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評価されずに悩むあなたへの鉄人コーチング〜コトバ化の鉄人

これは、鉄人コーチ集団 「Withコーチ」 の "コトバ化の鉄人"こと、星野良太が、職場でなかなか評価されずに悩む人向けてどうコーチングするかを綴ったものである。鉄人コーチとは困難な現実・テーマに、タフに楽しく気迫を持ってwith(伴走)する、強さとしなやかさと愛に溢れるコーチのことを呼ぶ。

こんにちは!Withコーチの星野です。
暑すぎて、最近そばしか食べていません。今週の関東は35度前後が続くようです。鹿児島県の南の島、奄美大島よりも気温が高い日が続くのですが、なぜでしょう。


さて、今回は「評価されずに悩んでいる方」をサポートする場合の、妄想セッションです。特に今の時期はこの悩みを持っている方も多いでしょうね。
コロナの影響で所属環境のルールが一気にリセットされた方も多いと思います。これまではなかった事態に、何とか対応してこられた皆様、本当におつかれさまでした。そんな大変な思いをしているのに、組織全体としての売り上げは下がっている。その矛盾は個人の「あれだけがんばったのに評価されない」という悩みを生みます。


不当評価の構造について

このお題を聞いて、まずいくつかのパターンが思い浮かびました。

A:本人の努力レベルは十分なのに、評価者から求められている方向が違うパターン
B:本当は評価されているのに、本人がそれを実感できていないパターン
C:そもそも本人の努力のレベルが評価レベルに足りていないパターン

そしてもうひとつ、ここで言われている評価の具体的な内容がなんなのか、ですね。ねぎらいや賞賛のコトバが欲しいのか、組織内での報酬や立場の向上を求めているのか。報酬などを求めていた場合、組織の利益状況がどうなっているのかも気になるところです。ひょっとすると、物理的に報いることが困難な状況なのかもしれない。

いずれの状況にせよ、空虚な気持ちを抱えたまま努力を続けていくのは辛い。ご自分が払った対価に対して納得のいく手ごたえができる活動に、一刻も早くたどり着きたいところです。

取り得る手としては、こんな感じでしょうか。

短期的には、評価者とのコミュニケーションを変化させて、求められていることを理解し的確にこなす。
中期的には、評価者ではなく自分の目的に向けた行動に落としていく。
長期的には、自分の目的遂行のために、周りの方からの信頼を得る行動をとっていく。

その辺りがまず頭に思い浮かんじゃいました。でもそれはあくまでもぼくのイメージ。今回の相談者が当てはまるとは限りません。念入りにリセットして話を‌きちんと聞いていくことにします。


自己紹介を兼ねて「人は一人で生きているのか」話

このお悩みを抱える方へのコーチングは、まずは雑談から始めそうです。初対面だとしたら、ある程度ぼくがどういうことに興味のある人間なのかをわかっておいてもらいたい。雑談は今回のテーマに関わりそうで、かつ自分が興味のある分野のお話を探します。今だと「自分は一人で生きているのか、誰かの助けがあって生きているのか」というお話でしょうか。例えばこのような感じです。

一般的には、人は一人では生きていけない、と言われますよね。だからこそ、自分を支えてくれる集団のルールは最低限守らないといけない。これが「空気を読む」といった行動を生んでいるのかもしれないと言われています。

ちなみに、日本では「迷惑をかけない」という方向に意識は向かいますが、
「お互い迷惑をかけられて当たり前」という意識に向かう地域もある様です。空気を読みすぎることが、日本の若者を生きづらくさせているのかもしれません。

…とはいえ、自分は一人で生きているのだ、と考えているならそこまで気にしなくてもいい。そこまで極端でなくても、自分を助けてくれる集団以外のルールは守らなくてもいい。自分とはちっとも関係がない、と思う人を気にして委縮することはない。その場合はKYでGO!GO!です。そうなると、余計なストレスは減りそうですよね。誰かの助けを前提としない生き方、働き方ができれば楽ちんそうです。

しかしながら、ぼくの場合は思いっきり他者の助けを求めるタイプです。
「袖振り合うも多生の縁」という言い回しの意味を知った時には、なんと素敵な!と思いました。だから他者の目も気になります。いかに集団のルールと、自分のやりたいことのバランスをとるか。それがぼくの今の課題ですが、あなたはどんなタイプですか??


…こんな感じである程度お話ができたとして。さて、お悩みを聞いていきましょう。

本題「あなたは今何を求めているんでしょうか」話

「評価されていないことに悩んでいるとお聞きしました。少し詳しく聞かせていただきたくて。

具体的に、あなたは今何を求めているんでしょうか。

今はどんな状況で、いずれどんな状況になることを望んでいるんでしょうか」


こんな感じで聞いていくと思います。上で想定していたA、B、Cのどれかのパターンに似ているかもしれませんし、全然違うかもしれません。

いずれにせよ、問題は本人が何をどう感じているかです。しかもこの悩みの場合には、評価者の存在がいます。できれば本人とその評価者の関係性にまで、踏み込んでいきたいところです。もちろん相手の状況を見ながら、です。

余談1「そつたくの期」

ちょっと補足で説明を入れますね。

自分の場合、こうした相談にのる際に注意しているのは常に相手から相談される信頼関係を保つことです。

「そつ(口編に卒)啄(そつたく)の期」というコトバがあります。ヒナが卵の殻を破って出ようとして鳴き、親鳥がそれに応え外から殻をつつくことが、「そつたく」です。ヒナが一人で卵を破ろうとしても、力及ばずいつまでも外の世界に出られない。親鳥がヒナの声を聞く前に割ってしまうと、ヒナの準備ができておらずうまく育たない。

元々は、人の成長に適した時期を説明した禅宗のコトバだそうです。
人にも、自分の殻を破ろうとするときには適したタイミングがあるとぼくは考えています。


状況がイメージできるまで念入りに聞く

うまく踏み込めたとして、その状況がイメージできるまでホリホリしていきます。評価されないことに悩んでいるのなら、本人は相当努力している自覚があるはず。その辺りもじっくり念入りに聞きたいところです。

特に、評価となると第三者がきめる話です。本人の努力だけでは、満たされるものではありません。この辺りは注意しながら進めると思います。

整理できた現在の状況と理想の状況は、一度一緒に確認します。これを、できればどこかお互いが見えるところにメモしておきたい。コロナでオンライン相談の多い今だとZoomの画面共有からホワイトボードに書いたりします。(時々話を聞きながら、くまモンを描いてる時もあります。)


お互いで理想の状況をメモしたものを見ながら、色々と話していきます。

「その頃にはそんなことが起きてたりするかもね」
「もしかするとこんなこともできるかもよ!」
「え、じゃひょっとするとああなっちゃうかもね、それはやばいね!」
「あれがそうなってこう!」と、妄想トーク全開です。
これまでぼくも何百人という人を取材してきましたので、妄想を広げる材料はたくさんあります。


具体的な目標は「小さく」「3日以内」

セッションもそろそろ締めに入ります。締めとは、直近の具体的な行動を決めることです。また、メモを一緒にみながら聞きます。

「んではそこに向けて、ひとまず何から始めましょうか。
明日含めて3日間でやることを決めちゃいましょう」

相手によっては、もっと長期的な目標まで話すこともあるかもしれませんが、多いパターンは直近の小さな目標です。でも新しい行動につながる目標をつくってもらいます。まだまだ自分で歩き始めたばかりのときに、大きな目標を背負ったんじゃすぐに折れちゃいます。

そしてお話の翌日には連絡をすると思います。
「どう?やれそう?まさかもうできちゃった?」
この連絡の目的は、軽いプレッシャーをかけることです。


余談2「モイズとの約束」

少し余談です。
ぼくの認識ですが、人間は弱い生き物です。意志だけで行動を100%コントロールすることは難しいことです。でも何かの助けがあれば、意外と頑張れたりします。キリスト教で神様に誓うのも、裏切ってはいけない存在と約束をすることで、一人では完遂が難しい目標達成のために、みずからにプレッシャーをかけるためだと考えています。

大学生の頃の一時期、聖書を勉強するために教会へ通っていたことがあります。自分にあったのは信仰ではなく、好奇心でしたが受け入れてくれました。聖書を教えてくれていたのはモルモン教のカナダから来た男の子です。
名前はモイズで、自分と同じくらいの20歳前後。モイズは、ぼくから見ればかなり厳しい戒律を守りながら生活していました。

酒はダメ、たばこもダメ、ギャンブルもダメ、他にも色々ダメでした。ぼくは当時逆に色々OKだったのですが、そのときモイズに頼まれて禁煙だけ約束させられてしまいました。何となくした約束ですし、破っても罰則も何もありません。でも、なんとこれがテキメンに効きました。

禁煙を破ってたばこを吸おうとすると、モイズの顔が頭をよぎるようになったんです。欲望の多い20歳前後を信仰のために費やしているモイズとの約束。特にぼくも信仰があった訳でもないのですが、モイズのことを考えると吸えなかった。約束を破ることで、あのがんばってるモイズとの信頼を失うのが怖かったのかもしれない。そんな経験があります。以上、余談でした。

そんなこんなで、プレッシャーをかけて最初の目標を達成してもらいます。


セーブポイントを作りながら進みましょう

本当は、自分の内的な動機で頑張れるのが一番です。でも、人間はそこまでつよくない。もっと言うと、つよくなれることを知らない人が多い。これまで新しい一歩を踏み出してこなかったから、自分には無理だと思っている。過去、手痛い失敗体験がありとても臆病になってしまっている。そんな人もいると思います。

でも、一歩踏み出せると、いろんなものの見え方が変わります。自分に対する認識も変わってきます。なので、ぼくは最初の一歩はできる限りサポートしたいと思っています。できるだけ簡単な目標にするのもそう。個人的なプレッシャーをかけるのもそう。

メンタルブロック、心のブレーキをどうにか外すのが第一ミッション。ひとまずは、それを行動実績にするところがスタートです。自信がまたなくなってしまったときに、戻れるセーブポイントをつくるんです。この実績を思い出せば、「あれはできたから大丈夫」と気持ちを回復できる。そうすれば、もう一度挑戦できます。

一番つよいな、と思っているのは無根拠な自信を持てることです。でも、これは持てる人と持てない人がいる様に思います。無根拠な自信を、そもそも持っていなかったり、どこかで失ってしまった人には、根拠が必要です。新しい行動をおこなうために、気持ちが必要。その気持ちを動かすために、根拠のある自信のもとをつくる、という訳です。

一歩踏み出せれば、周りも変わり始めます。

またその変化を受け止めて、コツコツとセーブしながら進んでいきましょう。いつか、この期間でそれだけ動けたの?と驚く成果が出る日がやってくると思います。その頃には、評価されないことに悩んでいたことなんて忘れていると思います。そこまで、定期的にサポートしていけたらうれしいですね。


コトバ化の鉄人についてもっと知りたい方はこちら!「#コトバ化の鉄人」でも検索できます。

コトバ化の鉄人 星野良太
聞く→コトバ化。幼いころからとにかく読書好き。受験期に読んだ本から心理学に興味を持ち、大学は心理学部へ。ある日図書館で出合ったカール・ロジャーズの「受け入れてくれる存在があれば、人は自ら望む方向に向かう」という考えにビビビとくる。2005年からコピーライターとして企業や人への取材を続ける中で「聞く力」の存在に興味を持ち始め、2009年に自身でもコーチングを受け「主体的に生きようとする人にとっての聞き役」という役割の重要性をはっきりと知る。その後、進路に悩む大学生への支援や場づくりにも取り組み、2016年には奄美大島に移住し地元の高校生たちを対象にした塾を運営。企業や人が目標に向かう過程を見るのが大好き。

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