無能な「速い思考」と怠惰な「遅い思考」

先日から読み始めたダニエル・カーネマン著の「ファスト&スロー」に関連して、速い思考遅い思考について記載してみます。


1. 脳を二つのシステムで考えてみる

ここでは、脳を二つのシステムとして考えてみます。これは実際に二つの機能として脳が分かれている訳ではなく、別の目的として動くシステムが二つあると考えた方が脳の動きが分かりやすいのでこういった書き方になっています。
一つ目が「速い思考」であり、無意識的であり、自動的であり、バイアスを受けて単純な選択を取ってしまうといった特徴があります。もちろん無意識的な選択が出来るからこそ、日常生活を少ない判断で過ごせるという長所があります。便宜上、この「速い思考」をシステム1と呼びます。
二つ目が「遅い思考」であり、自覚的であり、制御的であり、複雑な思考や合理的な選択が出来るといった特徴があります。一方、自分の頭で考えることはコストが掛かるので、なるべく「遅い思考」は使いたがらないという特徴があります。便宜上、この「遅い思考」をシステム2と呼びます。
また、重要な点としては、情報はシステム1を通ってシステム2に流れるということです。

2. 無能な「速い思考」

システム1が直感的な思考をするお陰で、一日の負荷が低減されるということが分かりました。
一方、この思考は経験的ですし、バイアスに塗れています。例えば、二択の選択肢が用意された際、選ぶのが面倒くさいのでデフォルトを選びがちになります。オプトイン/オプトアウトと呼ばれているものです。
この思考を用いて普段から生活していたり、仕事をしていたりします。改めて考えると、とんでもないですよね。
そのため、しっかりとシステム1が無能であることを自覚し、自分の選択が自覚的ではなく無意識であることを認識する必要があります。

3. 怠惰な「遅い思考」

システム2は、システム1の結果を受けて、物事を捉えます。この際に、システム1の結果を採用する方向にシステム2は思考します。つまり、システム1が誤った答えを考えると、システム2も誤る可能性が高いということです。
せっかく論理的に考えられるというメリットがあるのに、怠惰なシステム2の所為で、判断を誤るのです。
では、どうやってシステム2を使っていけるのでしょうか。システム2は同時並行で使えないこと(例:車の駐車中に複雑な暗算は出来ない)、異常自体に遭遇すると働くこと(例:普段とは違う事象が発生する)、見づらいものを見ようとする際に働くこと(例:汚い文字の方が、逆に認識できる)等の特徴があります。

4. 仕事でどう活かしていくか

仕事をしていると、気づいたらシステム1で答えを出しているケースがあります。そのため、なるべくシステム2を使う必要があると思いますが、どうすれば良いでしょうか?
私は、意図的にスピードを下げる(トルクを上げる)ことが大切なのかなと思います。システム2は遅い思考ですので、意図的に思考を遅らせることで、強制的にシステム2へと遷移させるイメージです。
この領域は私の専門領域外なので、実際にこの方法で対処できるかどうかは分からないですが、ゆっくり考えるということも試してみたいと思います。

参考資料

参考1:ファスト&スロー 上
参考2:ファスト&スロー 下

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