ビーストテイル 坂田靖子

★再入荷記念という事で・・・
 グリム童話の、坂田靖子版と言ったら良いのだろうか。しかし、原作からは全く違うお話になっている。換骨奪胎という言葉があるが、それ以上というか、全く異種、異なるモノに変容している。しかも、そこは坂田流なので、のほほんと、ゆったりと、すっとぼけて、まったりとお話は流れていく。オーガーのお妃は、平気でモグラとかコウモリを食べるし、家来も一生懸命に集めるし、猫は平気で王様と交渉する。妖精は、名前を当てられて地団太踏んで悔しがり、カエルだった王子様は、魔法を解いてくれた王女様に振り回される。
 そこは確かにファンタジー印の世界なのだが、剣も魔法も無い。魔王も悪魔も存在しそうだが、「ま、しょうがないかぁ。」が、原理原則の世界だ。緩すぎて、あきれ返るかもしれないが、まったく違和感は無い。一方で、変にリアルなのである。その上、悪人が存在しない。シンデレラのまま母や、義理の姉たちさえ、いとおしく感じてしまう。
読み手にとても踏み絵だったりする。どのお話が好みか、千差万別、十人十色だろう。傑出した話はないが、どれを取っても遜色のない取り合わせである。
 見かけは美味しそうな坂田ケーキだが、一度食べたらもう戻れない。なんというか、他には比べることが難しい、独特の世界。ずぶずぶと知らない間に首まではまり込んでしまう坂田靖子さんの世界に、貴方もいかがですか。(いったんハマルと戻れませんので、あしからず・・・)

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再入荷しました。よろしければ、どうぞ。




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