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▽R06-02-06 移り家のひとりごと

▽引っ越しが終わった。いや~~面倒臭かった…………。


▽内見にはじまり、新居の決定から管理会社とのやり取り、契約書の読み合わせ。旧居の解約手続や電気ガス水道の停止、保険の解約。転入や転出に関する役所の手続、諸々の住所変更、職場への届出。そして何より引っ越し業者の発注と荷造り、荷ほどき。向こう5年分くらいのタスクというものを2か月で全部やった気分だ。

 引っ越しは実家から出てきたとき以来で、その時は父親に車を回してもらって自前で済ませたので業者に頼むのは初めてだった。
 それにしても皆さん、ウェブの「引っ越し業者一括見積もりサービス」みたいなのは絶対に使わない方がいいですよ。安易に携帯番号を登録してしまったが最後、一週間は電話が鳴りやまなくなるので。冷静に考えれば予期できることではあったんだけど、あれは本当に怖かった。ピラニアが群生する川の上に宙づりにされたような心持ちで恐怖の日々を過ごす羽目になった。
 結局大手の業者からのメールに「見積もり不要でサクッとWeb予約」みたいな文言を見つけて飛びつき、出来合いの都内単身プランでなんとか発注に成功。ちゃんと電話に応じて、複数社に見積を頼んだきっと遥かに安い金額で済んだのだろうが、それに必要なコミュニケーションコストを考えれば後悔など全くない。陰キャは魂を削って他人と会話しているのである。


▽新しい部屋は旧居よりも家賃が高く、その分それなりに広くもなっているのだが、それより何より嬉しいのは「住んでいる町が変わった」という事実だ。新鮮!

 最寄り駅や自宅の周りをどこへともなく歩き回り、なんとなくのマッピングをしていく時間。これが散歩の中で一番楽しいかもしれない。自宅周辺が未知なのって嬉しすぎるな。まさに新しいオープンワールドのゲームを始めたときのワクワク感と合致するもので、月並みだが現実とは巨大なオープンワールドなんだなあと改めて思わされる。

 東京というのは偉いもので、大したことない距離の間にも大量の駅がある。定期圏内となる通勤経路の駅がすべて降り放題になるのも嬉しい。利便性云々というより、未回収のコンプリート要素が追加されたような感覚なのだ。地名や近くの観光スポットはなんとなく知っていても、「駅前の風景」を知らないことにはその町を知ったつもりにはやっぱりなれない。時間あるときに一個ずつ降りるぞ~~~~。



家の比較的近くにあった生物園。


デカい金魚の水槽。そこそこデカくてビビリます


デカいトカゲ。マジでデカくてビビリます



▽オタクなので話題の深夜アニメをいくつか追っている。多分に漏れず「葬送のフリーレン」とか「薬屋のひとりごと」とか「ダンジョン飯」とかを見ているが、人気のあるアニメはやっぱり面白いですね。そして面白い以上の共通点として、何というかお洒落な作品が売れることが増えたなぁと感じる。

 お洒落というのは中身というより、音楽や演出などハード面の話だ。
 たとえば音楽。世の中的にも一線級のアーティストを主題歌に起用していること自体は今に始まったことではないが、ぼくの記憶が間違っていなければ、一昔前のタイアップアニソンというのはもっとやり方が下手だったはずである。アニメのために曲を書いてもらうというよりはアーティストの曲をアニメに使わせてもらうといった感じ。メジャーな音楽シーンとアニソン業界の間にはやっぱりまだ距離があり、アニソンといえば「登場キャラを演じる声優が、キャラが歌っているという建付けで歌唱している曲」などが主流だった。
 だんだんとオタク文化・ネット文化が大衆化してくるにつれ、オタクの聴く音楽と一般人の聴く音楽はほとんど境界が無いくらいにまで接近した。深夜アニメはオタクだけが観る番組ではなくなったし、アニソンはオタクだけが聴く音楽ではなくなったのだ。アニメ制作者サイドが腕を振るってメジャーアーティストにオファーをかけるのも、音楽制作サイドが腕によりをかけてタイアップに力を入れるのも双方頷ける話だろう。

 無論、きゃぴきゃぴした昔ながらのアニソンだって現在進行形でもたくさん生まれてはいるが、それらはやはりオタク・コミュニティの中で完結したウケであるように思う。ここ数年で広くウケたアニメはほぼ間違いなく、メジャーといってよいアーティストが何かしらの楽曲を提供している。

 唯一かもしれない例外が「ぼっち・ざ・ろっく!」だろう。この作品では、オープニング・エンディング・挿入歌を含めた全ての音楽が、劇中のバンド「結束バンド」による歌唱という建付けで行われている。
 といっても、メジャーアーティストを起用していないというだけで、この作品も令和のヒット作らしいお洒落さに溢れていたのは間違いない。「かわいい」より「かっこいい」に振りきった楽曲のサウンドや独特で芸術志向の強い演出からは、「単なる萌えアニメでは絶対に終わらせない」という確固とした意思を感じる。その目論見がこれ以上ないほどの成功を見たことは、2023年以降を生きる我々にとって確認するまでもないことだろう。

 間奏で主要キャラ4人がわちゃわちゃ喋るパートがあったりするザ・アニソンみたいなアニソンのことがぼくは大好きだし、それはそれとしてYOASOBIやヨルシカが作るお洒落なアニソンも大好きである。萌えに全振りした戯画的な演出も、美術品みたいに繊細で瑞々しい演出も、それぞれによいものとして末永くあってほしいものだなぁと思う。

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