという声が聞かれたそうです。また、先日のワールドカップでは日本代表チームが強豪のドイツやスペイン破ったり、北京オリンピックで日本人選手が活躍したりするなどスポーツでも熱い「戦」いが繰り広げられました。
 さて、今回はそんなスポーツの「戦」いと漢字に関わるお話です。皆さん、日本のニュースではよく海外の国名が漢字表記されているのを目にしませんか?では、まずはクイズです。次の漢字が表す国名は何でしょう??

① 米
② 英
③ 濠
④ 印
⑤ 伯


 分かりましたか?
 正解は、①アメリカ、②イギリス、③オーストラリア、④インド、⑤ブラジルでした!「米」や「英」などは歴史の授業でもよく登場するため、わかった人は多かったかもしれませんね。
 それぞれ①亜米利加、②英吉利、③濠太剌利、④印度、⑤伯剌西爾と書くため、①の亜米利加以外は一番最初の文字が書かれていますね。
 亜米利加がなぜ「米」なのかというと、幕末期くらいまでは、アメリカ(亜墨利加)と表現していましたが、中濱萬次郎(ジョン万次郎)が使っていた「メリケン(米利堅)」の表現の方が、「メ」にアクセントがある本来の発音に近いこともあり、世間に広がり、アメリカの漢字表記も「亜墨利加」に変わって、「亜米利加」や「米利堅」が使用される様になり、「米」へ変化していったためです。

 さて、ではなぜこのように漢字表記するようになったのでしょうか。実はこの漢字は、江戸時代に外国名を日本語にした際、元の発音に近いものをあてはめたものなんです。江戸時代中期には世界地図を作成するようになったのですが、その際に中国のものを参考にしたと言われています。しかし、中国とは発音が違うため日本語の発音に近い漢字をあてはめたことが、国名を漢字表記するようになった始まりとされています。
 また、明治に入っても発音が近い漢字ということで、同じ国でも表記に違いがありました。昭和27年(1952年)にカタカナで外国名を表記する法律が定められましたが、新聞などの見出しを作成する際、スペースの都合上カタカナでの表記はスペースの都合上難しかったため、雑誌記者や新聞記者たちの間で表記のルールが決められました。
そして、現在の漢字表記に統一されていったのです。

 いかがでしょうか?このように片仮名を漢字で当て字したものはほかにもあります。ぜひ探してみてくださいね!

作:わさび(国語・英語担当)

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