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高性能GPU・インド ニデック小部社長 


振り返り


EV(電気自動車)向けへ果敢に攻めてきた機電一体のE-Axleは、23年から中国EVやEV搭載部品の値下げ競争が中国国内で激化し、レッドオーシャンへと様変わりした。今後は収益重視だ。ここ1~2年の工作機械関連での一連のM&A案件が収益を押し上げてくるだろう。AMEC(車載用製品)では24年から連結業績に加わる仏Npe(欧州ステランティスとの合弁会社)、日米欧を中心とするモーターなどパーツ提供、曲がる・止まるに関連したパワステ、ブレーキ用ブラシレス/ブラシ付きモーターなど高シェア領域の拡大を目指す。 また、中国市場向けE-Axle第3世代品(7-in-1)用インバーターでは、広州汽車など優良顧客が採用実績を持つ中国製半導体を全面搭載し、収益が見込める優良顧客に焦点を絞る。中国EV関連は中国完結とし、次なるターゲットをインドに見定め、大きく舵を切っていく。


今後の展望


24年度からは過去に蒔いた種が花開くタイミングであり、
上昇基調に入ると見る。
前述の伸びしろ以外にも、ソフトバンクなどと連携した空飛ぶ基地局(HAPS)、ブラジルのエンブラエルと合弁会社を設立した空飛ぶクルマ(eVTOL=電動垂直離着陸)、
次世代型電動車いすなど向けの各種モーター製品、
VR機器向けのUFFファンモーターなど中長期に伸長が見込める案件が
目白押しだ。
QCDS(品質、コスト、納期、サービス)を徹底しながら「180度真逆の発想」で世界を舞台に挑んでいく。


■高性能GPU分野へ水冷で躍進

データセンター向けも注目
生成AIサーバー、ChatGPT用GPU、CPU関連ビジネスとして、スーパーコンピューター(スパコン)用水冷モジュールなどを展開している。
高性能CPU/GPUでは演算処理能力が上がり続け、高容量化の流れが加速している。従来の冷却ファンでは追い付かない。必然的に水冷モジュール需要が高まる。今後もデータ処理量増大でデータセンターの増設は確実視され、
サーバーラック設置台数も拡大の一途をたどる。当社にとっても追い風だ。

データセンターでの実績
当社は5年ほど前からコールドプレート、CDU(Cooling Distribution Unit=冷却水循環装置)、
CDM(Cooling Distribution Manifold)をセットでスパコン向けに提供しており、
累計100台程度の納入実績を持つ。
また、GPU関連企業と親交の深い台湾大手にはCDUを納入中だ。
当社のCDUは重要部品のポンプ、電源、コントロールボードにおいて冗長性を持ち、
かつホットスワップ(ニデック特許)でき、保守性、長期信頼性に優れている。

■次なるターゲットは「インド」

人口14億人の市場、平均年齢は28歳とあらゆる産業の伸びしろが大きい。
かつ当社も14年のモディ首相と永守会長の会談を契機に、
16年からインドへ工場進出しており親交も深い。
私も23年12月にニムラナ工場第2棟開所式を機にインドに出向き、
インド政府の副大臣と面談すると同時に、現地の顧客企業10社ほどを訪問し、
インドの熱気を肌で感じた。

まず米国の大手企業のインド進出でインターネット、
eコマースが今後、急激に伸びてくる。

次に暑い土地柄もあり空調を中心に家電も伸びる。

事実、日系や韓国系のエアコンメーカーの工場増築も進行中だ。

インフラ系でもバックアップ電源、太陽光など発電系も整備されていく。

さらに物流でも電動二輪車、小型電動四輪車が伸長中であり、
モーター、E-Axleなど当社製品群の需要は底堅い。

当社は早くからインドに注目しており、今後決まっているものを含め、
これまで数百億円を投じている。
現状、ラジャスタン州のニムラナ工場で家電・車載・産業・空調用モーターを製造している。
同工場で23年12月に電動バイク用モーター製造向けの第2棟が開所した。
他にもカルナタカ州ベンガルール工場では、発電機用モーターを製造しており、
そして同州フブリにさらに120億円を投じて
発電機・エレベーター用モーター製造向けの工場も建設中であり、
25年完工予定だ。
さらに場所は選定中だが、空調用モーター製造に向けた第5工場を24年着工、
25年量産開始の計画で進めている。
今後の需要拡大を勘案すれば、次に第6工場も計画する必要があるだろう。
インドへの累計投資額は総額500億円程度になると見込んでいる。

インド政府・各州からインセンティブ支援を得られる利点もある。
現状では当社売上高のうち中国関連が4~5割、インドは1割程度だが、
今後はインド比率が高まっていくだろう。

インドの電動バイク
インドの電動バイク大手数社から引き合いがあり、今後インド国内で電動二輪、
電動四輪への事業拡大も期待される。
当社モーターの出番であり、受注の可能性は高い。
その他にも多くの引き合いを得ている。
自転車、電動アシスト、電動バイクへと進化した中国と異なり、
インドは電動バイク起点のため、タイヤサイズも12インチと大きく、
インホイールモーター、センターモーター、
サイドモーターへと技術進化していく点も当社とシナジーがある。
既存のニムラナ工場内には電動バイク用に2ラインを設けていたが、
新たに4ラインを追加し、計6ラインでの生産体制を整えている(10万台/ライン)。






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