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雪のことづて

今年は特に雪が多い札幌です。天から舞い降りるこの「雪」は、時として人の命さえ奪ってしまう自然の猛威と化します。しかし、音もなくゆっくりと降り積もる雪は、森や川、そして町までも、全く別な白い世界へと誘ってくれます。

雪の降り方を表す言葉も様々です。北海道では「しんしんと」と、音もなく静かに降っている様子を使うことが多いです。尽きなく降る「こんこんと」、湿り気がない雪の場合「さらさらと」、まばらに降る雪は「はらはらと」などでしょうか。

かつて太宰治が「津軽には7つの雪が降る」と言ったそうです。こな雪・つぶ雪・わた雪・みつ雪・かた雪・ざらめ雪・こほり雪。雪を表す言葉を考えてみると、きっとみなさんの思い出とリンクする「雪」の表現があるに違いありません。「雪」は、自分自身の深いところにあるものに、一つのメッセージを伝えてくれていると感じる時があります。

自分の父親は40歳の若さで亡くなりました。3月でしたが、ちょうどその日も札幌は湿雪(しめりゆき)が降っていました。札幌地下鉄が北24条まで開通しており、父親が入院していた病院は北32条にありました。当時は北24条からバスに乗り換え、病院に通った記憶があります。自分が父親の生きた年月と同じ歳を迎えた時、親父はやり残したことがいっぱいあったに違いないと改めて感じました。今の自分は父親より21年も長く生きています。まだやりたいことがいっぱいです。

最近、乳がんで亡くなられる若い女性が増えてる気がします。医学や日本の医療現場は日々進化していますが、必ずしも正しい治療方法ばかりではありません。これまでのように、病気になってから直すのではなく、日頃から自分の健康状態を「見える化」して、早期発見、また、病気にならないように予防することが大切だと、改めて感じています。

2018年、30年来の友人が、誰にも告げづ一人旅立ちました。最後まで友達のことを思い、誰よりも強く、誰よりも優しい、彼女への気持ちを綴りました。しんしんと降り続く「牡丹雪」が降っている日でした。今夜の雪を感じながら、彼女からのメッセージが、「雪のことづて」として聞こえた気がします。

「雪のことづて」

作詞・作曲・編曲:サトシコガ
演奏:WISH SIDE
Vocal / Piano / Satoshi Koga
Guitar / Yoshiya Nagazima
Chorus / Yukari Sato
Clarinet / Misako Suzuki


君への気持ちを伝えられずに
遠く遠く一人で旅立った

降り出した雪にはしゃぐあの日の君
ひとつひとつ心を決めていた

誰よりも強く誰よりも優しい
君の声がみんなを励まして
誰よりも明るく誰よりも哀しい
君の笑顔がみんなを勇気付ける

夜更けに積もった真っ白な雪は
深く深く心を埋めてゆく

誰よりも弱く誰よりもはかない
君の涙は揺れ惑うぼたん雪
誰よりも白く誰よりも美しい
君のぬくもり雪のことづて
雪のことづて


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