プロローグ

人生は人に言えないことの連続だ。

今、自分という形跡をすべて消して、
大切なものだけを手に、地球のどっか片隅の、岩陰に、身を潜めたい。

好きな人とふたりで。

そんなことは叶わない。
人生は、進んできてしまってるんだ。
なんて、たくさんのものを、抱えてしまったんだろ、
どうしてそれらを、手放せないんだろ、
二度と、自分を巻き戻すことはできない。

恋って独立国家みたいで、
急にこの世界を切り取るから、
油断すると、世間から浮いてしまう、
これって脳の仕業なのかな。

なんにも考えられなくなる。
まともなこと。

なんにも。

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