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美術を巡る旅 2023年秋 東京・名古屋編③

3日目:アーティゾン美術館・名古屋市立美術館

○アーティゾン美術館「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきてやむに止まれぬサンサシオン」


・汝、経験に依りて過つ

部屋が!!傾いてる!!!
この写真では全然分からないんだけど。。笑
傾きはたった15度ほどなんだけど、斜め上から押されるような感覚でどうにも立ってられない。押し下げられて壁に体がついても、今度は斜め上から壁に押し潰されるような圧!!なにこれ怖い!!!!!
「部屋は水平なところ」という思い込みのせいで脳がバグってるんだろうか。。視覚から得られる情報って重要であり、脆いものなんだと実感した。
私が部屋を出た後も、別の方の「わー!なにこれーー!」という悲鳴(?)が聞こえてきて面白かった・笑

・馬からやヲ射る

上肢欠損の少年とも少女ともとれる人物が、馬に跨り矢を射っている。
東京パラリンピックの公式ポスターに採用された作品だそう。
よく見ると津波、福島の原発ややまゆり園を表すような施設、国立競技場から出てくる建設トラックなど、なんとなく東京五輪・パラリンピックを取り巻く問題を表すようなエッセンスが散りばめられている。
都市を鳥瞰で描いた絵は、描き込みが細かくて、1枚をずーーーーーーーっと観ていられる。「観る」というか、端から端まで”何か”を探そうとしてしまう。

○名古屋市美術館「福田美蘭 美術ってなに?」

・開ける絵

閉じた状態
開いた状態

キャンバスが額ごと二つに折りたたまれた状態で展示されていて、鑑賞者が自ら開けて絵を見ることができる。通常美術館では、与えられた最適な状態の作品を鑑賞することになるが、この作品は自発的に鑑賞しようとしないと観ることができない。
開閉するときに手に感じる重みが、作品の重みを表しているようにも感じた。

・冬ー供花

※なんか写真が赤いです。すみません。。

この作品のモチーフとなったのはゴッホの「薔薇」。福田美蘭さんがこの絵を鑑賞されたのは東日本大震災から間もなくの頃だそう。
福田美蘭さんが、お父さまが亡くなった時の思い出と、この「薔薇」を鑑賞されたときの思いがこの作品に込められている。
この作品、何年か前に島根県立石見美術館で観た時から好きな作品だった。こうやって、美術館巡りをする中で再会できるのって感慨深い。。

・侍女ドーニャ・マリア・アウグスティーナから見た王女マルガリータ、ドーニャ・イザベル・ベラスコ、矮人マリア・バルボラ、矮人ニコラシート・ベルトゥーサと犬

ベラスケス《ラス・メニーナス》を、「侍女ドーニャ・マリア・アウグスティーナ」の視点から見た絵の中の世界。
《ラス・メニーナス》は本でしか観たことがない というのもあるけど、絵の中の人物のことをどこか「絵」として見てしまう。視点が絵の中の人物になるとたちまち「キャラクター」が出来上がるように思えた。
鑑賞者と絵の関係ではなく、同じ世界線に連れていかれるような感覚になる。
冷めた目でこちら(鑑賞者)を見ているようにも見える。。 

・誰が袖図

江戸時代に流行した《誰が袖図屏風》をモチーフとした作品。
衣桁にはディズニーのキャラクターたちの衣装が掛けられていて、左下の屏風は過激派組織がジャーナリストを殺害したとする映像をインターネット上に公開したその現場の絵だそう。
《誰が袖図屏風》自体が、古今和歌集の【色よりも香こそあはれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも】という作品をモチーフとしていて、これをさらに「本歌取り」した作品とも捉えられると思った。
一見「映え」な作品に見えるけども、その作品の背景や込められた思いを知ると、がらりと印象に変わる。簡単に「この作品好き!いいと思った!」って言えなくなる。。
ディズニーキャラクターたちは、衣装を脱ぎ捨てて、どこで何をしてるんだろうか。。

「美術を巡る旅 2023年秋 東京・名古屋編」は以上!!
すっかり寒くなってしまったけど、旅に出てた数日はほんとに過ごしやすい気候で歩いてて気持ちよかった!
遠征はしばらくできないけど、近場の美術館に行ったらまた投稿しよう。。
書くのって、慣れが必要だね。。


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