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とあるライブで忘れていた記憶が蘇ってきたという話

我が母校、愛知県立成章高校は、渥美半島にある普通の公立高校なのですが、テレビでは人気タレントとなっている大久保佳代子さんも、光浦靖子さんも、ヤクルトスワローズのエースの小川泰弘選手もこの高校出身なのです。創立120年以上の歴史を持つ文武両道の高校で、野球部は甲子園に春の選抜で2回出場しています。

この高校出身者の中で、東京を拠点に22年活動を続けている歌手の方がいます。鈴木美景(みひろ)さんです。2002年、「涙の片道切符」(ニール・セダカの「恋の片道切符」のカバー)でデビュー。これまでに「真夏の嵐」、「危険な女」、「お眠り」、「ヴァンパイヤ」、「恋のジャングル」など、オリジナルCDをいくつも出しています。最近も新曲の「パッション」をリリースしました。

DAMやJOYSOUNDなどのカラオケにも何曲か入っていて、アーティスト名「鈴木美景」でも検索できます。が、普通の人には難易度の高い曲が多いので、歌いこなすのは至難の技です。そのためにはCDをお買い求めいただくのがよいとご本人はおっしゃるのではないかと思います。ちなみにこちらがご本人のブログです。

鈴木美景さんは、年に何回か都内のライブハウスでワンマンライブを行っているのですが、今回、2024年9月23日に東京の大塚のWelcome Backというライブハウスでライブがありましたので、高校の同級生や後輩たちと行ってきました。

通常「ライブハウス」という言葉を聞いて連想するのは、「若者」なのですが、このライブの客層は、高齢者が目立ちます。決して立ち上がって跳びはねたり、踊ったり、叫んだりはいたしません。かなり静かです。こういう雰囲気のライブはかなり珍しいのではないかと思います。

このライブでは、鈴木美景さんのオリジナル曲を何曲か、昔のカバー曲を何曲か、そしてゲストの方の演奏と、鈴木美景さんのタップダンスなども入ります。今回のゲストはクラリネットとサックス奏者の後関由治(ごかんゆうじ)さんで、クラリネットのソロもありましたが、サックスと歌の絡みもしびれました。

この日のライブの中で歌われたカバー曲の中で、個人的にとても懐かしい曲がありましたので、それに関しては是非書き留めておかなければと思い、これを書いています。

ライブのオープニング曲は、トム・ジョーンズの“Love Me Tonight”でした。

いきなり懐かしい!中学の頃、この曲を一生懸命覚えようとしたことがありました。また大学の時の合宿で、演劇のトレーニングとして一人一曲づつアカペラで歌うというのがあり、私はこの歌を歌ったのですが、アカペラで歌うにはあまりにも難しく、音程がめちゃくちゃになり、みんなに笑われるはめになってしまったことがありました。

また、雨の曲ということで、カスケーズの『悲しき雨音』も十分懐かしかったのですが、その後のジリオラ・チンクエッティの『雨』、これは懐かしくて涙が出そうでした。

『雨』を歌うジリオラ・チンクエッティ

じつは、中学二年の頃、たまたまテレビをつけていたら、イタリアのサンレモ音楽祭をやっていて、この曲が流れてきました。この イタリア語で雨を意味する“La pioggia”(ラ・ピオージャ)をジリオラ・チンクエッティが明るく歌うその歌声を聞いて、即座にこの曲の虜になってしまったのです。

その結果、中学2年の分際で、英語そっちのけで、無謀にもイタリア語を勉強するということになってしまいます。この曲のイタリア語の歌詞を一生懸命覚えました。大阪万博を控えた1969年の頃のことです。

当時、自分にとっては大都会であった愛知県豊橋の書店で、イタリア語の文法書を何冊か書い、英語よりも先に過去分詞とか、未来完了などを勉強したのですが、今ではほとんど忘れてしまいました。この影響で、大学受験は東京外国語大学のイタリア語を受験したのですが、合格することはできませんでした。この曲を聴いていると、そんな昔の記憶が蘇ってきてきます。

ちなみに大学を留年してアルバイトとして働くことになった会社(その後その会社で何十年もお世話になることになるのですが)の社長は東京外国語大学のイタリア語学科の卒業生でした。何という縁でしょう。

ライブの話に戻りますが、千賀(ちが)かほるさんの『真夜中のギター』の歌が聞こえてきた時はびっくりしました。なぜなら、生まれて初めて買ったレコードがこの曲だったからです。調べてみたら、この曲が発売されたのは1969年で、ジリオラ・チンクエッティの『雨』と同じ年だったんですね。さらに調べてみたら、トム・ジョーンズの“Love Me Tonight”が日本で大ヒットしたのも1969年でした。まさか、この日のセットリストは1969年で揃えていたのかと思い調べてみたら、そういうわけでもありませんでした。

中学から高校にかけてラジオの深夜放送をよく聞いていましたが、『真夜中のギター』は夜の静けさにじつにマッチする曲でした。

『別れの朝』は1971年に発売された、ペドロ&カプリシャスのデビューシングルです。初代ボーカルは前野曜子さんでした。たまたま知り合いに連れられて渋谷で行われた前野曜子さんのソロライブに行ったことを思い出しました。原曲はウド・ユルゲンスという人の曲で、原曲もよく聴いていたし、映画も見た記憶があります。前野曜子さんとちょっとだけお話したことも思い出しました。何を話したのかは忘れてしまいましたが。

トワエモワの『誰もいない海』が大ヒットしたのは1970年のことでした。ほぼ同じ時代ですね。このへんの時代は、1955生まれの我々にとっては青春ど真ん中なので、とても懐かしいのです。こういう歌を生演奏で聴ける機会はなかなかないので非常に貴重な体験をさせていただきました。

昔の歌によって忘れていた過去の記憶を取り戻させてくれるという場はとても稀有で、貴重です。高齢者の女性が推し活と称して、青春時代を再体験している話をよく聞きますが、昔の歌を聴くことは、おそらく医学的にも、心理学的にも効果があるのではないかという気がしました。免疫が活性化し、寿命を延ばし、ボケ防止にも繋がるのではないかと、そんなことを感じるライブのお話でした。






















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