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海の中道のラッコの始まり2
マリンワールド海の中道に過去に飼育されていたラッコたちについて当時のラッコの飼育担当さんに話を伺いました。
回答を頂いた、中村さんと濱野さんありがとうございました。
2020年12月26日ファンミーティングにて館長の中村雅之さん
・マリン・・・臆病で環境の変化に弱かった
・ナダ・・・細かい手先の動きが器用だったので、かき氷まわしから鉛筆削りにまで芸を発展させた
・カイ・・・(いおワールドかごしま水族館へ移動する頃には)隠居生活をしていた
・マナ・・・人工保育でスタッフがつきっきりで付き添ったため、甘えん坊でわがままに育った。
90年代のマリンワールド海の中道ではラッコを生かすことに必死で、記録らしい記録はつけておられなかったとのこと。
※メールで当時の訪問者に伺うと、2000年初頭にはバレーボールなどの芸をしていたようです。
メールにて ラッコ担当の濱野真さん
返答メールから引用
サキ(崎)・チサ(智佐)
旧長崎水族館(現ペンギン水族館)からやってきた親子のラッコです。
サキはかなりの高齢で目がほとんど見えていない個体でしたが、当館では長老的存在でマイペース、そこにいるだけで安心感のある個体でした。
その娘のチサは出産経験が豊富で当館でも、ナダ、マリン、ララ(出生後一年ほどで死亡)を出産しています。
出産9頭、日本のタイ記録だったと思います。
カイ
カイは大分県の水族館 マリーンパレス(現うみたまご)からやってきました。マリーンパレス時代の愛称は「トントン」でした。
当時マリーンパレスではラッコのバスケットボールを披露していましたが、ダンクシュートを披露していたのはトントンのお父さんのサンサンという個体で、トントンは点数をめくる係をしていたようです。
アスカ、ゲン、キキ
1989年アラスカ沖のタンカー事故で油の海から保護されたラッコから生まれた個体です。
搬入当時は、日本まで一緒に輸送に立ち会ってくださった保護センターのスタッフの方の呼び名で読んでました。
キキは「愛称:クロエ」といい、ギリシャ神話に出てくる女神の名前らしいです。
ゲンは「愛称:ニック」と言いますが名前の由来は忘れてしまいました。
アスカは「愛称:ターニア」といい、保護センターでは「ノータッグ」、つまり愛称がつけられていなかったため、スタッフのリーダーの方の恋人の名前をつけてくださいました。
そしてアラスカからやってきた最後の1頭の愛称は「フート」です。残念ながら輸送数日で輸送性の肺炎で死亡しています。
オホーツク水族館、アラスカから保護されたラッコの子供、大分マリーンパレス(うみたまご)、長崎水族館、アドベンチャーワールドとご縁があってマリンワールド海の中道にやってきたラッコたち。
このラッコたちの存在があって、今まで福岡でラッコの飼育が継続されてきました。マリンワールド海の中道で飼育されてきたラッコたちの紹介はこれでおしまいになります。
本日2021年2月23日、マリンワールド海の中道からの発表でラッコの「マナ」の訃報がありました。2月20日にマリンワールドに訪問した時には「リロ」と別のプールで仕切りで隔離されていて、陸の上に上がって調子が悪いようでした。リロはしきりにマナの方に行きたがっていました。
死因は子宮破裂によるものでした。妊娠には成功していたものの、出産することができなかったのです。僕は2019年にラッコの国内飼育が危機にあるのを知り、マリンワールドに通うようになりなるべくカメラなどでラッコの記録をとるようにしました。並行して九州で飼育されていたラッコたちのことも調べて回りました。
国内で繁殖が期待される若い唯一のペアでしたが、マリンワールドのスタッフの努力が叶わずこういう結果になってしまい残念です。スタッフの方々もプレッシャーだったと思います。マナには緊急事態宣言期間を除き月単位で会っていた分、訃報を知った時はショックでした。個人的にはマナには繁殖のことよりも元気に長生きしていて欲しいと密かに願っていました。どうか安らかに。
最後に「マリンワールド海の中道30周年記念誌」より年表に書かれているラッコ関連の出来事を抜粋しておきます。
1997年(平成9年)
1月2日「ラッコの食事タイム」スタート
1998年(平成10年)
4月7日 長崎水族館よりラッコ3頭搬入
10月22日 初めてのラッコ誕生 チサの仔(ナダ)
1999年(平成11年)
12月9日 ラッコ「マリン」誕生
2003年(平成15年)
9月11日 国内最多出産記録をもつラッコ「チサ」が死亡
2012年(平成23年)
1月25日 ラッコ「マナ」誕生 2月4日 授乳不良のため人工哺育に切替
2014年(平成26年)
11月15日 人工保育で育ったラッコ「マナ」の七五三イベント実施
2016年(平成28年)
2月18日 ラッコ「マリン」死亡
マリンワールド海の中道のラッコのことを末永く多くの人に覚えていて貰えますように。
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