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モビリティへの気づき

 北の都「札幌」から、すべての日本人を熱狂させた出来事がありました。それは、1972年に開催された札幌冬季オリンピックです。転倒しながらも笑顔を絶やさず銅メダルを獲得した、ジャネット・リンのスマイルを始め、これまで聞いたことのない競技の数々など、ワクワクが止まらない数週間でした。中でも、表彰台の1位から3位まで独占した日本ジャンプ陣「日の丸飛行隊」の活躍は、多くの日本人の心に、勇気と希望を刻み込むこととなりました。

♪虹の向こうに歩み出て
影たちが近づく手を取り合って
町ができる美しい町が
あふれる旗 叫び そして唄♪(虹と雪のバラード)

 このオリンピックに間に合わせるべくして工事が開始されたのが、地下鉄です。「さっぽろ地下鉄」は、北国の街において、冬でも快適に移動ができる都市生活の交通手段として、現在は3路線49駅に広がるモビリティネットワークの中心となっており、1日のべ利用者数60万人が利用しています。移り変わる四季を通して、市民はもちろん、札幌を訪れる国内外の数多くの観光客の方たちも利用しています。

 「さっぽろ地下鉄」東西線の大谷地駅を下車し、歩いて5分位で、私は毎週自分の講義のため大学へ通っています。その時必ず通るのが、「白石こころーど(道道札幌恵庭自転車道線)」という自転車専用道路です。この「白石こころーど」は、札幌コンベンションセンター(札幌市白石区東札幌6条1丁目)からスタートし、隣町のJR北広島駅まで続いています。自転車だけではなく、地域住民の方や、大学へ通う学生たちも数多く利用させていただいています。残念ながら私の自宅からは遠く、滅多に利用することはありませんが、なぜか今日はこの道を自転車で走っています。

 脱酸素社会に向けて、様々な取り込みがなされていますが、自動車メーカーも、電気自動車(EV)を始め、水素燃料やハイブリッド車など、これまで同様世界をリードし続ける技術開発を進めていますが、自動車はこれまでの役割を一旦終え、自動運転も含めた新たなモビリティサービスとして生まれ変わろうとしています。私たちも、スマホばかり気にしてるこれまでの生活を見直し、モビリティ(移動生)について考えるタイミングなのではないでしょうか。

 すでにヨーローッパでは、車道と歩道の間に自転車専用道路の整備が進んでいる都市も多く、市民の通勤通学に自転車を利用している人を多く見かけます。デンマークのコペンハーゲンを訪れた際には、「歩道から車道へ降りる際には、充分気をつけてください。時速30kmで飛ばす自転車に跳ねられますよ!」と、現地のガイドさんから注意を受けるのも頷ける話でした。

 都市部で通勤通学に自転車を利用するメリットは、数多くあります。毎日適度な運動になるため、市民の健康状態を良好にすることができ、行政的にも医療費削減に繋がっています。しかし、安全に走ることができる専用レーン不足が問題です。アメリカのニューヨーク市では、2016年から自転車走行空間事業が開始されています。この走行空間を自転車専用レーンとするのではなく、自転車以外の電動キックボードや電動車椅子など、高齢者の移動手段の新たなルート確保の可能性にもつながります。これは、日本でももっと進めるべきではないでしょうか。

 コロナ禍の中、運動不足が続き、スマホばかり見ている私たちの脳はどんどん疲れています。リフレッシュが必要です。1週間に2時間程度(45分×3回)運動することが、脳のリフレッシュを始め精神的にも良いとされています。この機会に自転車に乗り、眩しい太陽と心地よい風を受けながら、いつもとは違う自分らしいスピード感で、街を眺めてみるのも良いかもしれません。

 そんなことを考えながら、なぜ今日は、「白石こころーど」を走っているのか?それは、昨日の講義で教室に忘れたハードディスクを取りに行くためだけに、大学まで自転車で向かっています。体は大いにリフレッシュしているとは思いますが、精神的には「トホホ」というところでしょうか。

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