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それでも、そらをもとめ、なく。 とぶための大きなはね、 樹にとどまるための鋭いあし、 なくためのおなか、 栄養を得るための針状のくち、 陽のあたらない、誰も知らない場所で、 生きる備えをする。 長い備えを終え、ようやく、陽を拝むために、 誰にも見つからない場所に、身を置き、 陽が沈むと共に、 誰にでも見つかるような羽を得て、 いのちのこえを轟かせる。 その空蝉には、驚くほど、何も残っていない。 かつてそこにあった、 過去の暗闇も、現在の苦難も、未来
4年前、不思議な人と出会った。 周囲には騒がしい人が多い中で、 極めて物静かで、 スマートな出で立ちだけど、 近寄りがたい影が映る、 妙に印象に残る人だった。 その人とは、その年、 一言二言しか、会話を交わさなかった気がする。 3年前、私の同期を中心とした、ある事件が起こった。 人間関係のいざこざ。 当時の研究室は、どす黒い雰囲気だった。 その人も、その渦中に巻き込まれた。 いや、わざと入ったのかもしれない。 私の同期を助けるために。 私も、同期を助けるために、
これは、私が今年の七夕の願い事。 こう決意した。願った。 でも、翌日に、容易く崩れた。 私は、打ちのめされた。 そして、今でも、打ちひしがれている。 私の目の前で、後輩たちが泣いていた。 彼らもまた、打ちのめされ、打ちひしがれていた。 初めの怒りが、 段々と、悔しさ、やるせなさ、に移り、 最終的には、涙に変わっていった。 彼らは、戦っている。 目の前に立ちはだかる理不尽な環境と立場と。 彼らは、抗っている。 自分の考えや想いを捻じ曲げて、 誰かの指示に従