人生は忠実に

一時期、私の財布には小銭しか入っていない。

そういう毎日を過ごしていた。

本気だった。
服はすべて、アパレルに勤めている友達から不要になったものをもらった。

そういうときには触角が働くのか、
道に出ている「ご自由にお持ちください」の食器とか、生活家具とか、いろいろなものに遭遇した。

ガーデニングが心の癒しだったので、植木鉢とか、鉢ラックとか、
拾ってきた。

本は図書館があったし、あらゆるものをなるべく手作りして、

小銭しか持ち合わせなかった。どんなときも。

当時バブリーだった弟が、
誕生日に一万円くれた。

私はそれを、
K18の華奢なネックレスに変えた。
たしかちょうど一万円だった。

今でも思う。
あの弟からの「お金」のプレゼントを、
生活費なんぞに変えなくてよかった。

今でもお気に入りの、
そう、お気に入りの好きな店で買った、小さなパールのついたネックレス。
2度ほど修理して尚、今も大事にしている。

物をプレゼントしてもいいけれど、
お金を贈られた場合には、

それをそっくりそのまま、
思い切って、
使うことだ。

貯金が底をついた月の最後、

初めての給料が入った。

人生は綱渡り。
神様は決して、忠実に生きている者を見捨てない。

お金は使うものだ。
忠実に。
使われるものに対して忠実に。

人生の時間は使われるものだ。
底をつくことを恐れてはならない。

きっと、なんとかなるものだから。

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