海の底 有川浩 角川文庫

 自衛隊三部作と言われる中の最後の作品。

 横須賀米軍基地の基地祭りの最中、基地は意外なものに、意外なところから襲撃を受ける。それは人レベルの大きさになったザリガニ。海から大量に襲い掛かる。人を食料と認識して。
おりしも停泊中だった、海上自衛隊潜水艦「きりしお」。乗り組み員も状況が状況だけに避難しようしていたところに、子供たちの集団があった。彼らを救うため、艦長と乗り組み員2名は、ザリガニの縦となって彼らを潜水艦内に救出する。しかし、艦長は・・・

 横須賀内でザリガニと戦う警察部隊。潜水艦内で救出を待つ自衛官2人と子供たち。米軍と自衛隊・警察が駆引きをしている中、潜水艦内も閉じ込められた者たちの物語りも始まる。

 これまた、有川さんの独壇場。ザリガニ(正確には「サガミ・レガリス」)との戦闘シーンや、警察と自衛隊の駆引きから、子供たちの描写、行動までリアルな書き込み振りはなかなかすばらしい。読んでいて飽きない。

 お約束の甘いお話は、ちょっと雰囲気をかもし出すだけで終了だが、それもまたいい感じ。三部作の掉尾を飾る秀作でした。

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 本作の続編、「クジラの彼」もどうぞ。甘々「てんこもり」ですが。(笑)



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