韓国は敵なのか?
韓国を敵性視線で見る方は多い(発信側A、受け手B)。報道は印象の悪い内容が多い(発信側C)。
では実際に韓国が敵なのかと言えば対象国(敵国)としては扱われていません。今の所同盟国に準ずる扱いです。
今一度確認したいと思います。
なお、私は軍事安全保障の詳細は知りませんので大まかな話に止めます。詳しい方には目を通す必要のない内容であることを最初にお断りします。
安全保障地図
安全保障は国連の勝利から東西冷戦に入り、現在はその延長です。途中朝鮮戦争やベトナム戦争などありましたが、内容はアジアでの共産圏と資本主義世界の勢力争いです。朝鮮半島南部はアメリカが勝利したため韓国は西側であり、日本と同様、共産圏に接している最前線となっています。
日本と韓国はほぼ同じ役割、同じく程度はありますがアメリカ軍の統制下にあるような状態で、アメリカから見ると日本と韓国はアジアの共産化を防ぐための防波堤のようなものです。
細かい点で異論はあると思いますが、よく分からない人向けの事情説明として以上の主旨を了解頂いた上でお話させて頂ければと思います。
韓国を敵性と主張するルート
分類したいと思います。その上で判断して下さい。
1.右派。明治~戦後間、朝鮮半島と人民を格下とする思想の人たち。
2.親韓政策を取ってきた日本ですが、韓国の反日思想の根深さにしびれを切らした人たち。
3.政治的にナショナリズムを利用する様々な人たち
4.韓国・朝鮮半島の世論誘導(統一教会など)
5.共産圏の工作員
このうち、
1・3 については薄々感じてはいるものの静観され、同調する人も多い。
2 については長年ストレスを溜めていた事に気づいた普通の日本人。主に年配の方。
4・5 については存在が表面化してない議論・主張が多いと思いました。
これらを混同して韓国批判を真に受けている若い世代も多いようです。
2以外は他からコントロールを受けている事を自覚して下さい。思想が入っています。貴方の感じ方は本当は自分のものではない可能性があります。特に若い世代の人。なぜかと言えば2に該当する人は今まで韓国へ戦争被害の謝罪の姿勢を取ってきた古い世代の人たちと思われるからです。新旧の間のストレス度には相当な落差があります。
4は日本をメチャクチャにしてやると言ったと言われる文鮮明という人を調べてみて下さい。現与党と深い関係がある団体の一つと言われ、これをブログで暴露した作家の雁屋哲さんは「美味しんぼ事件」と呼ばれる社会的な攻撃、大がかりな官製批判を浴びました。
5は安全保障上警戒すべきスパイ活動の一種ですが、共産圏からすると韓国と日本が仲良くして軍事的な結びつきを強める事を警戒していますので、韓国を敵視する風潮にのる事は安全保障上の情報戦に国民(自分)が気づかぬうちに敗北しているのだということを理解して下さい。
特に中国、そしてロシアが裏表両側から日韓の仲を裂こうとするのはアメリカ統制下の日韓の結びつき強化を嫌う意図があるからです。中国は反日思想で韓国と連携する政策です。
それから同様の構造が韓国にもあることを理解して下さい。特に韓国では右派ナショナリズムの力が日本以上に強まっています。
慰安婦問題を解決しようとした大統領が投獄されてしまったのは、いわば日本の右派が韓国の右派に敗北した結果です。
防衛上の肝である日韓友好
こういった流れでアメリカが日韓の仲裁に立ち入るのは自然な事です。書きました通りの意図以外はありません。日韓友好は安全保障上の優先度が高いのです。
現段階で一番の目的はGSOMIAによる連携となります。連携度と常時運用性が高いのでGSOMIAが機能している間は最低限の防衛協力は機能していると言えますが、それだけに韓国内での批判も多くこの協定は度々風前の灯状態です。締結したのが2016年11月、現在約2年半しか経っていませんが、2級以下の情報に限った交換とされていて2018年北朝鮮の弾道弾騒ぎでは日本側には飛翔体の詳しい情報はもたらされなかった様子で、いずれも韓国と強い軍事同盟を持つアメリカ経由での、簡単な、かいつまんだ報告しか公表されませんでした。そのため、2018年末から新たに軍事協力の申し入れ交渉が始まっていますが進展したという話は聞いておりません。
この状況が安全保障上好ましくないご説明を致します。
前提条件として
・ 弾道弾による攻撃と防御は空中戦である
・ 情報戦である
・ 最終フェーズで防衛側の迎撃と弾道弾側の撹乱が精度を争うことになるが防衛側は圧倒的に不利である
・ そもそも迎撃は不可能というのが一般見解
以上が挙げられます。
迎撃が不可能という予測はアメリカ軍のシンクタンクなど複数ありますが現実的だと思います。装備で言えば一番迎撃の確率が高いのはTHAAD(中国が韓国のTHAAD配備に猛反発した事から分かると思いますが)、これは自立的な追跡ができるからです(可能にするために行動力も強化され、途中から何段階か加速することができます)。よく出てくるPAC3は迎撃予測地点にあらかじめ移動しなければならず予測が外れると何もできずに終わりますが、使い道としてはほぼ本土決戦兵器です。総理官邸や指揮所などの重要施設はカンで当たれば守れるかもしれませんが、下の町は火の海になります。イージスシステム兵器については後述しますがどう運用してもTHAADを上回る迎撃性能はありません。
ムダと分かっても全く迎撃行動をしないというワケには行かないので、迎撃の成功率を上げなければなりませんが、そのためには早期に弾道弾の情報を取得する必要があります。そのために必要なのは韓国レーダーサイトからの初期警戒情報です。必須と言っても過言ではありません。北朝鮮を例にしましたが、その他の対象国とされる中国やロシアも広い範囲で韓国はより近い位置にあるわけですから同様の事情です。
イージスシステムを搭載した船、ミサイル基地、戦闘機などの大量購入の流れとなっていますが、イージスシステム搭載兵器はそもそも防空警戒情報をもとに行動するシステムです。従いまして入力である防空警戒情報がない、もしくはお粗末であると大きく精度を落とし張り子のトラと言ってよい、役立たずのシロモノに成り下がります。それが日本と軍事的対立関係にある国にとって大変有り難い状況であるということを理解して下さい。加えてこれらの兵器大量購入は日本の安全保障政策が根本的に誤ることにもなります。
従来の総理のように以上を深く理解していれば、総理の靖国参拝はなかったと思いますが、案の定アメリカから厳しい非難を浴び、以後の参拝はなくなりました。全く関係ありませんが与党の防衛出身者は陸自出の方々なので防空警戒システムについてはあまり詳しくないという個人的印象も添えておきます。発表も正確さを欠く内容が多いのですが、例えば北朝鮮の弾道弾が襟裳岬上空を通過したという発表がありました。報道もそれぞれ異なる発表をしましたが上空を通過というのはかなりあり得ない話です。300m四方の上空を弾道弾は最長0.04秒の間に通過したと言うことになりますが、微妙に遠い距離でのこの精度の発射はアメリカやロシアでも困難と思われます。日本の領土をギリギリ掠めさせるだけのために、このように難易度の高い発射をわざわざ北朝鮮が行う理由(政治的効果)もありません。聞いた瞬間にウソだと分かる内容で、東に数十キロの高空を通過したというのが真相でしょう。電卓が使えれば(割り算をすれば)小学生でも分かると思います。
成果の乏しさを考えた時、本来的に安全保障政策は間違っていると思えますが、前段階としての日韓の軍事協力が政治的に難解なのでほぼムダな方向を向いているのではないかと思います。個人的には路線変更した方がよいと思いますが、現在は各国とも(一部は示し合わせの上で)ナショナリズムによる意思統一を図ることで政権を運営しているので冷静な見方・正しい意見が通りそうもありません。
最後に
こういった政治的対立によって迷惑を被っているのは長年友好関係の構築に尽力してきた人たち、団体です。一時の感情でその労力を壊してしまうのは躊躇われます。
取り急ぎ無用の煽りに乗らないようにして頂くことが第一歩かと思います。相手もそういった状態ですし、情報の多くが一部の方々が自分たちの勢力拡大のために過激な印象の誘導・書換えを行っているだけなのですから安易に同調しないで下さい。ましてや選挙・政党支持の判断の参考にしてはいけないでしょう。
SNSに流れて来る文章をそういう目で見た方がよいと思います。
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