スピリット・リング ロイス・マクマスター・ビジョルド 創元推理文庫

 中世イタリアを舞台として、若干15歳の娘が彫刻家で彫金技術も持つ大魔法使いの父親の霊を守るお話。
仕える公爵のために作った塩入れを献上するパーティの席上、娘婿の謀略に巻き込まれ父親は命を落としてしまう。娘があこがれていた近衛隊長も剣に倒れてしまう。炭鉱で冶金の仕事をしていたその隊長の弟は、大魔法使いの家で仕事につくために都に出てきていた。小さな魔法しか仕えない娘と、多少の冶金技術しかない弟が、難敵を相手に、どう戦かうのか?

 小さな炎を出す程度の魔法しか使えない娘。炭鉱で採掘した鉱石を精錬した経験程度しかない弟。敵は、霊を封じ込め使役するスピリット・リングを魔法使いに使おうと考えている。娘も弟も力は弱い。ただし、物語はさまざまな伏線が張り巡らされており、徐々にその伏線は集約され、ついには最終シーンへなだれ込む。敵と戦う解決方法は、あっというもので、想像もつかなかった。ストーリー・テラーのビジョルドのエンターテイメントぶりを堪能できる。

最初の設定、世界観に慣れれば、一気呵成に読みきれること請け合い。

==

ビジョルドの初ファンタジー。中世のイタリアの雰囲気や若い二人の感じなど、さすがのストリーテラーだと思う。もっと評価されても良いけど結末が多少地味かも。あっという結末だが、派手ではないか・・・でも私は好き。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?