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幸運なことに目を酷使する仕事をしている割に視力が良い。両目とも1.5だ。眼鏡やコンタクトが無いと生活できない人からは羨ましがられるが、はっきり見える事で困ってもいる。「見たくないものまで見えてしまう」なんて斜に構えた抽象的で哲学的な台詞をどこかで聞いた気もするが、現実は非常に具体的で身体的で切実だ。しかも他人からすれば矮小に思える問題だろう。飛蚊症が鮮明に見える。

快晴の日の日中は特に状態が良くない。周囲が明るいと瞳孔を絞って網膜に届く光量を下げようとする影響で被写界深度が深くなり、眼の組織内のゴミや傷のような物の像が際立って見えるのだろう。

飛蚊症は加齢と共に悪化している。視力が下がれば飛蚊症の進行にも気付かないのかも知れないなと思う。キラキラと眩いばかりに美しく晴れた日である程、己の身体のポンコツ具合をより強く実感させられるのは皮肉だ。

いっそ目を逸らしてしまおうと横を見ても、視界の中のゴミはどこまでも付いてきて、余計に煩わしさが募っただけだった。

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