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美術を巡る旅 2023年秋 東京・名古屋編②

2日目:渋谷区立松濤美術館・東京都現代美術館

○渋谷区立松濤美術館「杉本博司 本歌取り 東下り」

前日の江之浦測候所に引き続き、杉本博司さんの作品を鑑賞した。

・Time Exposed
杉本博司さんの代表作ともいえる「海景」シリーズを、屋外に展示したもの。今回の展示では、屋外に展示することで受ける紫外線による劣化や、天候の変化や落石によるダメージにより、もとの海景はすっかり分からない状態になった3点が展示されていた。
杉本さんは劣化・ダメージとして忌避される変化に対し、美しさを見出しているんだそう。

私はまだ、そこに美しさを見出すことができなかったけど、この捉え方に学ぶことがあると思った。歳を重ねることで、良いこともあるけど悪い変化もたくさんある。劣化するし、ダメージも受ける(泣)
けれども劣化もダメージも自分を彩るものの一つ。表裏一体なのかな。ネガも反転するとポジになる。
こういう生き方のヒントみたいなものが散りばめられているところ、現代アートっておもしろいなと思う。

そんなことを思いながら改めて見返してると、富嶽三十六景の神奈川沖浪裏のような、しぶきを上げる波のようにも見えてきた。水が自然界で見てきた景色を写し取っているのかな。。とも思えてきた。

○東京都現代美術館

平日にも関わらず激混みだった。東京恐るべし。。

・デイヴィット・ホックニー展
あまり予備知識がなくて、ipadで描かれた田舎の自然の絵の印象で行ってみたのだけど(タイトル画像参照)、写実の時代の絵が印象的だった。
「2022年6月25日、(額に入った)花を見る」のラタン(?)の机と、そこに載ってるペットボトルのエビアンと、床板やスツールの木の質感が!!!

「2022年6月25日、(額に入った)花を見る」
※入口に設置された撮影用ボード

”リアル”とはちょっと違う、絵の中に写真が浮いているような感覚があった。なんでなんだろ。どこから光が当たってるのかが分かりにくいから??なんだかとても不思議な感覚になった。

・「あ、共感とかじゃなくて。」

正直私は作品から何かを読み取ることができなかった。まあそれもよし。
理解できることばかりじゃないし、全部わかる必要もない。こういう表現もあるんだなって思うことにした。
他人の痛みは他人のもの。簡単に共感してしまうことは、他人の痛みを軽んじることになる。
他人の心は分からないもので、分かろうとする努力をし続けて初めてほんの少しだけ触れることができるものなんだと思う。

・被膜虚実
三上晴子さんの「scale」という作品がとても印象的だった。

三上晴子さん「scale」

身近なものを最低限の加工で使って表現するってすごいなぁ。。
名和晃平さんのPixCellシリーズも初めて近くで見ることができた!
宮島達男さんのデジタルカウンターの作品は、いつ見ても思うのだけど、 人が生まれてから死ぬまでを表現しているようで切ない気分になる。
カウントアップの速度はそれぞれ違っていて、すごい速さで死に向かう人、ゆっくり一歩ずつ進む人、いろんな人生を表しているようだった。
”0”が表示されないことも、死は完全に無になることなのかな。。と思ったりする。

宮島達男さん「それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く」

他にも、「横尾忠則ー水のように」と「生誕100年サム・フランシス」を観た。こんなに1つの美術館で展示が見れるなんて。前日に引き続きの反省なのだけど、やっぱりもう少しゆとりをもって観たかった。だいぶ疲れてくったくただった。。

2日目は以上!
ちなみに朝ごはんはホテルの朝食、昼ごはんは渋谷でハヤシライス、
晩ごはんは某高級スーパーで購入したお惣菜とお弁当をホテルでいただいた。ホテルでテレビ見ながらゆっくりだらだらごはん食べるの好きなのよね。。

③へ続く。

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