肩胛骨は翼のなごり デイヴィッド・アーモンド 創元推理文庫

 なぜか読んでいなかった名作。
 生まれたばかりの妹がいるぼくの家。父さんと母さんは、新しい家を購入したが、そこには古い今にも倒れそうなガレージがあった。そこでぼくが見つけたのは、不思議ないきものだった。

 主人公の「ぼく」の純粋さにまずやられた。それを偽善とか、子供だからという言い訳はどうでもよい。スケリグと「ぼく」の会話は隠し立ても裏の意味も無く、真っ直ぐである。それは「ぼく」と「ミナ」の間にも言えることである。

 妹に対する「ぼく」の接し方も初々しい。生きとし生けるものへの讃歌がある。しらずしらずのうちに、小さな命への感情が湧き上がってくるのは不思議。

 余計な描写も説明も解説もなく、鮮やかに締めくくられる物語の終わりは、優しく少し寂しい。原題は彼の名前、「Skellig」だが、邦題のなんと素晴らしいことか。この名前だけで、十二分な物語を語ってくれている。山田順子さんの訳と共にどうぞ。

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