青少年よ、成し遂げるより、没頭せよ
↓ の記事で、オンライン化のメリットについて私見を述べたけど、
他方、私は大学生時代というのは基本的に一種のモラトリアムだと思って
いて、めいっぱい勉強し遊んでこのモラトリアム期間を満喫することが、
その後の長い人生を生き抜くための底力になる、というのが持論だったり
する。
大学の講義をすべてオンラインで受けられることで、住む場所は自由が
きき、地方創生に取り組んだり、オンライン留学したり、なんらかのビジ
ネスを立ち上げるなど、できることの幅は確かに増えたと思う。
ただ、オンライン授業もオンライン留学も、「学ぶ」 という意味ではいいと
して、いろんな場所からいろんな価値観を持つ人間が一堂に会して互いに
磨き合ったり、実際にその地へ赴きその地の文化を皮膚感覚で味わうと
いった機会がだいぶ失われてしまったのかと思うと、少しさびしいような
気がする。
(遠方への進学が難しい人のために全課程オンライン受講というコースは
今後も残るべきだとは思う)
私はもういい大人で、これまでいろんなところに行っていろんな人たち
にも会った経験があるからオンラインで十分な面も多いとして、大人の
扉を開く前のモラトリアムにさまざまな制約を課せられるのは、やっぱり
ちょっと気の毒だ。
だから、地方に移住とかしたくなるんだろうね。
閉塞感を打破するために、何かしたくなるんだろう。
定番の社会勉強であるアルバイトも自由にできないなら、自分で仕事を
作り出すほかないのかもしれない。
それはいい、いいんだけど。
なんとなく、そういう顕著な行動をとれる若者だけを、やたらもてはやす
のはどうなんだろうか。
地方創生やら起業やら動画配信やらで充実している若者はえらい、そうで
ない子も何かすればいいのに、自己実現こそ時代であり正義! みたいな
風潮が、なんとはなしに不穏な圧となって世の中に立ちこめているような
気がしてならない。
コロナ禍と時を同じくして世界中で広まったジェンダー平等とか多様性と
いった価値観の発露が、これまでのたくさんの鬱憤を激烈に解き放ったこと
とも連動しているんだろうけど。
くり返すが、本来 大学生は勉強して、遊んでこそ、なのだ。
学生であるうちに、できるだけ若いうちに、何かを成し遂げなければ、
なんて焦りは必要ない。
成し遂げることよりも、何でもいいから夢中になって没頭できるもの
を見つけられる方がいい。
まあ、それが一番むずかしいことなのかもしれないけどね。
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