dB とRMSとLUFS、マスタリングでどれを見る?
オーディオには様々な音量、音圧などの単位があります。
では、最終マスターのためにはどういったレベル管理をしなければならないのか、
そういった側面で、音量、音圧に対しての単位について話をしていきましょう。
dB
最も馴染みのある単位かと思います。音の大きさを表します。
ざっくり言うと、
「デジタルで表現可能な最大値を0dBとした数値」
ということです。
DAWなどで操作しているメーターに書いてあるdBは、
dBFS(デシベルフルスケール)の省略です。
dBFSとは、デジタルで表現可能な最大値を0dBとした数値です。
試しにメーターが振り切れるところまで上げてみると、メーターが赤くなり、
音が割れてしまうといったことになると思います。
このように、最大値が0dBであり、それを超えると正しく表現できなくなり、
音が割れるといったものがdBです。
RMS(Root Mean Square)
音の平均的な強さを表します。
RMSメーターは人間の耳が感じる音量の感じ方に近く、音の「強さ」をより正確に表現します。人間の耳は瞬間的なピークよりも平均的な音量に反応するからです。
ただし、問題は、人間の聴覚特性を考慮していないということです。
例えば、2kHzと80Hzのサイン波を同じ-20dBFS RMSで再生した時、2kHzの方が大きく聞こえます。
このように周波数帯域によりRMSは同じでも聴感上の音圧は異なるので楽曲によっての周波数のバラつきにより、2つのソースが同じ音圧にはならなくなる、ということになります。
そこで、聴感上の音圧を揃えるための基準が必要になってくるのですね。
LUFS(Loudness Units relative to Full Scale)
LUFS(又はLKFS)は、一般的によく「ラウドネス」と呼ばれるものですが、
簡単に言うと人が感じる音量感を数値で表したものです。
元々、放送業界向けに開発されたものです。
番組の中では、トークや音楽、効果音、CMも含めて多くの要素の聴感上の音圧、レベルの管理をしなければならなく、
それらをRMSなどで管理することが難しいために開発されました。
その後、音楽業界でも利用されるようになり、YouTubeやストリーミング配信などでは、ラウドネスノーマライゼーションと言って、プラットフォーム側でラウドネス値を合わせられるようになりました。
リスナーからすると、様々なアーティストさんや作品をランダムで聴いたり、続けて聴く場合でも音量を上げ下げしなくて良く、
聴感上おおよそ同じレベルで聴くことが出来るというのが大きなメリットです。
マスタリングでは、どのメーターを見れば良いのか、、、
という質問を受けることがあります。
私はMix音源を受け取ったら、まず、一通り聴いてチェックしますが、その時に
ついでにRMSとLUFS(&トゥルーピーク)をそれぞれ確認します。
ですが、最終的にマスタリングでは、LUFS、ラウドネスを確認します。
それは、リリースがCDだったり、配信、ストリーミングだったり、
映像用だったり、最終的なリリース形態が何になり、リスナーがどのような環境で聴くのかということを考えてのレベル管理が必要だからです。
ラウドネスノーマライゼーションがかかるからと言って、
必ずしも音圧を下げてプラットフォームに合わせるということはしませんが、
結果として何dB下げられるのかを考慮しつつ、
作品に合うレベル、音圧に仕上げていくということが必要で、
不要な音圧を稼ぐことを避けることが出来ます。
ラウドネスを理解して、クライアントさんに必要なことを説明し、
その楽曲、作品に合った程良い音圧を目指すというのが正しい方向性です。
そのために、それぞれの単位が何を意味しているのかを理解することが
大切です。
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